2009年6月アーカイブ

・日食シミュレーター
http://www.vector.co.jp/soft/win95/edu/se475769.html
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2009年7月22日の日食専門のシミュレーションソフト。

観測地点を選ぶと、日食の始まりから終わりまでをアニメーションで表示する。とにかく操作を簡単にしている。天文知識がゼロでもだいたいわかるのが良い。

たとえば東京の場合、

東経139.75 北緯35.7 東京(北の丸・東京都)
日食が始まる時刻 9時55.6分
食の最大の時刻 11時12.9分
(太陽の見かけの直径の 75% がかくされます)
日食が終わる時刻 12時30.3分

であることなどがわかる。データはクリップボードやテキストで保存可能。

国内ではトカラ列島あたりまでいかないと皆既日食にはならないようだ。

ところで、皆既日食というのは、本物を見ると人生が変わるくらいのインパクトがあるらしい。若い友人のDJ monsieur君は、2006年3月29日の日食をトルコで見て感動し、日食に対して嫉妬したことを日記に書いている。

「僕はとにかく、
ここに居合わせた世界中のクレイジーな人間たちの心を、
完全無欠に捉えてしまった皆既日食に嫉妬した。
これだけ "みんなのスゲェ!" をかっさらう奴を見たことはなかった。

http://dj-monsieur.com/-4-travel/south_europe/0329/0329.html

日食への嫉妬が高じて、彼は学校を飛び出しベースを片手に世界放浪の長旅に出て行った。そして次回の皆既日食がある今年、再び日本に戻ってきたのだが、いつのまにかベーシストからギタリストになっていた。橋本さんに出発前夜に教えてもらった『メメント・モリ』(藤原新也)に強く影響されました!とお礼のメールとともにCD販売のお知らせがやってきた。

・放浪の旅の記録
http://dj-monsieur.com/-4-travel/around_the_world/around_the_world.html

彼はこれまでにCDを2枚出している。まさに世界にインスパイアされたワールドミュージック。ギターのインストゥルメンタルを中心に、独特の音楽世界を築いている。Webで試聴できるので、ギター、民俗音楽、現代音楽に興味のある人は以下のURLをどうぞ。

・dj-monsieur.com
http://dj-monsieur.com/-1-audio/audio_top.html
1st Album 『 Total Solar Eclipse 』 / 1500 円
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2nd Album 『 World Bridge 』 / 1500 円
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この2枚目『 World Bridge 』 が100枚売れると「奇跡のフリーライブ」を開催するそうなので、応援したい人は買ってあげてください。現在30枚くらいらしい。未来の大物アーティストを育てることになるかもしれません。

・ヤンキー進化論 不良文化はなぜ強い
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最近、盛り上がってきたヤンキーという文化集団の研究。これまで表で語られることが少なかった日本の地方の不良文化の系譜を明らかにする。特攻服の暴走族、リーゼントのツッパリ、ギャル、スケバン、レディース、DQNなどヤンキーと、曖昧にされてきた周辺の概念を定義していくのが面白い。

著者は、ヤンキー的であるとは、

・階層的には下(と見なされがち)
・旧来型の男女性役割(男の側は女性に対して、性的でありかつ家庭的であることを求める。概して早熟・早婚)
・ドメスティック(自国的)やネイバーフッド(地元)を指向

というファクターを帯びていることだという仮説を提示する。

ヤンキー研究の意義を「階層的に下位に位置づけられることが、自身のアイデンティティを毀損しない生き方」をポジティブに語ることに見出している。上品・洗練・高尚な文化資本だけで社会は成り立っていない以上、「バッドテイストですが、何か?」という強さも時に必要とされるのではないかと書いている。

著者は、諸説あるなかヤンキーの源流はやはり米兵(Yankee)文化だろうと分析する。暴走族、ツッパリ、親衛隊、ヤンキー的なものは脈々と受け継がれてきた。その様子を可視化した50年代からの時代の変遷マップが掲載されている。

ヤンキーの系統を芸能人の世代を分類したデータもあった。少しずつ違うのである。言葉にはしにくいがイメージがしやすくなる。

第一世代 矢沢永吉、館ひろし、和田アキ子、岩城滉一、ブラザーコーン、横浜銀蝿、鈴木雅之、島田紳助、長渕剛

第二世代 石橋貴明、哀川翔、宇梶剛士、嶋大輔、ゲッツ板谷、長原成樹、杉本哲太、ヒロミ、XJAPAN、中森明菜、小泉今日子

第三世代 工藤静香、辰吉丈一郎、ZEEBRA、飯島愛、中居正広、品川祐、綾小路翔、千代大海龍二、鈴木紗理奈

反学校的、悪趣味というキーワードも出てくる。

ヤンキーは「反学校的」だが、完全な反社会ではないだなと気がつく。彼らが好んだ学生服(改造する)も特攻服も、考えてみれば体制側の与えた服装だ。ルールに逆らいたいが完全に破ってしまうわけではない。そして大人になると地域の社会に溶け込んでいき、祭りで主要な役割を担っていったりする。そして「悪趣味」。敢えてダサいファッションを取り入れる。

主にファッションの変遷の分析から、ヤンキーという文化集団の様相が見えてくる本だった。ヤンキー文化論序説とあわせて読むべき本である。しかし、この本も著者はヤンキーというわけではないので、視点の設定に苦労しているのがうかがえる。根がヤンキーだと社会学者にならないわけで、なかなか難しい研究領域なのだなあ。

・ヤンキー文化論序説
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/post-951.html

・本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術
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これは個人的には凄く面白かった。元マイクロソフト社長の成毛眞氏による多読のすすめ。書評ブロガーとしても著名な方である。

・成毛眞ブログ
http://d.hatena.ne.jp/founder/

強烈な個性の本であるため、アマゾンのレビューは賛否両論である。

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こんなことが書かれているからである。

「たとえば「趣味は読書、最近読んだ本はハリポタ、セカチュー」という人は、救いようのない低俗な人である。また、ビジネスハウツー書ばかり読む人も、私から見れば信じられない人種である。まず、『金持ち父さん、貧乏父さん』系の本を読んでいる人、こうすれば儲かるという投資本や、年収1500万円を稼げるといった本を読んでいる人は、間違いなく「庶民」のまま終わるだろう。できる社員系の本を読んでいる人も同じである。なぜならば、他人のノウハウをマネしているかぎり、その他大勢から抜け出すことはできないからだ。」

成毛さんをレスペクトしている読者は、歯に衣着せぬ物言いにしびれる。そうでない人たちは「この人って何様のつもり?」とあきれる。この本自体がノウハウ本という矛盾もある。著者の名前で開かれた講演会みたいなものだと思って買うべき本なのである。

タイトルの超並列読書とはありとあらゆる場所に本を置いて、それぞれの場所で読書するという方法。当たり前だが決して10冊を横に並べて読むわけではない。

「リビングにいるときはリビングに置いてある本を、トイレに入っている本はトイレに置いてある本を読む。1冊の本を持ち歩いて読むのではなく、それぞれの所定の場所でしか読まないのだ。」

実は私も長年、同じことをやっている。ソファアの下に数冊、枕元に数冊、会社の机に数十冊、自宅の机に数冊、実家に数冊、鞄に2冊、常に置いてある。気の向いたときに少しずつ読めるので、自然にたくさんの本を読める。

成毛氏が高所から言いたい放題の本だが、読書が人生を変革するという考え方や、既存の価値観に従って行列に並ぶような生き方をしていてはダメだというイノベーター精神には共感しまくりである。

「私は、3ヶ月に1度ぐらい大型書店に足を運ぶ。ただし、2,3冊を買うのではなく、「ここの端から端まで全部」という感じで大人買いをしている。たとえば、ジュンク堂では気がついたら100冊以上も買い込み、カートを用意してもらったぐらいだ。」

自宅と別荘に4万5000冊くらいの蔵書があるらしい。

「本は捨てない、借りない、貸さない」主義。私も同じ主義なのだが、このまま貯め込むと蔵書スペースが足りなくなる。もっと読んで、稼げということか。がんばろう。

・読書論
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/02/post-932.html

・読書について
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/01/post-913.html

・読書という体験
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/05/post-569.html

・Wiiスポーツ リゾート(「Wiiモーションプラス」1個同梱)
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世界で4500万本以上が販売されたWiiスポーツの続編。Wiiリモコンの感度を高めるWiiモーションプラスによって、細やかな動きを検出できるようになった。ラケットでボールを打ったときの手首のひねりで、飛び先を左右に振るというような技が可能になる。

今回は種目数が多い。チャンバラ、ウェイクボード、フリスビー、アーチェリー、バスケットボール、ピンポン、ゴルフ、ボウリング、マリンバイク、カヌー、自転車、スカイレジャーの12種目。全部試すだけで2時間以上かかる。

