2009年4月アーカイブ

・ねじれ脳の行動経済学
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感情が人間の判断に影響を与えて合理的でない行動を引き起こす現象を著者は「ねじれ脳」と読んで、多数の事例とパターンを解説する。知的な行動経済学の読み物。交渉術のワザとしても活用できそうなネタがいっぱい。京都大学経済研究所の若手研究者 古川雅一氏の本。

・古川雅一氏のオフィシャルサイト
http://www.furukawamasakazu.com/

この本で何十個も取り上げられているのはこんな"ねじれ"だ。

【感応度逓減性】

お総菜が100円引きから150円引きになると得をした気になって嬉しいが、車を買うときに50万円引きが50万と50円引きになっても嬉しいと思わない。損得とも値が小さいときはその変化に敏感だが大きくなるとだんだん敏感でなくなること。

【利用可能性ヒューリスティック】

ある物事が起こる確率をその例の思いつきやすさで推測すること。「親しみやすさ」「目立ちやすさ」「探しやすさ」「想像しやすさ」の罠。有名芸能人がいる名字を聞くと女性だと連想してしまうようなパターン。

【知識の錯覚】

「自分は多くの時間を情報収集に費やしてきたのだから、その情報に基づいて判断すべきであり、かつその判断は正しいと思い込んでしまう」こと。上司が自分の判断力を過大評価して新人の意見を素直に受けいれられないパターン。

どれも「あるある!」と言いたくなる事例ばかり。例え話がわかりやすい。

著者はまえがきで合理的な行動が「正しい」と言いたいわけではないと書いている。合理的に行動しているつもりが知らず知らず合理的な行動になってしまうことがあるから、見極める力を持つことが重要なのだという。

私は普段、つきあいのある年配の成功した経営者と話すと、しばしば判断に非合理を感じることがある。話をちょっとしか聞かないのに、それは良いとかダメだとか言い切ってしまう。直感的な判断をする。理由を聞くと非論理的な答えしか返ってこない。ところが時間をおいてみると結果としてその経営者の言うことはだいたい当たっているのだ。

年の功というのは、合理的論理的でないけれど、実践的にはうまくいくヒューリスティックスの固まりのようなものかもしれないと思う。合理的な判断は予測されやすいが、非合理な判断は先を読まれにくいということもあるだろう。ねじれ脳は、ねじれを自覚した上で、よくねじって使うのが良いのじゃないかなあ。

人間の非合理的な意志決定パターンを解明する行動経済学の翻訳本はこのブログでも過去に何冊か紹介しているが、これは若手の日本人研究者が書いた本だ。事例の身近さ、親しみやすさも魅力の新書である。

・世界は感情で動く (行動経済学からみる脳のトラップ)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/post-955.html

・予想どおりに不合理
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/12/post-891.html

・人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/12/post-896.html

・オークションの人間行動学 最新理論からネットオークション必勝法まで
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-862.html

・ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/07/post-411.html

・ルポ 貧困大国アメリカ
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新書大賞2009の第1位受賞作。多くの読者のアメリカを見る目が変わる、だろう。

「アメリカ国勢調査局の2006年度における貧困の定義は、四人家族で世帯年収が二万ドル(220万円)以下の世帯を指し、その家庭の子どもを「貧困児童」とする。同局が発表したデータ(U.S. Sensus Bureau 2005)によると、2005年度のアメリカ国内貧困率は12.6%、うち十八歳以下の貧困児童率は17.6%(約六人に一人)で、2000年から2005年の間に11%上昇した。これは五年間で新たに130万人の貧困児童が増えた計算になる。」

米国では2005年時点で国民の12%が飢餓状態を経験している。貧困層は低賃金で不安定な雇用につきながら、無料給食プログラムのフードスタンプで食いつなぐ。高額の医療費も彼らを苦しめる。たとえばニューヨークで盲腸で1日入院すると243万円も医療費がかかるという事実に驚かされる。貧困の顔が見える取材ルポからは、この国ではお金がないと生き残るだけで大変な悲惨な国であることが見えてくる。

若者達は大卒の学位を得て貧困から脱したいと願うが、軍はそうした高校生を奨学金や医療保険を餌にリクルーティングして戦争へ派遣する。巨大な民間軍需産業は貧困層を戦地へ「派遣のお仕事」に送ることで莫大な利益を得ている。貧困層搾取で吸い上げられたマネーは一層の格差拡大につながる体制の強化につながっていく。

「教育」「いのち」「暮らし」という、国民に責任を負うべき政府の主要業務が「民営化」され、市場の論理で回されるようになった時、はたしてそれは「国家」と呼べるのか?」と著者は問う。

アメリカが絶望的なのはこのシステムの底に誰かの悪意があるというわけではないことである。レッセフェールで市場原理に未来を任せた当然の帰結として、こうなってしまったのだ。誰かや何かを打倒すれば解決するというのではないから根が深い。

この新書を一冊読むとアメリカの抱える問題の全体像が把握できる。貧困、サブプライム、肥満、カード地獄、医療、教育、民営化、学歴社会、民間軍需産業、個人情報、戦争など、ばらばらに語られることが多いアメリカのキーワードが、一つの世界観につながっていく。アメリカの凋落はまだ序の口で、これからが危ないのではないかと心配になる。

・アメリカ下層教育現場
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/02/post-923.html

・性と暴力のアメリカ―理念先行国家の矛盾と苦悶
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004747.html

・ルート66をゆく アメリカの「保守を訪ねて」
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004412.html

・エンジェルス・イン・アメリカ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004715.html

・アメリカ 最強のエリート教育
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002864.html

・現代アメリカのキーワード
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/10/post-464.html

・図解で分かるヒット商品の配色術
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デジタルハリウッド大学教授で先端色彩研究室室長の南雲治嘉氏と同大学学長の杉山知之氏の共著。写真と図解を豊富に使いフルカラーでヒット商品の色彩をレビューしていく。
家電・機械、食品、生活用品、これから来る商品デザインの4パートに約60個の最近のヒット商品が並ぶ。1商品につき見開きで右側に大きく商品写真、左に配色のポイントを語るカラーチャート、南雲先生尾解説本文、杉山学長のひと言がある。メーカーの協力で入手したそうだが、商品の写真が改めて見るとこんなに美しいモノだったのかと思うくらいきれい。

収録商品はeneloop、iPhone3G、Vaio、Tenori-on、ポッキー、コカコーラ、雪見だいふく、カップヌードル、カロリーメイト、ブルドッグソース、お茶づけ海苔、お~いお茶、TSUBAKI、バファリンA、ジャポニカ学習帳、櫨ディア、金鳥の渦巻、マイルドセブンなど定番から新製品までバリエーション豊富。
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eneloopの解説では、100%のエネルギーを表す白の配色とクリーンさを表すパッケージの青について、白は光の3原色すべてを含む最高のエネルギーを秘めた色であるとし、青は「また、クリーンエネルギーという意味で、最近はエネルギーを表す色は赤系ではなく、青系が使われることが多いのです。静かだけれど力を秘めているようなイメージです。一般的に電池は赤や金などが多く、ここまで真っ白な配色はなかったと思います。」という。そして右下のオレンジのワンポイントが補色でアクセントになっていることを指摘。各商品デザインの配色の持つ特徴やパワー、最近のトレンドを解説している。

「ヒット商品が生まれないのには理由があります。不景気の時代に、景気が良い時のままでは商品は動きません。つまり、景気の良い時の考え方で色を決めている限り、ヒットは不可能なのです。」。南雲先生に直接聞いたところでは、配色やデザインには周期性があって今は「赤」で「角張ったもの」が流行るらしい。

・直球勝負の会社―戦後初の独立系の生命保険会社はこうして生まれた
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異色のベンチャー創業物語。

ライフネット生命保険
生命保険

戦後初の独立系の生命保険会社 ライフネット生命保険を創業したのは日本生命出身の還暦社長 出口治明氏。「正直に経営し、わかりやすく安くて便利な生命保険商品・サービスを提供する」という会社理念は一見穏健だが、行動は選択と集中に徹した業界の風雲児だ。掟破りの保険の内訳情報公開で世に物議を醸した事件は記憶に新しい。保険会社が懐に入れる手数料がいくらなのか初めて白日に晒してみせたのである。

