西洋絵画名作101選

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・西洋絵画名作101選
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私は美術館が好きだが美術史をよく知らない。有名な絵画を前にして「ほら、これはあれだねえ」なんて会話になってしまう。有名な絵とそのタイトルを一致させるために購入した。「世界最高水準の『世界美術大全集 西洋編全28巻』と同じ印刷技術」を使っているそうで、極めて美しい大判の画集。重いので寝ながら読むのだが、横から眺めている幼稚園の息子の方が先に作品名を憶えてしまった。教育用にもよいらしい。

絵画の解説が詳しい。美術知識よりも鑑賞の役に立つ記述が中心である。

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たとえばブロンズィーノ「愛のアレゴリー」にはこんな説明がついている(抜粋)。

「中央の女性はヴィーナスだが、手には禁断の果実を持ち、自分の息子であるキューピッドと恋人同士のように口づけしながら、キューピッドの矢をそっと取り上げている。左下の鳩は「愛欲」の象徴、薔薇の花びらをもって踊る男の子は「快楽」を表わし、その後ろの少女は下半身が怪物になっていて、手には蜂蜜と蠍を持っており、「欺瞞」を寓意している。キューピッドの背後の老婆は嫉妬。 これら愛のマイナス面の象徴群を覆う青いベールを剥いでいる(あるいは覆っている?)のは、左上の「真理」の擬人像だが、よく見ると仮面をかぶっている。ベールを奪うようなしぐさをする老人は、肩に砂時計をのせた「時」の擬人像で、「時は真理のベールを剥ぐ」ということわざに基づいている。しかし「真理」ですら偽りの仮面をつけているのだから、何が真理で何が偽りなのかわからない。」

当時の宮廷人たちは、この絵を前に知的な謎解きの会話を楽しんだものらしい。美術は見たままに味わえばよいという考え方もあるが、背景知識はやはり教えてもらわないとわからないことである。鑑賞の深さも変わってくる。

第1章 イタリア・ルネサンス
第2章 北方ルネサンス~マニエリスム
第3章 バロック
第4章 ロココ~レアリスム
第5章 印象派~キュビズム

から101の名画が選ばれている。

絵と解説を分けたのは正解であると思う。鑑賞時はじっくりと考えずに味わうことができる。

本だと聖堂の天上画を楽に眺めることができるのも良かった。

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このページは、daiyaが2009年6月13日 23:59に書いたブログ記事です。

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