全種目の個人的感想を述べると、

チャンバラ:これだけで一本のゲームにしたらいいかも。楽しい。
ウェイクボード:リモコンの持ち方に臨場感がある。爽快。
フリスビー:これは結構、難易度が高いのでは。
アーチェリー:モーションプラスの精度の高さがわかります。精神力。
バスケットボール:タイミング重視です。
ピンポン:最高。前作のテニスに通じる定番っぽさが。
ゴルフ:疲れないので長く遊べる。はまる。
ボウリング:投げる瞬間の細かい動きで勝負
マリンバイク:リゾートスポーツらしさが味わえる
カヌー:ヌンチャク装着で両手でひたすら漕ぐ。スタミナ系。
自転車:ヌンチャク装着で両手でひたすらペダルをこぐ。スタミナ系。
スカイレンジャー:Wiiリモコンを紙飛行機みたいに持つのが面白い

ピンポン、ゴルフ、チャンバラはこれからかなりやりこみたい。カヌーと自転車は梅雨の運動不足解消によいかも。

Wiiモーションプラスを装着することで、リモコン全体が長く、重たくなったことで、より一層、モーション感が高まっている。周囲の人やモノにぶつかる危険度も一層高まった。子供が遊ぶときは、ゲーム内のチャンバラが本当のケンカのチャンバラにならないように気をつけないといけません。

・Wiiスポーツ リゾート
http://www.nintendo.co.jp/wii/rztj/

・「プログラムの追加と削除 一覧出力」
http://www.office-neo.jp/pglst/pglst.html
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Windowsにインストールしたプログラムの一覧を出力するフリーソフト。CSVファイル、プリンタ、クリップボードに出力することができる。PCの管理に役立つ。一覧に表示されるのは、[プログラムの追加と削除]に出てくるプログラムだが、そこに含まれないソフトウェアもユーザーが登録することが可能。

記録として紙に印刷しておけるのが便利である。新しいPCを使い始めるときに一度記録しておくとよさそうだ。

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一覧画面はインストール日、サイズ、最終使用日時、使用頻度などでソートできる。CSVで保存した情報は、「比較」機能を使うことで、前回のチェック時にはなかったソフトの一覧を検出することもできる。コントロールパネルの[プログラムの追加と削除]よりずっと便利である。

私のノートPCには208種類がインストールされていた。ソフトレビューを書いているせいで増えてしまうのだが、整理の参考になった。

・アニメ文化外交
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「アニメ文化外交」をテーマに世界中で講演を続けるコンテンツメディアプロデューサー櫻井 孝昌氏のフィールドワーク。ミャンマー、サウジアラビア、チェコ、イタリア、スペイン、フランス、カンボジア、ラオス、ドイツ、各地で日本のアニメがどのように受け容れられているかを、自身の訪問体験としてまとめた。

日本のアニメが公式の放送では流れていない国でも、いまやインターネット海賊版を介して、各国の若者にはすっかり浸透しているようだ。国際交流基金のバックアップを得て世界中を講演して回る著者のイベントには熱狂的なファン達がたくさん集まってくる。しかも彼らのコンテンツの理解度はかなり深いのである。

「ドイツでもスペインでも、通訳の方に聞いたところ、日本語の「せつない」に完璧に対応する言葉はないということだった。だが、日本のアニメのさまざまな場面で視聴者が感じる「せつない」という感情をヨーロッパのファンは明らかに理解しているというのが、これまで私がヨーロッパをアニメ文化外交で回ってきての印象だ。」

「もったいない」という言葉に続いて「せつない」も輸出できるのかもしれない。こうやって日本人の独特の心性が世界に理解してもらえるのであれば、まさに国際相互理解につながる。

カンボジアでは「まだ腐敗や暴力の根がたくさん残っている知で、友だちを何があっても信じたり、壁に向かって立ち向かっていく主人公たちを描いたアニメを子どもたちに好きになってもらうことの意義」を高く評価されたという。

世界中の若者にとって日本のアニメは、日本人にとっての往年のハリウッド映画やロック音楽のような存在になっているのだと著者は指摘する。基本的にアニメ好きは親日家になる。

「幼年期、少年少女時代、青年期といった多感な時期に長時間触れたコンテンツは、確実になんらかの形で人格形成に影響を及ぼす。そして、自分が好きなコンテンツを作ったクリエイターや会社、国に対して好印象を持つ。アイデンティティの形成期に自分のなかで育った、そうした感情はそうそう消えることはない。そういう意味でアメリカは、ハリウッド映画やディズニーアニメーションを通して、二十世紀、文化外交政策を世界の中でもっとも上手に進めることができたと言うこともできるだろう。」

ところで著者が世界中を回ってわかった、最も人気のあるアニメは、

『NARUTO』
『ONE PIECE』
『犬夜叉』
『BLEACH』
『鋼の錬金術師』

の5本だそうである。

正直、30代後半以上の人間は中身を知らないのじゃないだろうか。かくいう私もアニメは好きな方だが、この5つは世代が違うからよく知らない。日本の宝なのだから、一応、教養として知っておかないと損なのかも知れない。アニメ検定でも受けておくか...。

・アニメ検定
http://aniken.jp/index.html

最近観たアニメで感動したのは「つみきのいえ」。第81回 米国アカデミー賞 短編アニメーション賞受賞で有名になった。ジブリ以外の可能性としてこういうクリエイターが次々に誕生してくるといいのだが。

・つみきのいえ
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「まるで「積み木」のような家。
海面が、どんどん上がってくるので、
家を上へ上へと「建て増し」続けてきました。
そんな家に住んでいるおじいさんの、家族との思い出の物語。」

たった12分で人生の追憶という普遍的な体験を視覚化した。DVDにはナレーションの有無で2バージョン収録されている。ナレーションなしを見てから、ナレーション付を見た。どちらもよいと思うが、なし→ありの順で見るのが正しい鑑賞方法だろう。

・心霊写真
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宗教学者が宗教、科学、芸術の3つの視点で欧米の心霊写真を研究した本。(もちろん心霊写真満載ですが、実はあまり怖くはありませんよ)。

まず19世紀から20世紀初頭の心霊写真の原版は(撮影技術は稚拙だが)芸術作品に近い上質なものが多いことに驚かされる。(それを明らかにするために、この本は印刷にこだわっている)。現代のピンボケ心霊写真とは比較にならない。その洗練の理由の一つが当時の心霊写真は鑑賞を前提として作られたものだったからだ。3000枚も心霊写真を作成したプロの写真家も存在した。人々は誰か大切な人を亡くしたとき、自分の写真を撮ったのである。その横に死者に似た「エクストラ」が浮かび上がってくるのを期待して。

「心霊写真は死別を儀式化し、商業化した。嘆き悲しむ親族や友人たちにとって、心霊写真師の前でポーズを取ることは、故人の生前に「普通の」写真師を訪れたのと同様に、そして個人の死後に葬儀屋に予約を入れるのと同様に、慣習的な行事となった。写真師=霊媒は天国と地上を、死者と生者を、ガラスの板の上で結合させる。この意味で彼らは「司祭」の役割に就いたのである。」

その文化的背景には、

1 写真という科学技術は真実を映し出す信仰
2 不可視のリアリティが実在するという信仰

という人々の意識が横たわっている。霊という古い信仰を新しい技術が支援する関係ができあがった。心霊写真の最初のブームである。もちろん作り物であるから表現方法は時代の影響を受けている。著者は次々に時代背景と表現法の絡みを明らかにしていく。

心霊写真の構図や表現は西欧美術における天使や悪魔などの超自然的存在を図像化するコードと関係があること、ディケンズの小説『クリスマス・キャロル』における亡者達の描写も強い影響を与えたという事例が詳しく紹介されている。たとえば亡霊の文学上の伝統的な表現が「透明」であったため、心霊写真においても霊は半透明で表現されたようなのだ。

「心霊写真は、時代の子として、時代のものの見方、視覚言語、そして画家たちの主題と方法とを反映し、同時にそれに影響を与えた。」。

おそらく同じような現象がUFOやUMA写真、超常現象の報告にも言えるのだろう。私たちは心霊にではなく時代にとらわれているのだ。

・心霊写真 不思議をめぐる事件史
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/08/post-621.html

・ゲームと犯罪と子どもたち ――ハーバード大学医学部の大規模調査より
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「1994年から2001年までに殺人、強姦、強盗、加重暴行による逮捕者数は44%減少し、逮捕者数に占める青少年の割合は1983年以来最低となった。1993年には殺人事件による青少年の逮捕者数が3790人に達したが、2004年は1110人で71%減少した。」

ちなみに1995年が一般には暴力的とされるアクションゲームの大ヒット作『DOOM』の発売年である。この7年間はゲームが一般に浸透していく時期であった。一般の予想に反して、米国では(おそらく日本でも)ゲームの人気と現実世界の青少年の暴力は確実に反比例していたのである。

この本はハーバード大学医学部は1257名の子供と500名の保護者、数百名の業界関係者を対象に、ゲームが子供に与える影響を科学的に調査した報告である。結論からいうと、いくつかの相関はあるが、子供のゲームと暴力行動の間に強い因果関係は認められないという。