ちなみにライフネットの付加保険料(手数料のこと)は

契約一件当たり250円(月当たり)
(営業)保険料(月額250円の定額部分控除後)の15%
予定支払保険金・給付金の3%

の合計であるそうだ。

・業界初!"保険の原価"を開示したライフネット生命に怨嗟の声
http://diamond.jp/series/inside/08_12_13_001/

資本金100億超といっても大手の保険会社の資本金は兆円規模である。後発弱小のベンチャーとして、ライフネット生命は「20代、30代、40代の子育て世代を対象とした死亡保険」に商品戦略を絞り込んだ。

「保険料を半額にしたい」
「保険金の不払いをゼロにしたい」
「(生命保険商品の)比較情報を発展させたい」

という目標を掲げた(保険料を半額には既に達成してしまった)。そして一社専属販売で旧態依然とした保険業界を革新すべく、徹底的に合理的な保険商品を作り込んでいく。ライフネットのサイトでは同社の保険料のシミュレーションだけでなく、他者の商品との比較サイトに誘導する仕組みさえ用意されている。

ライフネット生命の戦略は商品を徹底的にシンプルにすること。まず商品の特約を全廃した。解約払戻金や配当は支払わない。保険料の振り込み方法を月払いのみ、銀行等の口座振替とクレジットカード払いに限定した。保険金額の増額や、払済保険・延長保険への変更などの諸変更を行わない。契約者貸付、保険料自動振替貸付、保険契約の復活などの諸制度を取り扱わない。ないないづくしの分、コストが少ないから保険料が安い。

この本では出口社長が、創業を決意し、若い経営パートナーと出会い、準備会社を立ち上げ、免許申請を行い、100億円以上の資本金を集め、遂に役所の認可を受け、生命保険会社を立ち上げる。戦後初の独立系保険会社だから前例がなく難関だったはずだが、振り返る文章からはあまり危なげを感じない。試行錯誤の過程も一歩一歩自信を持って歩いてきたように読める。保険業界で経験豊富な著者が、満を持しての還暦起業だったからなのだろう。

業績的には2008年5月開業から2009年2月末までの営業で保有契約件数は4000件強。ウェブのみで大手に対して健闘しているが、5年以内に15万件という当初目標を達成するには、まだいくつもの山を越えていかねばならない。でもこの社長ならやってしまうかなと思わせる魅力をこの起業本から感じた。創意工夫の人のようである。

日本生命時代の経験談として、部下に勉強をさせる目的で業界誌を使ったというエピソードが面白かった。

「また『生命保険経営』という業界誌に部下によく投稿させていました。まず四月に、私が『生命保険経営』誌の事務局と話をして、年間の掲載枠をもらってしまうのです。その後で部下を集めて、阿弥陀くじで執筆担当と締切を決めます。あとは各人に自由にテーマを決めさせ、督促するだけです。何人かの部下は、あまりにも横暴だと文句を言いましたが、私は、「お小遣い(原稿料)が入る、賢くなる、有名になる」という三つの利を説いて、説得してしまいました。」

この結果、部下からは何人も優秀賞が出て、『生命保険経営』事務局からも感謝されたという。

原稿が集まらなくて困っている機関誌(業界紙、社内報、学界誌など)は世の中にたくさんあるはずだ。執筆者を集めてくるから年間で枠を下さいというのは十分ありな話だろう(無論、ある程度の信用は必要だが)。この方法はジョブトレーニングに広く使えるのではないか。個人のキャリアアップや会社の知名度向上にもつながる。発行者も執筆者を確保できて、関係者全員がWin-Win-Winだ。こういう取り組みを思いつくのがベンチャー経営者の資質なのだと思う

・デグチがWatch
http://www.lifenet-seimei.co.jp/deguchi_watch/index.html
著者のブログ。

・アブダクション―仮説と発見の論理
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これは絶賛すべき素晴らしい本である。人間の創造的能力、ひらめきの正体をずばり言い当てている。本当におすすめ。記号学で知られる偉大な論理学者・科学哲学者チャールズ・パース(1839~1914)の思想を一般向けにわかりやすく説明している。

アインシュタインは「経験をいくら集めても理論は生まれない」と言った。観察によってデータをいくらたくさん集めても、既存の理論の検証が進むだけである。帰納法からは斬新な新理論、イノベーションは生まれない。論証を行うのみである演繹法からも無論、新しい理論は出てこない。

パースは人間の推論には演繹と推論とアブダクションの3つの形式があるのだと指摘した。

アブダクションとは、

驚くべき事実Cが観察される
しかしもしHが真であれば、Cは当然の事柄であろう、
よって、Hが真であると考えるべき理由がある。

という推論形式である。

説明すべき事実に対してたくさんの仮説を立てて、その中からもっともらしい仮説を選び出す拡張的な推論プロセスである。パースは分析的推論として演繹があり、拡張的推論として帰納とアブダクションがあると整理した。

「手短にいうと、アブダクションは科学的探究のいわゆる「発見の文脈」(the context of discover)において仮説や理論を発案する推論であり、帰納はいわゆる「正当化の文脈」(the context of justufication)において、アブダクションによって導入される仮説や理論を経験的事実に照らして実験的にテストする操作です。つまりアブダクションの「拡張的」帰納は仮説や理論を検証するための実験を考えることなのです。」

アブダクションは帰納と比較して創造性の高い拡張的推論だが、過謬性の高い、論証力の弱い推論でもある。だが既存の枠組みを超えるイノベーションを生み出すために不可欠な、もっとも優れた推論なのだとパースは高く評価する。

「アブダクションは最初にいくつかの仮説を思いつくままに提起する示唆的な段階と、それらの仮説のなかからもっとも正しいと思われる仮説を選ぶ熟慮的な推論の段階から成り立っている」

第一段階として仮説はどこから生まれるのか?という疑問がわく。アイデアは頭の中から自然と涌いてくるものだ。何の法則も根拠も見えない。そこには創造的な飛躍があるのだと著者は論じる。

「帰納的飛躍は観察可能な同種の事象のクラスにおける部分から全体への一般化の飛躍であり、これに対し、仮説的飛躍はわれわれが直接観察したものからそれとは違う種類の何ものか、そしてしばしば直接には観察不可能な何ものかを仮定する創造的推測の飛躍です。」

なぜヒトは「ひらめく」ことができるのか?。なぜ人間は創造性を持っているのか。それは進化生物学的に説明がつくとアブダクション研究者は考えた。生きていくための問題をとくためには発想力が必要だ。アブダクションは人類進化の過程で自然に適応するために人間精神に備わった「自然についての正しく推測する本能的能力」なのだと看破した。

「「ところで、アブダクティブな示唆は閃光のようにわれわれに現れる」ということについてですが、パースはこの洞察の働きについて、それは何か説明不可能な「非合理的要素」とか不可解な神秘的能力というようなものではなく、それは自然に適応するために人間に本来備わっている本能的能力である、といいます。それはつまり、人類進化の過程のなかで自然の諸法則との絶えざる相互作用を通して、それらの自然の法則の影響のもとで育まれ発展してきた人間の精神に備わる「自然について正しく推測する本能的能力」である、というのです。」

アブダクションでは、そうした「示唆的段階」で生み出したたくさんの仮説(アイデア)の中から、

1 もっともらしさ もっともらしい理にかなった仮説
2 検証可能性 実験的に検証可能な仮説
3 単純性 より単純な仮説
4 経済性 実験に経費、時間、思考、エネルギーが節約できる仮説

という基準でもっとも正しいと思われる仮説を選ぶ熟考的段階に進む。

科学的探究過程ではアブダクションに続いて、仮説を解明する演繹が続く。選ばれた仮説から必然的または非情に高い確率で導かれる経験的帰結を導出するのが演繹であり、証明である。そしてすべての考えられる帰結が集められたら、それらの仮説が経験的に正しいかどうかを帰納法で判断する。科学は3つの推論を経て進歩してきた歴史だという。

「一般には仮説を形成することが科学的な仕事の中ではもっとも難しいのであり、偉大な能力が不可欠となる部分である。これまでのところ、仮説を規則にしたがって発明することを可能にするような方法は見出されていない。」とバートランド・ラッセルはベーコンの帰納法の限界を批判したそうだ。アブダクションという厳密でない推論こそ人類の叡智の中核をなす能力と言える。

パースの思想が意外にも進化生物学と接近する部分がとても面白く感じた。パースらによると人間には創造性が進化の過程でビルトインされているわけだ。それを信じてアイデアをどんどん出していけば、きっとイノベーションを生み出せる、ということになる。創造性に富んだ個体だけが生き残ってきたのだから。さあブレスト、ブレスト!。