確かにゲームをする時間が長ければ長いほど、ゲームの内容が暴力的であればあるほど、男の子も女の子もいじめの加害者である割合が高くなる。週にゲーム遊び1時間未満の子供が加害者になる割合は1.4%だが、6から8時間ゲームをする子供では11.7%である。特に女の子の場合は顕著で、ほぼ毎日ゲームをする女の子は他の女の子と比べていじめの加害者や被害者になる割合が高い。

だが、この数字をゲームが子供に悪影響を与えると解釈しては間違いである。逆に、ほとんどのゲームをする子供がいじめも問題行動もしないことを意味しているのである。圧倒的多数の子供がゲームを遊ぶ中で、たとえ6から8時間も遊ぶような熱中派でさえ、9割の子供には問題が起きないということになる。ゲームと暴力は一部に若干の相関が見られるが、強い因果関係は認められないのだ。軍隊ごっこや宇宙人ごっこと何が違うのか。

そして定期的にゲームをしない(まったくしない、または通常週に0回)という子供の方が、暴力的ゲームをする男の子に比べて、けんかや窃盗、学校での問題行動を起こす割合が多かった。

これについては著者らは「男の子にとってゲームをするのは普通のことであるため、調査結果をそのまま解釈すれば、「ゲームをしない男の子は普通ではない」ということになる。」と解釈している。同様にゲームをたくさんする女の子は普通ではない。だから問題行動につながりやすいと見る。

他の研究事例の分析からは反社会的行動や暴力的行動の多くは遺伝的特性によるものが大きく、メディアの影響はあまり大きくないという事実も挙げられている。ゲームにも何らかの悪影響はあるかもしれないが、総体的に見たら順位が低くて問題にならないレベルというのが著者らの結論である。

ゲームについて保護者にできることとして「最初の一歩は、「子どもを暴力的なゲームから守るには、どうしたらいいですか?」というよく聞かれる質問を「子どもがゲームをする時間をもっとも有効に使えるように、どう手助けすればいいですか?」に変えることだ」という提言がある。

この本にはゲームのレイティング表示の話が出てくる(一定の効用を認めている)のだが、暴力や性的要素を判定するのではなくて、クリエイティブ度だとか教育的効用というポジティブ面を評価する別のレイティングを作ったらいいのではないかと思った。悪いゲームを禁止するのではなく、よいゲームを推奨することができれば、ゲーム市場も活性化するだろう。じゃあ、なにが本当に良いゲームなのか?ということになると、それはそれで調査研究が必要ではあるのだが。

・ダメなものは、タメになる テレビやゲームは頭を良くしている
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/02/post-937.html

・ザ☆歌謡ジェネレーション
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NintendoDSゲーム。素晴らしい。ちょっと感動した。

30代から40代で毎週ザ・ベストテンを熱心に見ていた歌謡曲世代にはたまらない内容。ゲームとしての出来は70点くらいだが、選曲がいいのですべて許せてしまう、個人的には100点をつけたい。収録曲目リストにぐっときたら、絶対に買いである。

70~80年代アイドル達が上の画面で歌いはじめると、下の画面に歌詞フレーズが降ってくる。カラオケ字幕の要領で曲の進行に合わせてタイミング良く、フレーズをタッチする。ジャストのタイミングならオリジナルそっくりの歌声が響く。前後にはずすと音程がうわずったり、落ち込んだりする。音ゲーとしての難易度はかなり低め。

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鑑賞モードではすべての楽曲をただ普通に聴くことができる。ゲームに疲れたらこれだけでも結構、楽しめる。その他、80年代アイテムを集めたり、歌手を着替えさせたりする機能があるが蛇足。ま、曲がすべてですな、このゲームは。

テレビでザ・ベストテンを見ていた時代と、雀荘でこれらの曲をよく聴いた大学時代が目に浮かんでくる。ザ☆歌謡ジェネレーションという名前の通り、特定の世代のみが反応するジェネゲーなのであった。

2を期待する。それと松田聖子だけで続編を作ってくれないかなあ。

●収録曲

1970~80年代を彩どる下記のヒット歌謡25曲+αを収録。当時の雰囲気を再現したステージも10種類以上!田原俊彦、松田聖子、中森明菜、松本伊代、Wink、森高千里等のアイドル歌手やレベッカ、プリンセスプリンセス、ザ・ブルーハーツ等、ロックアーティストの代表曲も幅広く収録!

<収録曲名>
・年下の男の子
・どうにもとまらない
・ランナウェイ
・愛のメモリー
・魅せられて
・贈る言葉
・My Revolution
・抱きしめてTONIGHT
・CHA-CHA-CHA
・TOKIO
・フレンズ
・ツッパリHIGH SCHOOL ROCK'N ROLL(登校編)
・Diamonds
・リンダリンダ
・センチメンタル・ジャーニー
・淋しい熱帯魚
・1986年のマリリン
・17才
・飾りじゃないのよ涙は
・セーラー服と機関銃
・ハイスクールララバイ
・セーラー服を脱がさないで
・Romanticが止まらない
・ギザギザハートの子守唄
・旅立ちはフリージア


・ザ☆歌謡ジェネレーション
http://www.aqi.co.jp/product/utagene/

・美人好きは罪悪か?
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現代における美人の意味をさまざまな角度から問い直すエッセイ集。「もてない男」の評論家 小谷野敦による新書。表題のもてないけど美人が好きはいけませんか問題から始まる。

「二十世紀後半以後の人間は、未曾有の時代を生きているが、テレビや映画で、ふんだんに美女の姿を目にするというのは、昔であればありえない話だった。むろんその国の中心都市には美人が多いから、田舎者が都会へ出て美人に心奪われるといった話も多いけれど、テレビや映画はその比ではない。隣近所の娘たちだけ見て、まあこの程度が美人、と思っていた時代とはえらい違いである。」

「今の日本で、二十代の女性は七百万人くらい、三十代前半まで入れれば一千万人を超える。十人に一人の美人なら七十万から百万人、百人に一人という美人でも、七万人から十万人いるのである。」

メディアに登場する女性は美人が多い。全体では計算上は総数も多い。それにも関わらず、周囲に自分とつきあってくれる美人をみつけるのは難しいわけで、それが現代人に「ある疲れをもたらす」と著者は嘆いている。今は「美への憧れが強いけれど現実の美女を手に入れられない男を大量生産する時代」なわけだ。

メディアは容易に手が届かないものを作り出し、それへの欲望を煽る。そんな状況とどう向き合っていくかというのが、美人問題に限らず他のテーマについても、現代人にとって普遍的な問題なのだろう。美人論はほとんどメディア論である。

著者は近年の文学賞の成功度と受賞者における女性作家(しかも美人)の割合が正比例していることも指摘している。美人だから受賞したわけでなくとも、出版社は美人の経済効果を利用して本を売る。文学の内容もいずれ振り返ったときに、著者が美人であることの影響が出てくるだろう。

他に谷崎潤一郎の描く美人、髪型とヌードの関係、不美人ヌードの味わい、など、どうでもよさそうだがなんだか気になる問題について半ば趣味的に半ば探究的に語り尽くされている。井上章一の近著「日本の女が好きである。」と対で読むと良い内容。

・日本の女が好きである。
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/06/post-1010.html

・びっくり3Dペーパークラフト 犬&牛セット
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3Dの錯視が体験できるペーパークラフト。

犬と牛のペーパークラフトがあって、説明図に従って何箇所かを立体的に山折り谷折りすると完成。これを見ると動物が立体的に見えてくるという。やってみたが最初の5分間は意味がわからなかった。もともと立体的な構造じゃないか、これ。何が楽しいんだろうと思っていたのだが...。

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ところが焦点を動物の顔にではなく、背景に移して見ると、おお、できた!。確かに動物が奥行きをもって立体的なものに見えてきた。その顔を直視しようと目の焦点を手前に合わせてしまうと立体感が失われてしまう。不思議な体験。
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2Dの錯視はよくあるが3Dというのが珍しい。先日、渋谷で開催されている「奇想の王国 だまし絵展」に行った。そこにはさらに物凄い3次元錯視作品が展示されていた。

誰もが驚いていて足を止めていたのが展示終盤近くにあるパトリック・ヒューズ作「水の都」。2次元の普通の絵を眺める場合、鑑賞する人間が上下左右のどこから眺めようが変わらないわけですが、この作品の場合、まるで額の中に本当の空間があるかのように変化します。しばし自分の目を疑いました。

・奇想の王国 だまし絵展
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/09_damashie/index.html
6月13日~8月16日まで渋谷のBunkamura ザ・ミュージアム
この展覧会はとても楽しいのでおすすめ。ショップも充実。

・パトリック・ヒューズ
http://www.patrickhughes.co.uk/

・AKANAME
http://muratagumi.sakura.ne.jp/010/
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デスクトップに気がつくと50個以上のアイコンが並んでしまうわけだが、プレゼン時には大変見苦しいのでどうにかしたいと思っていた。

この問題を解決してくれそうなツールを発見した。

AKANAMEはデスクトップから移動させたいファイルの条件を、

ファイルの拡張子
ファイル名に含まれるキーワード
ファイルサイズ(指定サイズより大きい、より小さい)
ファイルの作成日時(指定日時より新しい、より古い)

でルール指定し、さらにそれぞれの移動先を設定しておくと、定期的にデスクトップを監視して、該当するファイルを移動整理してくれる。移動ログ表示機能もあるので何が行われたかを確認もできる。

このツールを使っていれば、一時的にデスクトップを散らかしても、もう大丈夫である。

・仏陀―その生涯と思想
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「この人を見よとわたしはいう。なんとなれば、ここにわたしどもが考えうるかぎりの、最高の人間像があるからである。」初期の経典や史実を紐解くことで、偶像としての虚飾を排し、一人の人間としての仏陀の実像に迫った、高名な仏教学者の傑作。

著者は人間の理想像としての仏陀を正確にとらえようとする。そのために阿含部と呼ばれる仏教の最初期の教典に重きを置いて、修飾されない仏陀本来の姿を再現する。たとえば仏陀は誕生したとき「天上天下唯我独尊」と言ったのは後生の作り話だし「生まれによりて聖者になるのではない」ことが仏陀の真の偉大さなのだと教える。

生誕から出家、最初の説法、有名な山上の説法、伝道の長い旅、祇園精舎、最後の説法、入滅まで、人間としての仏陀の生涯を代表的エピソード単位で追いかけながら、それぞれの教えの本来的な意味を著者が解説している。仏陀を偉大に見せるためのお化粧を、初期教典検証によって取り除き、その素顔が見えてくる。

相手を見て理を説くべきだという「対機の説法」はブッダが教えた伝道の方法論だが、それ故に仏教の基本知識のある者とない者向けには、説教の内容が変わる。日本の仏教はさらに神道や民俗信仰が融合して伝わっているので、多くの日本人にとって仏教はなんとなく知っている状態である。そういう状態はこの本が書かれた昭和20年代頃と大差がないかもしれない。著者は仏教本来の教えと、天国と地獄があるような伝道上の方便を区別して説明している。わかりやすさより"本物志向"で仏教を知りたい人向けだ。

後半にでてくる「中道の教え」は無宗教の私が仏教哲学に魅力を感じる部分だ。

琴を弾くのが上手なソーナという弟子との対話で、仏陀はいう。琴の糸があまりに強く張られていたらよい音がするだろうか?。次に、あまりに弱く張られていたらどうだろうか?。どちらにもソーナは否と答える。仏陀は「それでは強すぎず弱すぎず程よく張られていたら良い音がするであろう」、それこそが目指すべき究極の状態として中道の教えを説いた。

「その教えとは、いうまでもなく、中道の教えである。中道の教えは、釈尊の教説のあらゆる部分を貫いて存する。哲理について言えば、有無の二端をはなれることであり、実践に即して言えば、苦楽の二極におもむかざることであり、さらに修道の実際についていえば、いま釈尊がソーナのために説いたように、「諸根の平等をまもり、平等の精進に住し、かの中における相を取る」こととなるのである。」

ここで「中道度メーター」というものを設定してメーターの極端を目指せばいいなどと安直に考えるのは、たぶん間違いなのだろう。ブッダが言ったのは「良い音」という公理の異なる世界での価値だったのだから。

手塚治虫の漫画「ブッダ」やヘルマン・ヘッセの「シッダールタ」で仏教に興味を持った読者に特におすすめ。

・シッダールタ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/02/post-708.html

・ブッダ 全12巻 漫画文庫
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/04/12-2.html

・悪の遺伝子―ヒトはいつ天使から悪魔に変わるのか
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美しかったが性格異常の姉に苦しめられた女性科学者が、私怨をこめまくって書いた悪の遺伝子研究の本。「邪悪な」姉の写真も使いまくりながら、他者を陥れる異常性格が形成される理由を暴こうとする。

「一見して、邪悪としか思えない人物がなぜ存在し、政治や宗教、学問の場、一般の職場やふつうの家庭まで、さまざまな社会構造の中で、いかに「役割」を果たしうるのか、あるいはトップにまで昇りつめることすらありうるのか?」

ヒトラー、ムッソリーニ、ポル・ポト、チャウシェスク、サダムフセインには不気味なほどの対人スキルの高さと感情の乏しさという共通点があった。脳を調べていくと、正常な人と反社会的な人では、「血・下水・地獄・レイプ」などのキーワードを聴いたときの脳の反応の仕方が大きく異なっていた。道徳心は実体のある神経学的プロセスである可能性があるという。

古典的な優生学は非科学的であり社会的にも認められないものとして排除されたが、遺伝子の研究、脳科学は、人間の尊厳に関する新たな問題を提起しようとしている。この本が主張するように、邪悪な人間になる遺伝子があって、破滅的思考を生む脳内回路を作り出しているのだとすれば、遺伝病を防ぐのと同様に治療で消すべきなのか、心をいじるべきなのか、倫理的に難しい問題だ。

邪悪な人間がなぜ「偉大な指導者」にのぼりつめるのか。社会学的な考察もある。毛沢東の主治医は「毛沢東を知れば知るほど、彼を尊敬できなくなる。内輪のサークルを入れ替え、新たな崇拝者の一群を入れることで、こびへつらう人間を確保していたのだ。」と証言している。もともと利己的な遺伝子を持つ人間が、利己的であるが故に社会の階段を上がっていき、大きな権力を手にすることで、その異常さを加速させていく。これは結構普遍的な話だろうと思う。偉い人に性格異常者がいるのは世界共通の真理だろう。たくさんの歴史的英雄の邪悪な一面が挙げられている。

ただし、この本がユニークなのは、著者の邪悪な姉の思い出「姉はこうして狂っていった」で恨み辛みがビジュアル資料つきで繰り返し語られるところのほうである。著者の邪悪な遺伝子の解明に向けての内面的な駆動力となっていることをあからさまにしている。であるが故に、本書の議論の進め方は科学的アプローチからはかなり逸脱している。真面目なサイエンスを期待すると失望するだろう。一人の執念の研究者のゆがんだ半生記として読んだ方が楽しめる。

・人はなぜ怒るのか
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怒りを感じる → 怒りの内容を分析する → 怒りに対処する

どうも人は年をとると怒りっぽくなる。若いときと違うのは自分が怒っているとことを冷静に認識していることだ。心理カウンセラーが著したこの本では怒りの原因を不一致による違和感に求める。

怒りの理由への洞察。期待値と一致せず、裏切られたと感じたときに怒りを感じる。「~べき」「~しなければならない」「~すべきではない」「~してはいけない」という規範意識が根底にある人ほど怒ることが多くなるのが基本原理である、という。

怒りを掘り下げていくと、恐怖や不安、心配や寂しさ、恥や罪の意識などの裏感情が怒りを強化している。それらの負の感情を意識的に軽減する練習をしよう、というのが本書の趣旨。怒りの上手な表現方法(事実、裏感情、欲求と願望を整理する;怒りを表現する ほか)やイライラをワクワクに変える22の方法(違和感を大切にする;自分のココロの声を言葉にする)を解説していく。

「中と大の怒りは練習によってかなり減らすことができます。しかし、日々の小さな違和感は生きていくうえで、ある程度避けようがなく、また、この違和感は、実は日常生活を快適に送るためになくてはならない、ありがたい道しるべにもなるものです。なぜなら、小さな怒りは、日々発生するさまざまな問題を小さな芽のうちに教えてくれる予防のための貴重なサインだからです。」

魔法のように抑え込むことはできないが、怒りとつきあうためのヒントブックである。読んでも全然解消しないじゃないかと怒らないで欲しい。こうした本を読んで怒りについて意識的になること自体が、怒りの制御に現実的で効果があるような気がする。

・いやな気分の整理学―論理療法のすすめ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/post-775.html

・自己評価の心理学―なぜあの人は自分に自信があるのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-827.html

・アタマにくる一言へのとっさの対応術
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/09/post-632.html

・死ぬまでに知っておきたい 人生の5つの秘密
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/12/-5.html

・ムーミン谷の名言集―パンケーキにすわりこんでもいいの?
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/10/post-475.html

・もうひとつの愛を哲学する―ステイタスの不安
http://www.ringolab.com/note/daiya/2005/12/post-331.html

・日本の女が好きである。
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『美人論』の井上章一による美人とそうでない人の研究。

著者は、外国人に日本の政治や社会を批判されても反感がおこらないが、日本の女はぶさいくだと言われれば立腹してしまう自分に気がついたという。「日本の政治や社会は、すこし愛していない。ああ、おれが心から愛しているのは、日本の女だったのか」。美人をめぐる社会学の論考集である。

著者は相変わらず美人の変遷を追いかけている。ここでは古墳時代から中世まで遡って考えたとき「高松塚美人も樹下美人も、みな下ぶくれにえがかれている。源氏物語絵巻も、その点はかわらない。みな、おむすび顔になっている。だが、どうだろう。あんな顔面をもった人間は、ほんとうにいたのだろうか。」と問題提起する。