・あま得
http://www.hiroiro.com/software/html/amatoku/amatoku_top.html
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昔、GIGAZINEで

・Amazonで90%以上OFFのお買い得品を速攻で見つける方法
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070705_amazon_bargain/

こんな記事があった。アマゾンの検索結果URLに「&pct-off=90-」のような文字列を付加すると90%割引の商品がリストアップされるというTipsだ。これは便利だなと密かに愛用してきたが、URLに文字列を追加する作業が面倒であった。

あま得はジャンル別に、価格帯と割引率を指定すると範囲内のお得な商品をリストアップしてくれるフリーソフト。これがあれば毎日がバーゲンセールである。

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次は「訳あり」商品検索ソフトが欲しい。

・わけあり商品 人気にも訳あり!! スーパーや通販でも売り上げ増加中
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2009012002000096.html

・不況の今だから...わけあり商品サイトをまとめてみた
http://omosiroi.jp/2009/01/post_332.html

・楽天 訳ありグルメ特集
http://shop.gnavi.co.jp/Mallgn/special/wakeari_sale/

・いい電子 9巻
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ゲームのド素人の漫画家みずしな孝之がゲーム業界雑誌「ファミ通」に連載を持って10年。初期からの愛読者としては日曜に近所の書店にやってくると聞いて、発売2週間前に本を予約して整理券をゲット、サイン会に行ってきた。(これは2週間前の話です)。

目的はやはり、みずしなさんご本人の容姿が漫画と似ているのかどうかを確認すること。

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当日は開始10分前到着でOKだろうと甘く見ていたら物凄い行列ができていた。90分以上も並ぶ羽目に。本物はめがねをかけていて、愛嬌があってなんだか面白そうな人。「何を描きますか?」のリクエストに、もちろん、ご本人を描いて貰った。

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今年はキリがよい10年目ということで10巻で連載が終わっちゃうんじゃないかという心配を後書きに書いているのは編集部への牽制か?。ファミ通名物として今後も末永く続いていって欲しい。ゲームに疎い人がゲーム通の読者を笑わせるなんて凄い芸なのだから。

・みずしな孝之氏のサイト
http://sinamism.blog69.fc2.com/

この第9巻もゲームのトレンドを追っているようでいながらマイペースにひきずりこむ。

・私の好きな漫画家たち
http://www.ringolab.com/note/daiya/2003/12/post-46.html
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漫画家のサイン会というのは6年前に巨匠 諸星大二郎@表参道青山ブックセンターのとき以来だった。

・どこから行っても遠い町
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小さな商店街を舞台に織りなされる人間模様を描いた川上弘美の短編集。11本の作品はどれも主人公が違っていて、同じ世界の出来事を異なる視点から眺める。前の話では端役だった人物が主役になって動くことで、遠い町の様子が少しずつ立体化され、濃密なイメージなっていく。

物語の中心にあるのが魚屋「魚春」。店主の平蔵は、死んだ妻の愛人だった男を二階に住まわせ仲良く二人で暮らしている。その奇妙な同居の謎が解けるまで町の住人の人生を一周するような物語構造である。登場人物達は何かしらの傷を抱えて生きている。完璧な人生を生きている人はいない。

「おれは、生きてきたというそのことだけで、つねに事を決めていたのだ。決定をする、というわかりやすいところだけでなく、ただ誰かと知りあうだけで、ただ誰かとすれちがうだけで、ただそこにいるだけで、ただ息をするだけで、何かを決めつづけてきたのだ。 おれが決め、誰かが決め、女たちが決め、男たちが決め、この地球をとりまく幾千万もの因果が決め、そうやっておれはここにいるのだった。」と登場人物のセリフ。

人生は選択肢を意図的に選ぶこともあるけれど、むしろ、多くの決定に選択の余地がないものだ、という事実を、私も年を取って分かってきた気がする。それを運命だと諦める人生もあるし、これでいいのだと満足する人生もある。

「いろいろなことなど、見たくない。つくづく思った。でも、見なければ生きてゆけない。そのことを、残念ながら私はいつしか知るようになっていた。ここまで生きてくるあいだに。」

因果と伏線が張り巡らされた緻密な構造設計がこの短編集の魅力だ。私は川上弘美の作品の中では「神様」「真鶴」「龍宮」などのスピリチュアル系の語りが好みだったのだが、この本で群像系の完成度の高さにすっかり魅了された。ちゃんと最後の作品を読むと、残されたミッシングリンクが埋まって物語が完成するようになっているから満足感が高い。
面白い短編集を探しているならいまこれがおすすめ。

・真鶴
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/01/post-512.html

・龍宮
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004759.html

・ざらざら
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004886.html

・はじめての文学 川上弘美
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/06/post-589.html

・脳はあり合わせの材料から生まれた―それでもヒトの「アタマ」がうまく機能するわけ
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人間の脳はその場しのぎの改変を重ねてたまたま今の形になったという脳科学+進化心理学の書。原題は"KLUGE"。クルージ(kluge)とは「エレガントにはほど遠く無様であるにもかかわらず、驚くほど効果的な問題解決法」という意味。

ヒトの身体は明らかに最適化されていない。たとえば四足動物の脊椎を二足歩行に転用したため、速くは移動できず、多くの人が腰痛に悩まされている。呼吸と食事のために使う器官を発声に転用したので人間の言語は混乱している。目は受光部が後ろ向きのため盲点が存在してしまう。そして脳には反射や衝動を司る古い部分にのっかって思考を司る新しい部分が加わっているから、純粋な推論が下手だ。

進化の歴史の上でいきあたりばったりに、古い技術の上に新しい技術をぬり重ねたのが、ヒトの身体なのだ。この姿からだけでも全能の神が未来を見越して最適の姿にヒトを設計したわけではないことがわかる(米国で盛んなインテリジェントデザイン説を否定している)。

なんでこんなことになっているのか?著者はヒトがたどった進化の道は「完璧であることが最善策ではない」からだと分析する。「進化は一番高い頂きとは異なる山頂(局所最大)で身動きできなくなっていることも大いにありうる」。四足が最適だった時代は四足であることで最高の山を越えたが、次の頂は二足歩行が最適な山だったというわけだ。複数の山あり谷ありの長い進化の過程では、不完全もまた良策ということになる。

最後に進化した脳は、高い山頂と次の山頂の間で身動きできなくなったクルージの代表例である。私たちはコンピュータのように論理的に考えることが苦手である。論理的に考えるには相当の訓練を必要とする。そうでなければ感じたことを信じてしまいがちだ。その理由は、ヒトは知覚に使われていた装置を思考に転用したからだという。我々が日常に目にするものの大半は正しい(見たものは存在する)わけだから、とりあえず見たものを信じることで生き残ることができた。

「最適にデザインされたシステムならば、信念と推論(やがて新しい信念になるもの)の導出過程は別個に保たれ、両者のあいだを鉄の壁が隔てているはずだ。そのような系では、直接証拠のある事柄と、単に推論で導き出したものをたやすく区別できるだろう。ところが、進化はヒトの心が発達する過程で別の経路をたどった。ヒトが完璧に明示的な形式論理論をさほど内省することもなく、無意識のうちに行っていたに相違ない。リンゴが食べられるなら、たぶんナシも食べられるだろうといった具合に。」

進化上で古い"反射型システム"と、新しくできた"熟考型システム"の二つから人間の脳はできあがっている。動物的な反射型システムのふるまいを研究することによって、ヒトの進化の過程や脳の動作原理の解明ができるはずだという。

「熟考を要する決断を、意識を持たない反射型システムへと毎度のように委ねるのは賢明な策ではない。反射型システムは脆弱だし、バイアスにもたやすく染まる。反対に原初の反射型システムをすべて捨て去るのもまた愚かな振る舞いである。<中略>反射型システムが日常の処理に優れる一方で、熟考型システムは経験したことのない事態に対処するうえでの助けとなる。」

そして二つのシステムの長所を組み合わせる方法論を13の叡智としてまとめている。不完全であり多様であることが種としては最善の戦略なわけだが、個としてはその不完全さを克服していかねばならないということ。結局、それが人生が思うようにならない理由のような気がしてきた。

・バスジャック
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「となり町戦争」の三崎 亜記の書ける物語の幅広さがよくわかる短編集。7本収録。