そして絵画類から美人史を復元する試みは、「セーラームーン」の絵を見て20世紀には顔の二割を占めるような大きい目が美人の条件だったとするのと同じだと指摘している。写実的でない絵画からは、こういう図柄が美人を表すという約束が読み取れるに過ぎない。下ぶくれ美人なんていなかったかもしれないのである。青銅器は出来たばかりは黄金に輝いていたという事実を知ったのと似た驚きがあった。

時代は降って容貌の美醜による行動の違いを分析するというのは、現代ではタブーである。美人群とブス群とで同じ実験をやって結果を比べるなんてわけにはいかない。ところが、戦前であれば結構ありだったらしく、著者は興味深い研究記録を過去から発掘してくる。

たとえばある研究では女性の囚人260人を美しさで5段階に分類した。姦通罪をおかした女性を調べると平均以下の不美人に集中していたという。不倫をするのは不美人が多いのはなぜか。それは美人妻は浮気をしても夫から訴えられない傾向があるからだなどという凄い結論が出ていたりする。

女学校の卒業生の追跡調査も生々しい。こちらでも女学生の美醜を複数の人間が見て5段階にレイティングした後、10年後の結婚状況を調べた。すると最も美人と最も不美人の層が結婚できていたのである。

「容貌5段階の最上五点のものと最下点一点のものとは全部結婚して結婚率100%である。然るに中間の四点及び三点のところでは結婚率50%......二点のところでは僅かに20%。」という結果になった。これは美人は早く結婚できて当然だが、最も不美人な層は容貌に自惚れがなく結婚申し込みがあれば喜んで応じたためだろうと解釈されている。

客観的な意味で美人、不美人は多数の評価を平均すれば厳然とあるものだろうし、その条件が女性の個人の人生に極めて大きな影響を及ぼすことも事実だろう。タブーにしないで、もっと研究する価値のあるテーマであるように思える。

このほか美人を巡るテーマは多彩。雑誌連載ベースのソフトな読み物。

・愛の空間
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/04/oso.html

・性の用語集
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/11/post-482.html

・刺青とヌードの美術史―江戸から近代へ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/07/post-807.html

・ナンパを科学する ヒトのふたつの性戦略
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/04/post-972.html

・ウーマンウォッチング
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/post-958.html

・キルヒャーの世界図鑑―よみがえる普遍の夢
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アタナシウス・キルヒャー(1601~1680)はルネサンス最大の綺想科学者と呼ばれる。バロック音楽の研究第一人者、地質学の父、幻灯機や自動演奏機械の発明者、ヒエログリフの解読者、アジア文化の研究者、論理学や記号学の専門家、博物館の設立者などあらゆる分野に通じた。

「キルヒャーが同時代人たちと共有していたふたつの仮定によって、歴史はきわめて簡潔なものとなった。第一の仮定は、世界が創造されたのがキリストの降臨から数えてわずか4053年前であったこと、第二の仮定はそれから1657年めに世界を襲った大洪水のために、人類が八人を残して絶滅したことである。」

その時代の科学は、「神意がいかにはたらくか」を見抜くことが目的であった。キルヒャーは聖書の記述を信じた。ノアの箱船やバベルの塔の実在を疑わなかった。それらの実在を前提として、当時のあらゆる分野の知識を総合し、壮大な統合的宇宙観を完成させた。そしてその知識体系を多くの図鑑本として後世に残した。

キルヒャーは著書『ノアの方舟』には想像の方舟透過図を描いている。聖書の記述通り三層構造で中央の廊下で分断された部屋には、上層が鳥類、人間、中層は食糧その他の貯蔵室、下層が四足獣、船底に蛇が割り当てられている。他の本でもキルヒャーは、伝説の建造物や動物を見てきたかのように精密に描いた。図示・図解の重視がキルヒャーの研究の特徴であった。イメージ喚起力が抜群である。

キルヒャーは比較宗教学の祖でもある。聖書記述を絶対的に信じながらも、宗教に共通するシンボル体系を抽出するなど、あらゆる宗教に真理の存在を認める部分もあった。矛盾を包含しながらリアルな世界を描く壮大なだまし絵的なアプローチを取ったのだといえる(キルヒャーはだまし絵の研究者としても知られる)。

「キルヒャーは、いかなる伝統にも顕教的側面と秘教的側面とが共存し、つねに後者のほうが真理に近く、しかもそれはほかの伝統における秘教的教義に類似していることを実感した。」

キルヒャーは生前から科学者には批判の集中砲火を浴びていたらしい。絵は描けても、論理的には矛盾しているのだから当然である。極東から伝わる伝聞も検証せずに信じていたので、キルヒャーのアジア研究書には、どこにも存在しなかったシナやインドの奇妙な生活習慣や動物が描かれている。

結局、キルヒャーが描いたのは世界はこうあるべきだという絵なのである。当時判っていること、伝わっていることを無理矢理の超統一場理論で統合してしまった。学術の専門分化が進む前に、何とか世界を丸ごと理解できた最後の時代の人であった。

キルヒャーは有名だが、図資料が満載の和書は少ない。錬金術的世界観(キルヒャーは錬金術そのものは否定したが)が好きな人は視覚的にとても楽しめる貴重な一冊。

・西洋絵画名作101選
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私は美術館が好きだが美術史をよく知らない。有名な絵画を前にして「ほら、これはあれだねえ」なんて会話になってしまう。有名な絵とそのタイトルを一致させるために購入した。「世界最高水準の『世界美術大全集 西洋編全28巻』と同じ印刷技術」を使っているそうで、極めて美しい大判の画集。重いので寝ながら読むのだが、横から眺めている幼稚園の息子の方が先に作品名を憶えてしまった。教育用にもよいらしい。

絵画の解説が詳しい。美術知識よりも鑑賞の役に立つ記述が中心である。

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たとえばブロンズィーノ「愛のアレゴリー」にはこんな説明がついている(抜粋)。

「中央の女性はヴィーナスだが、手には禁断の果実を持ち、自分の息子であるキューピッドと恋人同士のように口づけしながら、キューピッドの矢をそっと取り上げている。左下の鳩は「愛欲」の象徴、薔薇の花びらをもって踊る男の子は「快楽」を表わし、その後ろの少女は下半身が怪物になっていて、手には蜂蜜と蠍を持っており、「欺瞞」を寓意している。キューピッドの背後の老婆は嫉妬。 これら愛のマイナス面の象徴群を覆う青いベールを剥いでいる(あるいは覆っている?)のは、左上の「真理」の擬人像だが、よく見ると仮面をかぶっている。ベールを奪うようなしぐさをする老人は、肩に砂時計をのせた「時」の擬人像で、「時は真理のベールを剥ぐ」ということわざに基づいている。しかし「真理」ですら偽りの仮面をつけているのだから、何が真理で何が偽りなのかわからない。」

当時の宮廷人たちは、この絵を前に知的な謎解きの会話を楽しんだものらしい。美術は見たままに味わえばよいという考え方もあるが、背景知識はやはり教えてもらわないとわからないことである。鑑賞の深さも変わってくる。

第1章 イタリア・ルネサンス
第2章 北方ルネサンス~マニエリスム
第3章 バロック
第4章 ロココ~レアリスム
第5章 印象派~キュビズム

から101の名画が選ばれている。

絵と解説を分けたのは正解であると思う。鑑賞時はじっくりと考えずに味わうことができる。

本だと聖堂の天上画を楽に眺めることができるのも良かった。

・踊り子クリノッペ お研究レポート
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私はグリーの社員ではないのだが11番目のユーザーだ。でもここ数年はほとんどログインしていなかった。それを変えたのがこれ。

http://gree.jp/11

Greeが展開する携帯電話向けのキャラクター育成ゲーム「踊り子クリノッペ」のガイドブック。若年層が楽しむ携帯ゲームの研究ということで、リサーチャー視点ではじめてみたが結構面白くて有料会員になってしまった。

「クリノッペは、目鼻がない手のひらサイズの謎の生き物。ダンスが得意で、プニプニした体を動かして感情を表現する。クリノッペは「つっつく」や「世話をする」ことで成長していく。これらをバランスよく行い、愛情とキモチをこめてクリノッペを育てていこう。」

クリノッペは携帯の中にペットを飼うわけだから、日常的な「お世話」が求められる。食事を与える、風呂に入れる、運動をさせるなど、手間暇かけることを楽しむ内容。長期間食べさせないとハラヘリ、食べさせすぎるとブトリ、しばらく風呂に入れないとムシワキ、風呂でのぼせたり、運動をさせすぎたりするとバテリというよろしくない状態になってしまう。放置しておくとミイラになってしまうらしい。見たことないが。

この本は説明書。これといった秘密やコツが書かれているわけではないのだが、全体像が理解できてよかった。が、最大の購入目的は一冊にひとつついてくる特典ID。限定コスチューム、限定飴ちゃんセットをもらうことができる。特典チケットの有効期限は2009年10月末日。

・踊り子クリノッペ
http://gree.jp/?mode=static&act=page&page=ext_special_clinoppe

・ラーメンズ・片桐仁のガンプラ戦士ジンダム
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ラーメンズ・片桐仁のガンダム偏愛本。何かのファンである情熱を、他人が見ても楽しめるように表現できるというのはすばらしい。

この本、ガンプラを使ったコント?映像多数で構成されている。

たとえば、

・お中元に贈りたいガンプラを厳選せよ!!
・抱かれたいガンプラ
・ボーナスで現物支給されたくないガンプラ
・35万円ガンプラ製作ルポ
・W杯ガンプラ日本代表を作成せよ!!
・ガンプラで内閣発足!
・有名人とそっくりなガンプラ
・ガンプラの脳内チェック
・受験に役に立つガンプラ
・夏休みの工作として提出したいガンプラ
・端午の節句に飾りたいガンプラ
・ガンプラ組体操

などをカラー写真とテキストでお笑いコンテンツ化している。お中元に贈りたいガンプラの第1位はカニと一緒に箱詰めされたシャア専用ズゴックの写真。クリの詰め合わせ入ったゴッグは保護色みたいでしっくりくる、とか。つまりガンプラマニアでないと何が面白いのかさっぱり理解できない充実した内容。私は、ザク→グフ→ドム→ゲルググという量産メインストリーム系よりも、ザクレロ、ゾック、ギャンなどの"仲間はずれ"系が好きだが、そういうツボにはまる企画もいろいろ。

1/12スケールの巨大ガンダム(35万円)を組み立てる話があったが、いまや、お台場には実物大18メートルのガンダムが立とうとしている。ガンダムも凄いがそのファンダムはさらに凄いのである。

・ガンダム、大地に立つ-18メートルの等身大立像で都市再生をPR
http://shinagawa.keizai.biz/headline/539/


・HY2M HYPER HYBRID MODEL 1/12 RX-78-2 GUNDAM
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・ザク大事典 All about ZAKU
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/-all-about-zaku.html

・MG 1/100 ズゴック MSM-07と愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV ジャブロー編
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/01/mg-1100-msm07-the-origin-iv.html

・HGUC 1/144 MSM-10 ゾックと機動戦士ガンダムTHE ORIGIN
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/02/hguc-1144-msm10-the-origin.html

・機動戦士ガンダム THE ORIGIN、MGアッガイ、ターゲット イン サイト
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/01/the-originmg.html

・ガンプラ・パッケージアートコレクション
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/08/post-820.html

・俺たちのガンダム・ビジネス
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/11/post-662.html

・ガンダム・モデル進化論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003091.html

・やんごとなき読者
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凄く面白い。

やんごとなきエリザベス女王陛下が、読書にハマってしまったことに始まる王室の大騒動を描く。もちろんフィクション。著者は有名な劇作家のアラン・ベネット。英国では30万部のベストセラーとなった話題作。英国流の上質なウィットとユーモアを堪能できる喜劇である。

宮殿を訪れた移動図書館に女王陛下が入り込んでしまう。

「「陛下はどんな本がお好きですか?」女王は躊躇した。実を言うと、何が好きなのか自分でもよくわからなかったからだ。昔から読書にはあまり興味がなかった。もちろん人並みに呼んではきたが、本を好むなどということは他の人にまかせてきた。それは趣味の範疇であり、趣味をもつのは彼女の性質にふさわしくなかった。」

しかし女王陛下は趣味の読書に公務そっちのけでのめり込む。その内容について首相や訪問者に意見を求めはじめる。王室と上流階級は女王の真意を測りかねて大混乱。こんな事態になった責任は誰が取るのか、進退問題にも発展したりする。それでも平然と女王の読書三昧は続く。

「読書の魅力とは、分け隔てをしない点にあるのではないかと女王は考えた。文学にはどこか高尚なところがある。本は読者がだれであるかも、人がそれを読むかどうかも気にしない。すべての読者は彼女も含めて平等である。文学とはひとつの共和国なのだと女王は思った。」

高位の人間が知的であることの弊害をユーモラスに描いている。偉い人から自分が知らない高尚な趣味の世界の話題を振られると、どう答えてよいものか戸惑うことが最近あったが、やんごとなき御方は何事もほどほどにしておくのが周囲のためなのだという教訓を学べる。

私が代表をつとめるNPOオーバルリンクのセミナー開催のお知らせです。

~ パパ料理研究家 × 電脳子育て × ウーマン・オブ・ザ・イヤー ~

時代の最先端で戦うWeb2.0の世代の私たち。ライフハックやテクノロジーで仕事効率を追求するのは上手だけれど、そろそろ、効率化できない部分、生活や家庭のこと、教育のこと、地域や社会との関係のこともトータルバランスで考えてみませんか。

本セミナーは、個性的な生き方、働き方をしているデジタル業界の起業家3人をスピーカーとして、「パパ料理」、「デジタルネイティブ」、「ワークライフバランス」をキーワードに、仕事と生活の最適化を考えるイベントです。会場を提供してくださるデジタルハリウッド杉山校長にも本テーマを総括するお話をいただく予定です。


詳細とお申し込みはこちら
http://blog.ovallink.jp/

【講演予定】



■1 「家族の笑顔のために料理をつくるパパ」で(株)ビストロパパの未来ビジョン


スピーカー:滝村雅晴氏


パパ料理研究家
株式会社ビストロパパ 代表取締役(本社:東京都港区)
NPO法人ファザーリング・ジャパン 社員
NPO法人日本食育協会会員 食育指導士
元デジタルハリウッド執行役員
一澤信三郎帆布×BistroPapaのコラボエプロンを企画、Bistro Papa Online
Shop(http://shop.bistropapa.jp/)にて限定販売開始。


■2 「デジタルネイティブの育て方」アルファブロガーのe子育て実践レポート


スピーカー:橋本大也氏

http://www.ringolab.com/note/daiya/
daiya.jpgデータセクション株式会社代表取締役。起業家、アルファブロガー、NPOオーバルリンク代表、一児の父。著書に「情報力」「情報考学
Web時代の羅針盤213冊」「新データベースメディア戦略」「アクセスを増やすホームページ革命術」他。



■3 デジタル女性起業家の視点で考えるワークライフバランスの理想形
スピーカー:粟飯原理咲(あいはらりさ) 氏

http://www.ai-land.co.jp/
aihararisa.jpgアイランド株式会社代表取締役として、「おとりよせネット」「レシピブログ」「朝時間.jp」などの女性向けポータルサイトを運営。NTTコミュニケーションズ株式会社先端ビジネス開発センタ、株式会社リクルート次世代事業開発室・事業統括マネジメント室勤務、総合情報サイト「AllAbout」マーケティングプランナーを経て、2003年7月より現職。日経ウーマン誌選出「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」2000年度ネット部門第1位、2003年度同賞キャリアクリエイト部門第6位受賞。

 ■4 デジタルハリウッド学校長 杉山流のクリエイティブ・バランス


日時 6月26日(金) 
20時開始(19時45分開場) -22時
場所 デジタルハリウッド大学 メインキャンパス
参加費 3000円(デジハリ学生は無料)

予約は下記よりお願いします。

http://blog.ovallink.jp/

・女装と日本人
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自身がトランスジェンダー(性別越境者)で性社会史研究者の三橋順子氏が書いた女装からみた日本論。中身が濃い研究成果だ。濃すぎて度肝を抜かれる。著者は本書冒頭で自分は「性同一性障害」という立場を取らないと最初に宣言している。そもそもトランスジェンダーは日本文化の重要な要素であるいう。

「女装のヤマトタケルの物語、男装の神功皇后の風習を考え合わせると、双性的な人が常人と異なる力や「神性」をもつという「双性原理」が、日本の伝統文化の中に根強く存在することは、間違いないと思うのです。」

歌舞伎の女形が人間国宝である日本。盛り場でニューハーフショー、ゲイバーが人気である。テレビを付ければ、美輪明宏やIKKO、おすぎなど性別越境者が活躍する芸能界がある。日本の現代社会はトランスジェンダーに対して比較的寛容だ。欧米キリスト教圏では女装者が迫害されてきた歴史と対比される。

「日本の近現代社会は、上からの「近代化」によって構築された社会システムや「変態性慾」論の影響を受けたインテリ男性の意識は、性別二元・異性愛絶対的で、異性装者や同性愛者に否定的・抑圧的である一方、そうしたものが届かなかった一般庶民の意識は、前近代のままで、異性装者や同性愛者に対して抑圧的ではなく、異性装芸能への嗜好に表れるように異性装者に対しては親和的ですらある、といった二重性をもつことになりました。」

日本神話、僧侶と稚児、歌舞伎の女形、江戸の陰間茶屋、日本のゲイバー営業の歴史(男性同性愛系と女装系)、女装コミュニティや雑誌の昭和全史、著者自身の半世紀など、写真資料も豊富に日本のトランスジェンダー文化を徹底レビューしている。その生々しさに圧倒される。