「今、「バスジャック」がブームである。一昨年の秋から、じわじわとブーム再燃の兆しはあった。」。巷ではバスジャックが大ブームで、ジャックする方もされる方も、流儀に従ってよいバスジャックを追究しようとする妙な世界を描いた表題作「バスジャック」。
「ああ、ご主人さん?もう町内でお宅だけなんですけどねえ。そろそろつけてもらえないですかねえ。」。なんのためなのかわからないが、つけなければならなくなった二回扉の謎を描いた「二回扉をつけてください」。

コミュニケーションの超絶的な不全状態をコミカルに描いた「二人の記憶」。人間はわかりあえないけど、わかったことにするのがコミュニケーションってことか。私はこの作品が好きだな。

奇想が魅力の作家だが、忘れられない人との最期の日々を描いた「送りの夏」や、4ページで終わる独白超短編「しあわせな光」は実にしんみりと読ませる。こういうこともできるのかと感心させられる。いっぺんに通しで7編を読むとバリエーションの妙が楽しめる。一気に読もう。

三崎 亜記。筒井康隆と星新一と誰かを足して3で割ったような感じなのだが、誰かって誰だろう。それがわかりそうでわからないのがこの人の魅力なのだな。

・ナンパを科学する ヒトのふたつの性戦略
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進化心理学の研究書。頻繁にナンパされる女性は何が違うのか。異性にモテるとは科学的にはどういうことか。心理学や行動科学の実験で解き明かす。ちょっと女顔の男性がモテる、ひっかけられやすい歩き方、セックス頻度を決める要素、異性の10秒の動作で決まる性的印象、ヒモ男性の戦略など、興味深いデータがいっぱいある。

街角でのナンパのフィールド調査や、密室に何も知らない男女二人を残して去った後の様子を観察する「待合室状況での出会い実験」など多くの研究が引用され、非言語的求愛シグナルをあやつる主導権は女性にあるということが実験によって明らかにされる。

ナンパをアプローチするのは男性からのようにみえるが、すべての女性がナンパをされるわけではない。一部の女性に偏る。女性の持つ何らかの要素が男性のナンパを誘発していると理解できる。だがそれは美人だとか露出度が高いとか色目を使っているというような「女性にスキがある」からという見方は因子分析で否定される。

鍵は女性のセルフモニタリングの高さとテストステロンの濃度にあるという。セルフモニタリングの高さとは対人状況における感情表出の制御の度合いのこと。この度合いが高い人は意識的に自分を飾って見せようとする。そうした性質は短期的配偶戦略をとる際に有利に働く。

これには女性の体内のテストステロン(男性ホルモン)の量が関係しているという分析がある。同一の女性でも時期によって配偶戦略が変化する。これも性ホルモンの影響だ。異性のパートナー探し市場における女性の支配戦略としては「良い遺伝子」を求める戦略と「良い父親」を求める戦略の二つがあると説明される。

「妊娠しにくい普段の時期には性質のよい男性を手元に置いて保護や資源の提供を求め、妊娠しやすいときには一転してよい遺伝子男とのセックスを志し、子どもはアバンチュール相手とのものを残そうとするような適応戦略が、女性には一般的に備わっている」

実験では男性の短期的配偶戦略(プレイボーイ)を男女ともに敏感に見抜いたが、女性の短期的配偶戦略は男性のみが見抜くことができた。基本的に非言語コミュニケーション能力が高いはずの女性が同性の戦略を見抜けないのだ。男性のみができるのは、性的にアプローチが容易で関係に伴うリスクやコストが少ない(あとくされがないってことか)を見抜けるように獲得した進化的適応能力ではないかという。

「セクシーでかつ性格のよい男性を選べばよいではないかと思われるかも知れないが、そんな男性はどうどこにでもごろごろ転がっているわけではないし、女性側の方も皆が皆、最上級の男性の心を射止められるだけの魅力を備えているわけではない。そうするとどうなるだろうか。そう、「よい父親」男を求める女性と、「よい遺伝子」男を求める女生徒に分かれるのである。 類は友を呼ぶ。長期的な配偶戦略指向の男性は長期的な配偶戦略指向の女性をパートナーに選ぶ傾向があることがわかっている。また男性は女性に浮気されて血縁のないライバルの子どもに対して知らないうちに投資させられたりしないように、女性の性的な浮気の可能性に関して敏感で、厳しい態度で望む。そこで、多くの女性は「貞淑な妻」戦略をとり、パートナーがぱっとしない男性であったとしても、より魅力的な男性に目移りをするような心理的反応を放棄する替わりに、男性からの長期的な援助を期待すると考えられる。」

男性も配偶戦略を変更している。必ずしも一生プレイボーイやヒモではないのだ。長期的な性的パートナーができる、子どもができる、定期的にセックスをするといった状況になると男性体内のテストステロン濃度が下がり、プレイボーイは良いお父さんになってしまう。自然の仕組みはよくできている。

人間には性ホルモンが支配する動物のオスメス的な部分が強く残っていること、男女関係はマクロで見れば市場メカニズムやゲーム理論そのものだということ、男女の非言語コミュニケーションを分析することで性的関心の度合いはかなりわかってしまうという事実など、興味深い事実が多かった。

・ウーマンウォッチング
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/post-958.html

・愛の空間
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/04/oso.html

・性の用語集
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004793.html

・みんな、気持ちよかった!―人類10万年のセックス史
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005182.html

・ヒトはなぜするのか WHY WE DO IT : Rethinking Sex and the Selfish Gene
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003360.html

・夜這いの民俗学・性愛編
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002358.html

・性と暴力のアメリカ―理念先行国家の矛盾と苦悶
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004747.html

・武士道とエロス
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004599.html

・男女交際進化論「情交」か「肉交」か
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004393.html

・勝てる読書 (14歳の世渡り術)
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「文学賞メッタ斬り」で有名な書評王 豊崎由美氏が書いた14歳のためのブックガイド。
・書評王の島
http://d.hatena.ne.jp/bookreviewking/
豊崎由美氏のブログ

「子供の頃からベッドで寝っ転がって読んできた本。特に系統立った読み方なんかしてこなかった自分の読書体験。なのに、不思議とつながっていった。つながって、わたしなりの本の星座ができていった。その一端を紹介することで、14歳で不安だらけでコンプレックスだらけだった自分に「つながったよ」と報告してやりたかったのです。で、他人のカバンの中をこそこそとチェックするような大人の浅はかな思考や御都合主義の言葉に"勝てる"思考と言葉は、今、あなたが読んでいる本の中にちゃんとあるよ。そんなこともアドバイスしてやりたかったのです。」

豊崎氏はインディペンデントへの意志を強く感じさせる書き手だ。14歳の時、落書きの教科書を捨て、校舎の窓ガラスを壊して回り、盗んだバイクで夜のとばりを走り続けて、そのまま大人になってきたような人だ。権威におもねらない。群れない。曲げない。大家の作品でも面白くないと思えば叩き斬る。自身が価値があると思う作家を世に出すために、日々、文壇の馴れ合いや出版界の商業主義と戦っている。

だからこの本の「勝てる読書」とは、打倒セコい大人のための武装術であり、飼い慣らされないための人生術なのだ。各章はテーマ別に星座の名前になっている。14歳が生きる指標となる星座早見図を与えようという意趣だが、その名称が、キモメン座、ケンカ上等!座、江頭2:50座、呪怨座、ケモノバカ一代座、中2病座...。トヨザキ社長(一人称"オデ")のインディペンデントな生き方は圧倒的に個性的だ。だからこそ面白い本を発掘できるのだ。

結局、私もこのガイド本で知った本を10冊近く購入してしまった。

普段の豊崎さんが雑誌に発表する書評記事は、ある程度本を読んでいる人向けのハイコンテクストなものが多いが、この本は、これから読む人向けなのでやさしく書かれている。難しい漢字にはルビもふられている。だが、語られている蘊蓄や紹介本は完全に大人向けである。本当に14歳が読むとしたらかなりの挑戦読書になるだろう。

心のどこかがまだ14歳のままの、すべての大人におすすめ。

・正直書評。 - 情報考学 Passion For The Future
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/post-872.html

・風のガーデン DVD-BOX
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2008年に見た国内テレビドラマでベストがこれ。(海外ドラマではこれです)。俳優 緒方拳。2008年10月5日没。享年71才。ガンに冒されながらも周囲には病気を隠して、最後に出演したのがこの作品だった。

・緒方拳公式サイト サイト閉鎖のお知らせ
http://ogata-ken.com/framepage-top.html
公式サイト閉鎖 2009年4月30日閉鎖予定。見たい人は急いで。