トランスジェンダー5つの機能として

・宗教的職能
・芸能的職能
・飲食接客的職能
・性的サービス的職能
・男女の仲介者的機能

が総括されていた。

歴史的には、双性の美を愛でるのは男性が中心だったのだが、現代では女性がニューハーフショーやゲイのスタイリストを好むように、女性が消費主体に変化してきたそうである。マーケットとしても広がりを持ち始めた。帯に「"女装"を抜きに日本文化を語れない」とあるが、最近盛んな「ヤンキー論」と並んで「女装論」も日本を読み解く秀逸な着眼点になるのかもしれない。

・〈性〉と日本語―ことばがつくる女と男
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/11/post-669.html

・武士道とエロス
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/06/post-410.html

縄文の思考

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・縄文の思考
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考古学資料から縄文時代の豊かな精神世界の形成を説明していく。

素材を割ったり削ったり磨いたりして最終的な形態をつくりだす「引き算型造形」から、素材を継ぎ足してつくる「足し算型造形」になったのというのが縄文土器の特徴だそうだ。岡本太郎がその美を再評価した火焔土器や土偶の造形は、モノの出し入れの邪魔になる不要な突起に満ちており、無駄の塊である。この無駄こそ精神性の高さであり文化の発現だった。

縄文の精神世界の急速な発達は何に起因するものなのか。著者は壁や屋根のある閉鎖的な居住空間(イエ)やその中で家族が囲んだ炉が大きな役割を果たしたのではないかと論じている。

「壁で四周を囲まれて閉じられた住居は、縄文人が創り出した縄文人独自の空間である。その性質は他のいかなるものとも画然と区別され、固有の装置によって象徴的意味をもたらした。聖性を備え、家族の身と心を安堵させるイエ観念をはっきりと意識させたのだ。」

自らの技術が作り出した居住環境のフィードバックを受けて、精神のあり方が変わっていく。イエ(閉鎖居住空間)、ムラ(生活の根拠地)、ノラ(農地)、ハラ(周囲の自然)、ヤマなど、わかりやすい言葉で、縄文時代の精神世界が説明されている。

「火を囲んでただ座っているとお互いに息苦しくもなるから、場をなごますためにあれこれおしゃべりが口をついて出るようになり、そこから団らんというものが生じた」

この団らんの中でその日の現実に起こった体験を語るようになる。毎日の飽きを克服するため、話を大げさにしたり他人の話を借りて膨らませたりするところから物語が発生する。個人の物語が蓄積されて共有されムラの共同幻想としての抽象的世界が形作られる。代々語り継がれた物語はやがて伝説・神話となっていった。

環境の大きな変わり目という点では現代はネットの縄文時代かもしれない。私たちはインターネットという仮想環境の中で長い時間を過ごすようになっている。仮想空間、情報空間の中での過ごし方にも新しいタイプの団らんがあるし(チャットやTwitterなどがそうだ)、独特の話し方が生まれてきている。ネット時代も新たな伝説や神話を発展させ人類の精神性を進化させたりすることもあるのだろうか。

・日本語に探る古代信仰―フェティシズムから神道まで
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/post-959.html

・日本人の禁忌―忌み言葉、鬼門、縁起かつぎ...人は何を恐れたのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/2004/01/post-51.html

・日本の古代語を探る―詩学への道
http://www.ringolab.com/note/daiya/2005/03/post-210.html

・古代日本人・心の宇宙
http://www.ringolab.com/note/daiya/2004/05/aaulesif.html

・日本史の誕生
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/08/post-799.html

・24本骨傘 高強度グラスファイバー仕様 【雨宿】 (あまやどり)
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今日ははじめての傘評。

私はよく傘をなくす。朝に傘を持って出た日は3回に1回くらいなくす。電車や飲み屋に置いてきてしまう。980円くらいのカラー傘を駅のコンビニで買うことが多いのだが、梅雨のシーズンは5本くらい紛失してしまうわけで合計すると結構な散財である。

逆に、こだわりの高い傘を買えばなくさなくなるのではないか?と考えた。というか、Amazonをぶらぶら(ブラウザーなだけに)していたら、定価10500円が72%オフで2980円という絶妙なプライシングの高級傘を見つけた瞬間に思いついた。即購入。1万円の傘(出したのは3000円だが...)と思えばなくさないはず、である。

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使用時直径が最大約104cmと余裕の大きさ。24本も骨があるがグラスファイバー製で軽量。持ち手が人工皮革で手触りがよい。骨は風に強くて裏返りにくいなど、コンビニで980円のカラー傘とはかなり出来が違うのであった。とても満足。

"持ち運びに便利な収納ケース"が付属。

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こういう風に使えるらしいのだが...これじゃ忍者みたいだ。確かに電車内でも人に迷惑をかけず、なくさないですみそうだが、うーん。

高級傘は海外ブランドが多いようだが、日本人の職人が手がける皇室御用達オーダーメイドの傘というのを見つけた。オンラインの傘販売の老舗Kasaya.comが取り扱っている。仕上がりまで2~4ヶ月かかるらしい。価格は16000円~。

・皇室御用達 前原光榮
http://www.kasaya.com/ordermade/maehara1.htm

・PLANEX Bluetooth Ver2.1+EDR対応 Microサイズ USBアダプタ
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PCにBluetooth通信機能を加えるための極小サイズのアダプター。重量たった2グラム。商品写真ではノートPCだが私の場合はデスクトップPCに取り付けている。

私は外出の直前になって「あのデスクトップPCで作業していたファイルを持ってかなきゃ」ということがよくある。携帯するノートPCを起動して移すのは面倒だし、USBメモリもどこにあるかわからない。で、結局、常に持ち歩く携帯電話に直接ファイルを送れると便利なのだ。最近の携帯電話はPDF、ワード、エクセル、パワーポイントなんでも閲覧できる機能がついている。移動時間中に内容をちらっとチェックできる。これから訪問する先の地図をWebから携帯へホイと移しておくのにも使える。

パソコンと携帯電話間を高速に接続するBluetoothは、ファイルサイズをあまり気にせずに送受信できて便利である。携帯カメラで撮影した写真をフルサイズでパソコンへ移すのにも適している。メール経由だと結構重たいから。

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付属CDROMにはファイルの送受信ソフトが付属している。最初に携帯電話をデバイスを登録すると、次回からはすんなりと通信が可能になる。職場と家庭のPCにどちらもBluetooth通信機能があれば、携帯電話だけで十分であり、ファイル持ち運び用のUSBメモリはもはや不要になる。

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私は携帯電話とPCのやりとりに使うのが主な目的だが、Bluetooth対応のヘッドセットを使って音楽を聴くのにも使える。Bluoothだけのパーソナルネットワークを構築する、対応するカメラやプリンタなどの機器と接続することももちろん可能。

・世界の知で創る―日産のグローバル共創戦略
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グローバルな共創とはなにかを日産の海外R&Dセンターの事例で分析した本。ナレッジマネジメントの大家 野中 郁次郎氏と、人事戦略の専門家 徳岡 晃一郎氏による。日米欧における100人を超える関係者への取材を通してわかるグローバルビジネスチームの作り方。

日産が米国に研究開発の拠点を置いたとき、日本人とアメリカ人は仕事の進め方に大きな違いを発見した。「アメリカでは10人で一個の部品を担当するのが当たり前だったのに、日産では一人で10個の部品を担当している」という事実である。それは役割や責任の分担がまったく違うことに起因していた。

「一方、日本の会社では、どこをどう定義してよいかわからないぐらい、個々人の仕事の範囲や役割が入り組み、曖昧になっていることが多い。日産の開発部門も同様だ。アメリカ流が野球なら、日本流はサッカーのようなものである。それぞれのポジションと役割は決められているものの、一人が広い範囲を見ながら、個々を関連づけ、「察知力」を駆使して、仕事をするファジーなスタイルだ。状況によってはディフェンダーがゴールを決めることもある。自分の役割の範囲を超えて、時には他人の領域にも踏み込んで機転を利かすのが日本的なスタイルといえるだろう。」

個人の働き方だけでなく業界の生産方式も異なっている。自動車会社が作成した設計図で、自動車会社の責任で、部品メーカーに発注する「部品図方式」(アメリカの自動車業界)と、開発段階から自動車会社と部品メーカーが共同で試作と実験を繰り返し、満足できる段階になったら部品メーカーが設計図を提出し自動車会社がそれを承認する承認図方式(日本の自動車業界)という違いが両者の間には存在していた。