フジテレビ開局50周年記念ドラマ。倉本聰脚本『北の国から』『優しい時間』に続く、富良野三部作の集大成。人は最期にどこに帰るのだろう?「美しき花が咲き誇るガーデンを舞台に、死を目前にした男を通して家族の絆や生きること、死ぬことを描いた人間ドラマ。」。

奇しくも緒方が演じたのはターミナルケアを専門にする老医師で、中井貴一演じる末期ガンの息子を看取る役という役だ。劇中では病気を隠すのは中井の役だが、現実には緒方が本物の末期ガンを隠していた。このドラマが放映される頃に、自分は死ぬことを覚悟しての演技だったはず。緒方拳が文字通り命を懸けた、最後の芝居が観られる。

緒方拳、奥田瑛二 、石田えり、ガッツ石松、伊藤蘭、 黒木メイサら、味のある顔をしている役者、雰囲気のある役者が勢ぞろいで厚みがある演出の人間ドラマ。尊厳死がテーマなので、シリアスな顔ばかり見ていた気がするが、内に秘めた感情を目の表情で伝える演技にしびれる。

そんな中で中井喜一の若い愛人役の演技が、なにか素人っぽくて、浮いている気がしたのだが、この女優は主題歌(劇中歌)を歌う歌手 平原綾香だということを途中で知った。この歌はドラマを盛り上げていた。サウンドトラックもある。

・ノクターン/カンパニュラの恋
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・フジテレビ系ドラマ オリジナル・サウンドトラック 風のガーデン
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・風のガーデン
http://wwwz.fujitv.co.jp/garden/index.html

・Poken
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Pokenはタッチするだけで、お互いの個人情報とソーシャルブックマークやブログなどの情報が、手軽に交換できる電子名刺デバイス。

・Poken
http://poken.jp/ja/

PokenをパソコンのUSBポートに挿すと自動的にアプリが立ち上がる。そこで自分の登録しているSNSやTwitter、Flickrのアドレスを登録する。現在使えるサービスは、海外のものばかりだが、近日Mixiなどが追加されるらしい。メニューは日本語で表示が可能。

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セカンドタイムズ編集長の箱田さんと初Pokenしました。

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そして、先日渋谷で開催された行われたPokenNightにも潜入。まだ新しすぎて孤独だった100人ものPokenユーザーたちが集結し、ここぞとばかりに30人以上とハイフォー(Pokenをタッチすること)していました。その後TwitterやFacebookの登録数をいっぱい頂きました。

・ON/OFFをつなぐPoken Night!! - 話題の「ポーケン」でハイフォーしてきました
http://journal.mycom.co.jp/articles/2009/04/15/poken_night/index.html

Pokenは何年かぶりにわくわくするガジェットです。デザインが微妙なのだけれど、日本のメーカーがパッケージを作り直して流通に乗せれば、大爆発していくような気がする。

西洋音楽史

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・西洋音楽史
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西洋音楽史の大きな流れを数時間で理解できる名著。この新書一冊で得た音楽史の知識は学生時代に私が受けた音楽の授業全部を上回る。1000年以上にわたる歴史の情報が、コンパクトに整理され、わかりやすい表現にまとめられている。本当に素晴らしい本だ。

まず、俗にクラシックと呼ばれる西洋芸術音楽とは、

 1 「知的エリート階級(聖職者ならびに貴族)によって支えられ」
 2 「主としてイタリア・フランス・ドイツを中心に発達した」
 3 「紙に書かれ設計される」

音楽文化であると定義される。

中世の人々にとって音楽とは「世界を調律している秩序(ムジカ・ムンダーナ)」のことであり数学に近い概念だった。同様の秩序は人間にも宿っているとされ(ムジカ・フマーナ)、実際に鳴る音楽は器楽の音楽(ムジカ・インストゥルメンタリス)として最下位にあるものだった。

だから西洋音楽のルーツであるグレゴリオ聖歌は、人間が楽しみで聴く音楽ではなく「神の国の秩序を音で模倣する」という性質を持っていたという。おそろしく引き延ばされた低音のグレゴリオ聖歌は聴いていて楽しいものではない。やがてこの聖歌に新しい別の声部をつけたオルガヌムが生まれ、その声部が複雑化したり、歌詞がのる(モテット)などしていくことで、私たちにもおなじみのクラシック音楽へと進化していった。

「われわれにとって「和音」といえば、たとえば「ドミソ」のことであるが、中世においては「ドミソ」は不協和音だった。つまり「ミ(三度)」が入っていてはいけなかったのである。」。

大きな音楽史の流れの中でバッハ、モーツアルト、ベートーベン、ハイドン、マーラーなど数十人の有名な音楽家達の役割、位置づけが大胆なほど明解に説明されていく。

たとえば「西洋音楽の父」とされバロックの代表的な音楽家と一般に考えられているバッハについては、

「周知のように、死後半世紀近くあまり顧みられなかったバッハは、1829年のメンデルスゾーンによる≪マタイ受難曲≫の100年ぶりの再演とともに劇的な「復活」を遂げ、十九世紀ドイツにおいて「音楽の父」へと神格化されるに至った。しかしながら十九世紀のこのバッハ熱の背後には、多分に政治的背景(プロテスタント・ドイツ・ナショナリズムとでもいうべきもの)があっただろうことを、決して忘れてはならないと思うのである。」
という記述で、俗説を覆してみせる。バッハはバロック最末期の人である上に、バロックの中では異端だったことが解説されている。ベートーヴェンについては、著者はこう評する。

「ハイドンや、いわんやモーツァルトと比べて、ベートーヴェンの音楽は決して聴いてすぐ楽しいと思えるようなモノではない。彼の作品の主題のほとんどどれもが、誰でも考えつきそうな凡庸なものだとすらいえるだろう。だがベートーヴェンは、飽くことなくそれらを研磨し、組み合わせ、積み上げ、完成する。<中略>天賦の才ではなく労働によって大きな建物を作り上げていくベートーヴェンの音楽が、十九世紀市民社会によってあれほど崇拝されたのは彼らがそこに「勤労の美徳」の音による記念碑ともいうべきものを見出したからではなかったか。」

こんなふうに新しく現れたジャンルや音楽家達の特徴と、同時代に置ける意味が明解で大胆に示される。中世グレゴリオ聖歌から20世紀のシェーンベルクまで、はじめてクラシック音楽史の全貌が見えた気になれた。

音楽についての含蓄のある言葉も多い。

「「いつどこでどう聴いてもいい音楽」などというものは存在しないのであって、「音楽」と「音楽の聴き方」は常にセットなのだ。 「ある音楽をいくら聴いてもチンプンカンプンだ」という場合、ほとんど間違いなくその原因は、この「場違い」にあると、断言できる。」

この言葉は絵画や文学など音楽以外の芸術鑑賞にも当てはまる名言といえそうだ。

・拍手のルール 秘伝クラシック鑑賞術
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-840.html

・J・S・バッハ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/06/js.html

・絶対音感
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-833.html

・音楽の基礎
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/06/yb.html

・音楽する脳
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/01/ye.html

・バッハ インベンションとシンフォニア
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/05/fofbfn-fcffffvfvftfhfjfa.html

・パワーサポート 究極セットIII マウスパッド、ソールセット ダークグラファイト 大サイズ AK-87
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シリコーンゴム表面特殊加工の高級マウスパッド。

ボールマウスの時代には、マウスの滑りが悪くなると中のボールを取り出して掃除をしていたものだが、いまや光学式マウスの時代である。マウスがスムーズに動くかどうかはマウスパッドの素材の問題になった。

市場価格3000円。木製とか革製の見た目系ではなく、実用系マウスパッドがそんなに高いなんて驚きなのだが、使ってみるとこれは確かに良いと思った。操作感覚は人によって違うので、なんともいえないが、特に重量級のマウスを愛用している人におすすめである。

マウスパッドだけの利用ではまあまあかなと思ったのだが、付属のエアパッドソール(小さなシール)をマウスの底面に貼り付けると、マウスが見違えるように滑るように動くようになる。摩擦を根本的に改善するには"究極セット"に付属するこのソールも必須である。ソールは直径や個数、厚さ(0.35mm~0.65mm)が異なる5セットが入っていた。適切な高さのソールを装着すると、摩擦感がゼロに近づき、エアホッケーのような感覚でマウスを滑らせることができるようになった。

汚れがつきにくく耐熱性がある。いろいろなものをこぼしたり、煙草の灰が万が一落ちても大丈夫(火のついたたばこを30秒置いても大きな変化はないらしい)。裏面は粘着仕上げなので勢いよく動かしてもズレないのもよい。展示会などで無償で配布されているマウスパッドと違って細かいところまで配慮が行き届いた上質なマウスパッドだと思った。

このマウスパッドを探していたとき、その他に気になったマウスパッドが以下。

・DHARMAPOINT Tactical Pad ハードタイプ DRTCPW40H
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「ハイセンシティビティプレイヤーに最適な、優れた初動摩擦係数を実現する特殊な表面設計が施されています。表面は硬くゲームでのハード且つタイトな操作に耐える特殊PP層サーフェスを使用し耐久性にも優れています。 パッド内部のアルミ蒸着層がマウスからのセンサー光の反射効率を最大限に高め、レーザー、光学式ともに良好なトラッキング性能を提供します。
裏面には、激しいプレイにおいてもマウスパッドが不用意に動かないよう、ハイグリップパターンを施した天然発泡ラバーを採用することで3mmの適度なパッド厚を実現、机上の微細な凹凸を吸収しフラットなプレイ面を提供します。 」

ゲームに向いていそうである。

・レーザーマウス用マウスパッド チタン LMPTI
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「メタルシートは、レーザー式や光学式マウスの光をより多く反射、マウス本来のポテンシャルを確実に引き出します。マウスの位置や動きを正確に伝える、クリアドットをプレスコート。スムーズな動作と正確なポインタ操作を実感していただけます。裏面は微粘着性のジェルポイントで固定でき、ずれる心配がありません。 」

今回はレーザーマウスではなかったので選ばなかったが、チタンは魅かれる。
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・ELECOM 入力支援 マウスパッド MP-104BU
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「スタンド式ショートカットキー表のおまけ付き。 極薄タイプでデスクとの段差も気になりません。 裏面は何度でも再剥離できる吸着シートで、デスクにピタッとずれません。 償却時に有毒ガスが発生しない、環境に優しい素材を使用しました。」。ショートカットキー一覧は便利かもしれない。

・Hacoa マウスパッド Koro ウォールナット H906-W
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木製(ウォールナッツかメープル)で角度がつけられるマウスパッド。

・ねこきゅうマウスパッド
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ぷにぷにした肉球がついている。

・「あかね色に染まる坂」片桐 優姫 立体マウスパッド
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「主人公準一の許婚で教科書的なツンデレキャラ「片桐優姫」の商品化が決定した!胸はやわらかジェル入り。普段は見せない恥らった表情の優姫をあなたが独り占め!!「・・・あなたのものにして・・・・・いいんだから・・・。」

胸が立体でジェル...。エイベックスが販売している。エイベックス幅広いな。女の子のタイプがいくつもあり。オフィスで使うとセクハラになるんじゃないかと思うがどうなんだ。と思ったら、こんなバージョンもあった。amazonの奥行きの深さに驚く。

・TVアニメ『かのこん』 立体おしりマウスパッド ちずる[AT-X]
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これは....。

おしまい。

・ドキュメント長期刑務所
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無期懲役が確定し20年以上服役中の著者がペンネームで書いた刑務所ドキュメンタリ。長期刑務所とは8年以上の重罪の受刑者のみが収容される全国に5カ所ある施設のこと。その知られざる実態が明かされる。軽犯罪や政治・経済犯が刑務所体験を書くケースは多いが、重罪で長期というのは珍しい本なのではないか。文章をみる限り、著者は相当のインテリなのだが、2件の殺人を犯しているらしい。

「塀の外の社会では、無期囚はおおよそ15年から20年で仮釈放と考えられていますが、とんでもない誤解です。現実は30年近くから35年かかっていますし、出られない(出ない?)人も相当数いるのです。2007年の無期受刑者の仮釈放者は全国1670名のうちたった3人で平均服役年数は31年10ヶ月でした。」

刑務所内でのややこしい人間関係や日々の心情が綴られている。受刑者達は、食べるものと仲間関係のプライド(面子)に極端に執着するようだ。(食べ物については「極道めし」という名作漫画がある。)。狭く閉じた社会の中で独特の人間模様が展開されている。

受刑者には暴力団組員も多い。

「今回は、自分が相手の命を奪ったけど、互いにこの世界にいたら、それは覚悟のうえですよね。明日はこっちかもしれない。互いに恨みっこなしです。冥福は祈りますが、それ以上はありません。そういう世界に自分はいるってことです。」

なんてことをさらっという囚人がいる。

一緒に感動的なテレビドラマを見ていて泣く囚人と泣かない囚人がいるという観察がある。組のために体を懸けた結果、殺人を犯した組員は泣き、強盗強姦殺人の囚人はまったく感情移入がないという。囚人には総じて「我を持って尊しをなす」ような人種が多いと著者は嘆き気味に書いている。

知らなくて良いことで満載の本だが、著者は結構文章が上手なので、人間観察記録としてかなり楽しめた。

・刑務所の前
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/post-859.html
・極道めし
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-852.html
・死刑のすべて―元刑務官が明かす
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/10/post-468.html

電気馬

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・電気馬
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作家 津島 佑子(太宰治の次女)の短編集。

雪女、山姥、アマノジャク、葛の葉狐のような伝説や、人買い、人身御供、継子いじめのような伝承をモチーフにした10作品が収録されている。どれも10から20ページ程度と短いが、日本人の集合的無意識としての心象風景を、読者の心に強烈に焼きつける。象徴を生みだす元型の力を作家が効果的に引き出している。

語り口が巧妙だ。例え話をしているようで実際の話を語っていたり、遠い昔の話かなと思えば進行中の話だったり。読者はいつのまにかバーチャルとリアルの越境をしていることに気がつかされる。夢うつつの状態で目の前の細部が消えていき、遠い昔の記憶、原初の体験の世界と二重写しになる。

表題作「電気馬」とは人間が抑圧に耐えかねてキレるときに心の中で爆発する衝動的な力だ。それは遠い昔に遊園地の電気仕掛けのメリーゴーラウンドから飛び出した一頭だという。人間達が楽しむきらびやかな場所にいながら、馬はずっと固定され自分の好きに動くことが許されなかったのだ。馬は危うい人の心に飛び込んで狂気の衝動を駆動させる。

「この電気馬が消えても、新しい電気馬がつぎつぎに生まれる。にんげんがだれかと出会い、なにかを期待し、裏切られ続けるかぎり。」

この話だけ日本の古い伝承に無関係かなと思ったが、遊園地にメリーゴーラウンドという設定自体がもはや伝承ということか。今はテーマパークにアトラクションやパビリオンの時代だから。

10作すべてはずれがなく安心して読めるのだが、なかでも私のお薦めは、

1位 チャオプラヤー川
2位 サヨヒメ
3位 アマンジャク

だな。イメージが焼きついてしまった。

・仕事ができる人のアイデアマラソン企画術
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汎用的な発想術のメソッド"アイデアマラソン発想術"を発案者の樋口氏が、ビジネスシーンに応用する方法を解説した新書である。

企画アイデアマラソンとは、

1 自分のノートを決める
2 毎日、何かを考える。その内、一個はできるだけ仕事の企画ネタを考える
3 ノートに書き込み、常に見直す。できるだけ絵を描く
4 まわりに話す
5 最良の企画ネタを企画化する

というもの。

アイデアマラソンでは何よりも毎日続けることが大切。瞬発的に素晴らしい企画案を出すためには日常的な助走が必要なのだ。

アイデアマラソンの実践者の私は「バランス数」の工夫が素晴らしいなと思っている。毎日1つ以上のアイデアを記録するわけだが、それぞれのアイデアに、

バランス数 = 総発想数ー(現在の日ー開始日+1)

という数をつける。

「なぜバランス数を付けるかという理由は、バランス数のプラスが増えると、発想状況が非常に好調であると分かること。バランス数のプラスが、総発想数の半分以上だと、企画アイデアマラソンは非常に好調であるといえる。逆に中断したり、企画ネタや発想を出すのを忘れると、バランス数のプラスは、毎日1個減っていく。」

1日1つ出すのは義務のようなものだが、それ以上は予定以上に進捗している分だから増えれば増えるほど気分が良い。自然と加速度がつく。逆に"借金"は背負いたくないからマイナスは必至に防ごうとする。この方法は発想だけでなく、継続したい習慣に応用が広そうだ。