だが、日産では異なるやり方を乗り越えて、国際チームが協力して、売れるクルマを次々に生み出すことに成功してきた。そのノウハウを二人の著者は、

・グローバル知識綜合プロセス
・思いのある実践主義
・知を創造するグローバルチーム

と要約している。

日本のムラ社会のよいところを世界の言葉に翻訳したようなやり方かなと思った。

なるほどと感じた部分を抜きだすと、

1 すり合わせで柔軟に進める

「すり合わせと対比される「組み合わせ型」の開発では部品間の結合が標準化され、既存部品を組み合わせれば多様な製品ができる場合に効果的である。一方、「すり合わせ」は、制約条件が多く、部品の設計を相互調整し、製品ごとに最適な設計をしないと高い性能が出せない場合に効果的だ。パソコンが組み合わせ型の製品の代名詞である一方、自動車はすり合わせの典型であり、日本の自動車産業が強いのは、このすり合わせ型の仕事能力が日本人に適しているからだ。」

2 とことん議論して思いを共有する

「そのためには徹底した議論が必要であり、意志決定されたことは、誰かの意志決定ではなく、みなの意志決定になり、共有経験となる。「とことん議論して行き着いた先には『まぁ、こんなもんか』という一種の安堵感を込めた表現で決定がなされることが多い」(大久保)。これは単なる安易な妥協の表現ではない。互いの暗黙知が十分に発揮され、Best of bothの関係性が最高潮に達した状況だ。このようにお互いの関係性がきめ細かく織り込まれた「面」となってはじめて、表面的な関係を越えた、グローバルに共有できる日産開発陣のコミュニティ意識になっていく。それが思いのある実践主義の文化を支えている。」

点や線で合意するのではなく面や範囲で合意するということだ。

3 ウィキノミクスなものづくりへ

「...日本のオタクはモノづくりに夢中で、グローバル競争の視野はなく、自身のグローバル化へのモチベーションは低い。これはアニメのオタクに限ったことではなく、ハイテク大企業のエンジニアでも同じ状況だ。日本中がモノづくりへの「引きこもり」ですらある。モノづくりの強さが重要だった時代、それが勝ちパターンのすべてであった時代は問題なかったのだが、今後はソフト化、グローバル化、土俵作りの競争に乗り遅れると、モノづくりのチャンスまで失い、世界のローコストベンダーと化していきかねない。」

日本のクリエイターやエンジンニアはオタク部屋に閉じこもらずに、世界のオープンな協働の場でコラボレーションすべきという展望を述べている。

日本人や日本的大企業のよいところを踏まえた上で、グローバルな協同の場に活かす方法を提唱している内容の本だ。

・人事異動
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/post-947.html
徳岡 晃一郎氏の著書。


ところで、著者の徳岡先生らと私は昨年、多摩大学知識リーダーシップ綜合研究所を設立しました。知識創造型の企業を、「人材マネジメント」と「リーダーシップ開発」に焦点を当てて研究する機関です。セミナーや研修も請け負っています。お問い合わせ下さい。

・多摩大学知識リーダーシップ綜合研究所
http://www.ikls.org/

脱出記

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・脱出記
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壮絶な実話である。発表後、18カ国語に翻訳され50年間のロングセラー。

第二次世界大戦中にポーランド陸軍騎兵隊中尉の若者ラウイッツはソ連当局にスパイと疑われて、無実の罪で逮捕される。厳しい尋問と拷問の末、25年間の強制労働の判決を受けて極寒のシベリアの収容所へ送られた。このまま一生をここで過ごすわけにはいかない。そう考えたラウイッツら仲間6人組は警備の目をかいくぐって決死の大脱走を図る。

まさに世紀の"大"脱走であった。"シベリア"から"モンゴル"を抜け灼熱の"ゴビ砂漠"を縦断した上で"ヒマラヤ山脈"を越えてインドへ向かう徒歩で6000キロ超の逃避行。現代でも各区間の踏破は単体達成でも大冒険の筈だ。脱獄した6人はそれを何の装備もなしに、慢性的な飢えや厳しい暑さ寒さに耐えながら、ひたすら歩きでインドを目指した。想像を絶する苦難と大きな犠牲を伴いながら。

収容所から遠く離れてもロシアの影響力に怯えて6人は町に決して近づかない。人里離れた場所を迂回する。時々は巡礼者と偽り、田舎の村人の世話になることはあったが、基本的に1年半以上もの間、一行は人の目を避けながら独力で、たぶんこっちだろうという方向へ歩き続けた。旅の最終局面まで地図を持たない彼らは正確には自分たちがどこにいるのかを知らなかった。不安は倍増する。

何度となく遭難して全滅する危機に陥るが、仲間の協力と創意工夫ですべての困難を切り抜けていく。諦めなければなんでもできるという話なのだが、何かを諦めそうなときに自分を励ますために読んではいけない本かもしれない。くじけそうなときにこれを読むと普通の感性では"私にはここまで頑張れない、無理"とガクーリしてしまうだろうから。

壮絶な体験記が読みたいという人に間違いなくおすすめ。あとがきで椎名誠が脱出モノの3大作品のひとつとしてこの作品を挙げていた。他の二つも試してみようと思った。なお、著者ラウィッツはその後長生きして2004年に88歳で往生したそうである。よかったなあ。

・CD&DVD51で語る西洋音楽史
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先日レビューした

・西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)  岡田 暁生 (著)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/04/post-970.html

という新書があまりに素晴らしかったので、同じ著者がCD&DVDを紹介するこちらも読んでみた。やはり音楽は聴いてみなければ分からないわけだから。「音楽西洋史」とほぼ同じ構成で各時代の音楽を知る51枚のCD、DVDを紹介する本だ。

「この本はいわゆる名曲名盤ガイドではない。あらゆるCDに耳を通し、それらを格付けすることは、私の本意ではない。広く知られた名曲でも省いたものは数多くあるし、スタンダードな名演とはいえないものを選んだ場合も多い。あくまで本書は「音楽史を知るための」CDガイドであって、「音楽版うまいもの案内」ではない。つまり選択にあたっては、「聴いて美味かどうか」ではなく、「音楽史の勘所を端的に実感できるかどうか」を第一の基準としているということだ。」

たとえば西洋音楽のルーツとしてのグレゴリアン・チャントを知るために、

・グレゴリアン・チャント・ベスト
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バロックにおける通奏低音の偉大さを知るために

・バッハ:管弦楽組曲(全4曲)他
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時代は降って現代音楽における無調を知るために

・シェーンベルク歌曲集
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などを数ページの解説つきで紹介する。

1 作品を知るために過不足ない演奏
2 音楽史のある側面が非常に特徴的に出ているCD
3 多くの人が鮮烈な印象を受けるだろう録音

という観点で、学びのためのガイドである。

私が全クラシック音楽の中で最高(そんなに私は詳しくないのだが(汗))と考える作品が数枚お勧めになっていたのを見て、全面的に信頼できるような気がしてきたので、いま順番に聴いている。

ネットの口コミもいいけれども、専門家の教育的見地から、筋の通ったリコメンド本もなかなか良いと思う。

・アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ
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2000年前の沈没船から見つかった金属の歯車を持つ構造は、古代ギリシアで作られた世界最古のコンピュータだった。引き上げから100年以上を経て"アンティキテラの機械"の謎が解明されるまでの研究者達の苦闘を描いたドキュメンタリ。アンティキテラは時計の発明より1400年も早い。たったひとつの例外が数学の定理を書き換えるように、古代にあるはずのない構造の発見が科学の歴史を塗り替えた。発見された断片から失われた全体構造を想像し、使われた素材や表面に書いてある文字から、謎の物体の正体を推測していく。

『ムー』愛読者の私としては、アンティキテラの機械は"Oパーツ"の一つとして昔から知っていた。だが、科学者が最近になって本物の古代コンピュータだと認定していたことには驚いた。アンティキテラの存在は、人間の知識の進歩が必ずしも直線的に進んできたわけではないかもしれない可能性を示している。

2000年より長期のスパンでは文明の後戻りや袋小路が結構あったのかもしれない。そもそも進歩というのは後世から見たときに、あれは進歩だったと確定するものである。もし遠い未来に人類が『新世界より』のように科学技術を捨て、超能力を発展させていったとしたら、ここ数世紀の科学文明の進歩などたいした意味を持たないだろう。

古代人にとってもアンティキテラは未来的な最先端のテクノロジーだったのだろうが、その未来の延長線上に現代の技術文明があるわけではないようでもある。

「アンティキテラの機械がなぜ、誰によって作られたかを解明することは、古代のテクノロジーが「原始的」で、現代のテクノロジーは「先進的」という概念を、覆すことでもあった。考えてみれば、現代人が正確に時間を刻む実用的な機械を求めていた同じところで、ギリシア人は知識を獲得し、天界の美を表現し、神々に近づく方法を追究していたのだ。」

こういう"忘れられた科学技術"をもっと探してみたら面白そうだ。実現されなかった未来ベクトルに新たな意味が見いだせるかも知れないから。

科学者達が解読の名誉を求めて繰り広げる熾烈な競争が熱い。

・解読! アルキメデス写本 羊皮紙から甦った天才数学者
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/07/post-806.html

・ユダの福音書を追え
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/06/post-405.html

・ヴォイニッチ写本の謎
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/01/fhfcfjfbfzea.html

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