そしてこの数字はインプットとアウトプットのバランス数でもあるなと思う。生きていると自然にインプットはあるが、意識的にやらないとアウトプットは出ないものだ。優れた企画発想脳には情報I/Oのバランスが大切だと思う。

後半では企画書の書き方や道具術が濃い。

企画術では「どんなに素晴らしい企画書も、突然提出されるべきではない。また直属の上司の反対を押し切って、上層部に出されるものでもない。さらに直属の上司を無視して飛び越して上層部に出されるものではない。」として、根回し、用紙と形式、タイトルと1行目が重要だという。大手商社出身の著者の企画と組織論は含蓄がある。

道具術ではノート、ペン、PC、バッグ、時計、ICレコーダー、デジカメなど樋口氏の情報武装の標準装備が明かされる。圧巻は数々の自作デバイスやマニアックなノウハウである。

「風呂に入るならば、どんなことを考えようかと、思考の課題を持ち込めば、驚くほど解決策を得ることができる。ところが、せっかく、風呂やシャワーで発想やネタを思いついても、書き留めなければ忘れてしまう。そのために、私は古いICレコーダーを2重のジップロック(ファスナー付き密閉プラスチックバッグ)に入れて、風呂に浮かせておく。すでに5年以上も続けているが、ICレコーダーに異常は見られない。シャワーも同じである。」

5年ですよ、5年。

24時間臨戦態勢の企画脳をつくるための必読書。


・一冊のノートで始める力・続ける力をつける―人生も仕事もうまくいくアイデアマラソン発想法
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/post-747.html

・感動する科学体験100 世界の不思議を楽しもう
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/08/100-2.html

・普通の手書きメモがデジタルに エアペン アイデマアラソン
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/07/post-608.html

・「金のアイデアを生む方法 "ひらめき"体質に変わる本
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/03/post-538.html

・1年で1000件の発想を書こう ポケット・アイデアマラソン手帳'06
http://www.ringolab.com/note/daiya/2005/09/11000-06.html

・住んでみたサウジアラビア アラビア人との愉快なふれ合い
http://www.ringolab.com/note/daiya/2004/07/post-109.html

・企画がスラスラ湧いてくる アイデアマラソン発想法
http://www.ringolab.com/note/daiya/2004/01/eaexxnae-acfaz.html

・スピード・レーサー [Blu-ray]
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カラフル高精細なCGの素晴らしさに圧倒される。大画面でブルーレイ映像の美しさを味わうのに最適だと思う。家電量販店で画質デモに使ったら売れそう。

原作は日本のアニメ「マッハGoGoGo」、監督はマトリックスのウォシャウスキー兄弟。原作に対してマニアックなオマージュを捧げながら、最先端SFX映像で魅了する。米国で人気のアニメなので、2008年の映画公開時は大いに期待されたが興行的にはそれほど伸びなかったらしい。

・『スピード・レーサー』米で予想を下回るスタート
http://www.varietyjapan.com/news/movie/2k1u7d000001kz0i.html

確かに物語としてはあまりにチープである。小学生でもわかる単純な演出。映画としてあまり評価されなかったのはわかる。だが、ストーリーなんてどうでも良いくらい映像作品として素晴らしい。アイキャッチの連続で出来ている。それだけで個人的には観る価値ありの高評価。普通の映画館よりも、自宅でブルーレイで間近に高精細度を味わうべき映画だと思った。映像の作り込みが細かいから。

そして、これは未来のゲームそのものだと思う。

・スピード・レーサー
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WiiとNindendoDSでゲーム化されているのだが、私はこの映画を観ながら自分のレースゲーム史を振り返っていた。

レースゲームの中でもこの手の「未来世界を舞台にした超高速レースゲーム」が好きだ。原体験として1990年にスーパーファミコンで出た「F-ZERO」が衝撃だった。それまでのゲームと段違いのスピード感。没入しすぎて、左右に曲がるとき、自分の身体も左右に傾いてしまうので仲間に笑われた。

・「F-ZERO」のスピードと浮遊感を体感しよう!
http://plusd.itmedia.co.jp/games/articles/0705/07/news003.html

未来世界の超高速ゲームとしてはその後「スター・ウォーズ エピソード1 レーサー」、「WipeOut」などが素晴らしかったのだが、最近で大変感動したのが「Fatal Inertia ~フェイタル・イナーシャ」。

・F-ZERO(スーパーファミコン)
http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_fz/

・スター・ウォーズ エピソード1 レーサー(Nintendo64)
http://www.nintendo.co.jp/n01/n64/software/nus_p_nepj/index.html

・WipeOutHD(PS)
http://www.jp.playstation.com/scej/title/wipeouthd/

・Fatal Inertia ~フェイタル・イナーシャ~ (PS3、XBOX)
http://www.gamecity.ne.jp/fatal/
公式サイト

私はPS3版(ダウンロード販売)に昨年はまった。ブーストさせたときの高速感がめまいがするほど強烈。自分が運転できていることが奇跡のように感じられる。リアルさ追求のグランツーリスモ系レースゲームでは実現できない非現実、超現実の方向性が好きなのだ。

・Fatal Inertia ~フェイタル・イナーシャ~
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というわけでF-Zeroにはまった経験がある人に映画スピードレーサー大変おすすめ。

・うぉっちゃー with RSS-Checker
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/net/se430521.html
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2ちゃんねるの板を監視して、レス数が一定以上の勢いになったスレが出てきたら教えてくれる祭り炎上の検出ツール。オフィスのパソコンに常駐させておくと、仕事を邪魔すること必定だが、それでもなお祭りをフォローしたい人向けのアプリケーション。特定のRSSの変更を検出するRSSチェッカー機能もある。

まず2ちゃんねるで監視したい板とチェックする頻度、そして祭りと判断する勢い(24時間以内のレス数)を指定する。あとは放っておけば、祭りのあった板をリストアップしてくれる。

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デスクトップの2ちゃんねるチェッカーとしては、以前、紹介したBallooも便利だ。

・2ちゃんねるを四六時中チェックしたい人の味方 Balloo!
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/02/balloo.html

・不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか
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一般論として不況だと職場も不機嫌でギスギスしやすい(一般論だよ、ウチの話じゃないよ>ALL 笑)。どうしたら社員同士が協力し合い、ご機嫌で働ける職場を作れるだろうか。組織とコミュニケーションの専門家4人が共同で書いたベストセラー新書。ありがちなケースと対処法が満載だった。

著者らはまず「協力を考える三つのフレームワーク」として

・役割構造 誰と協力すべきなのか
・評判情報 この人はどんな人なのか
・インセンティブ 協力への動機づけは働いているか

の3つを構造的要因として取り上げている。

役割構造が緩く曖昧だった日本企業に、成果主義が導入され、仕事の定義の明確化と専門性の深化が進んだ。それによって仕事が効率化された一方で、組織のタコツボ化の弊害が目立つようになった。個人主義的な意識で働く人ばかりになったから「以前だったら、誰かが対応して問題は起きなかった」ようなトラブルが頻発するようになったのではないかというのだ。

個人の力を重視するあまり、個人間のつながりを失った組織。特に不況とリストラによって、人材配置の冗長性がなくなった職場では、業務に忙殺されて、コミュニケーションの余裕がなくなるから、一層、不機嫌な職場の症状が悪化していく。

従来の日本企業ではインフォーマルなコミュニティやネットワークによって、個人の評判情報が流通し、トータルな人間性が相互に評価されていたと著者らは分析している。だから個人はずるをせず、まじめに振る舞う方が徳だった。専門的な能力があっても、信望がなければトータルでは×がついて昇進も難しかった。成果主義、能力主義の導入はそうした日本企業の組織風土のプラスの面も破壊してしまった。

後半では3つのフレームワークの工夫が示されている。不機嫌な職場を改善するためには感謝風土、認知風土をつくれという提案が、個人的には一番納得した。ストックオプション濫発よりも、よほど日常的なインセンティブになると思う。

「自分を認知しない個人、組織、社会に対して、人は愛情を弱める。たとえば、自分のことを日頃認めない人が困っていても、助けてあげようとは、素直には思えない。そのような個人、組織、社会に対しては、貢献意欲が薄れるばかりか、時には、恨みの感情が生まれる場合もある。残念なことに、現代は認知飢餓社会である。」

社員間で応答、反応を引き出すためのアイデアが、ユーモア感も感じられる楽しい表彰制度をはじめとして、いくつも紹介されている。

普段は所属が違っても廊下やエレベータで会ったときに、進んで挨拶したり、にこっとしてくれる人とは、コミュニケーションの潜在的な素地ができるものだ。一緒のチームになったときには協力関係を確立しやすい。コミュニケーション上手のリーダーというのは、そうした隠れファン層が多い人である場合が多いように思う。私もそうなりたいのだが、日常的に多数の人に愛想を振りまくというのは、精神的にも、結構なコストなのである。悩ましい。(本当は私はいい人なんですよ>Allとここに書いてみるテスト。)

ちょっと脱線したが読みやすく、面白い本であった。

・来週、宇宙に行ってきます
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宇宙旅行ビジネスコンサルタントの大貫美鈴氏による実用的な宇宙旅行ガイド。

著者プロフィール
「日本女子大卒業後、大手建設会社の宇宙開発室に勤務。同社の宇宙ホテル構想の提案が発端となり、以降、宇宙旅行に一貫して関わる。2000年、女性宇宙フォーラムを設立し、宇宙での衣食アートに着目した提案を当時のNASDA(現JAXA)に応募して共同研究を実施。現在は、宇宙ビジネスコンサルタントとして海外の宇宙企業のプロジェクトにも参画。アメリカの宇宙ベンチャー企業、起業家ら100社近くが所属する宇宙財団「スペースフロンティアファンデーション」の理事・アジア圏代表として、商業宇宙開発を推進するニュースペースの流れを盛り立てる一方、宇宙旅行にファッションを取り入れたり、宇宙ウエディングを提案するなど『身近な宇宙』を広めるために活動中」

90年代前半のインターネットみたいなワクワクが宇宙旅行には感じられる。個人で利用するには費用がやたら高く、ビジネスになるのかどうかもよくわからない。しかし、確実にこの方向に進むだろうなと確信できる。そんなところが似ていると思う。

「気がつけば宇宙旅行は現実になってしまいました。」

この本によると現在申し込める宇宙旅行には3つの種類があるそうだ。国内旅行、海外旅行の区分みたいなものか。

1 高度100キロ以上の宇宙空間を短時間弾道飛行するサブオービタル旅行
 予算 2~3千万円 訓練数日
2 国際宇宙ステーションに約10日間滞在するオービタル旅行
 予算 35億円~ 訓練6ヶ月
3 宇宙ステーションなどを経由して月を周回する月旅行
 予算 100億円~ 訓練6~8ヶ月

どれを選ぶにせよ、高額の費用がかかることは知っていた。まだまだ一般人は無理だよねと思っていた。先週までは。ところが同じフロアで働く箱田さん(SecondTimes編集長)が私の机にやってきて「僕、この本に宇宙旅行申込者として取り上げられたんですよー」とこの本を見せてくれた。その言葉に、この本の副題の通り「宇宙旅行はここまで身近になった」のかと実感した。(でもどうやって費用を捻出するのだろう?今度詳しく教えてください>箱田先生)。

「現在、サブオービタル宇宙旅行の申込者は世界で約600人といわれています。検討している人が8万5000人。この中には日本人もかなり含まれています。オービタル宇宙旅行では、これまでに国際宇宙ステーションに6人が滞在しています。」

この本は遠い未来の宇宙旅行ではなくて、その気になれば今参加できる宇宙旅行のガイドブックだ。宇宙旅行代理店の探し方や、費用や条件、申し込み後の訓練内容、宇宙船の種類、参加者のプロフィールなどが具体的に掲載されている。さすがにオービタルは大富豪ばかりだ。ウルティマの作者やリチャード・ブランソンなどがいる。

Xプライズ、宇宙観光、宇宙スポーツ、宇宙空間での研究開発、宇宙ホテル、宇宙エレベーター、月面開発、宇宙太陽発電など、その先にある宇宙ビジネスについても触れられている。従来の宇宙本と違って、科学者が書いたのではなく宇宙旅行コンサルタントが書いた本なので、本当に行ってみたくなる内容になっている。面白い。もはや最先端はネットではなくて宇宙だ。

この本の中で宇宙ダイビングというのが紹介されており、1960年に33キロ上空から飛び降りた米軍テストパイロットの記録が50年経っても破られていないという。気になってYoutubeを調べてみた。記録映像を発見。圧巻である。これは上空というよりも本当に宇宙から飛び降りている...。このスポーツ、私はパスだな。


・いつか、すべての子供たちに――「ティーチ・フォー・アメリカ」とそこで私が学んだこと
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アメリカ一流大学卒業生の人気就職先ベスト10にランク入りした非営利団体Teach for America(TFA)のファウンダー ウェンディ・コップの自伝。21歳の女子大生がアメリカの教育に大きな一石を投じることになった最初の10年間のサクセスストーリー。

・TFA
http://www.teachforamerica.org/

アメリカでは所得の格差は教育の格差となり、貧困を次の世代に遺伝させてしまうことが大きな問題になっている。

「生徒は通常、非常に不利な状況を抱えて、彼らのもとにやって来る。多くの生徒は、小学校一年生になったその日から遅れている。よい入学前プログラムに通っていなかったり、十分な栄養を取っていなかったりするからだ。子供が成長するにつれ、貧困から生じる問題により、優れた学業成績をあげることはさらにむずかしくなる。」

「低所得地域の子供たちは九歳の時点で、高所得地域の同い年の子供と比べて、算数では一~二学年遅れ、読解では三~四年遅れている。その後、このギャップは広がる一方で、ロサンジェルスの中南部で育った子供が大学を卒業する確率は、ビバリーヒルズで育った子供の約七分の一になる。」

「いつか、この国のすべての子供たちに、優れた教育を受ける機会が与えられること」。教育の不平等を解消するという夢を実現するために、大学生だったウェンディ・コップは、TFAプログラムを考案した。長い苦労の末、TFAは最も成功した現代のNPOのひとつとなった。

TFAは全米の劣悪な環境にある公立学校に、一流大学を卒業したばかりの新米教員を派遣する。2008年度の実績ではハーバード大学の卒業生の9%が、TFAの教員に応募したという。

誰でもTFA教員になれるわけではない。厳しい採用試験がある。2万5千人の応募者のうち合格は3600人の狭き門である。合格しても任期は2年間。年収は約2万5千ドルというから経済的な報酬は若きエリートにとって決して魅力的なものではないはずだ。純粋な動機が選別される。

こうして選ばれた優秀な頭脳と高い意欲を持つTFA教員は、全米各地で短い間に底辺校をトップ校に作り替えていく。彼ら自身も優秀教員として表彰されている。その型破りな活動は、当初は古い教育界から疑問視する声もあがったが、今では米国大統領や著名な経営者にも賞賛されるものになった。

「従来の先生には、教師という仕事が「生計を得るためのジョブ」となっている人たちが多い。それに対して、TFA教師たちを突き動かしているのは「使命感」なんです。」と解説にあるが、それが本質であろう。

興味深いことに、この本のほぼ半分はウェンディが自転車操業のNPOを存続させるために、全米を飛び回りながら資金調達を行った最初の10年間が描かれている。恐らく経営者の彼女にとってこの10年間は組織のためにカネを集めることがトップ・プライオリティの日々だったのだろう。

夢を実現するために必要な金も同時に追いかける。当初は情熱一辺倒の彼女が次第に経営リーダーとして成長しいていくのがわかる。理想と現実の間を埋めるためのマネジメント、ファンドレイズ、それができたことがTFAと彼女の成功の要因だっただろう。持続可能な経営と財務の基盤を築けない、ひ弱な社会起業家ではダメなのだ。

・アメリカ下層教育現場
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/02/post-923.html

・未来を変える80人 僕らが出会った社会起業家
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/05/80.html

・誰が世界を変えるのか ソーシャルイノベーションはここから始まる
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-821.html

・ビジョナリーカンパニー【特別編】
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/06/post-403.html

・ブロデックの報告書
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この小説は絶品。読みふけった。

「僕はブロデック、
この件にはまったく関わりがない。
僕は何もしなかったし、
何が起こったのかを知ったときでも、
できればいっさい語らず、
自分の記憶に縄をかけ、
金網の罠にはまった貂のようにおとなしくさせるために
きっちり縛り上げておきたかったのだ。」

主人公ブロデックは村人達が集団で放浪者アンデラーを殺す現場に偶然居合わせてしまう。村人達は村一番のインテリである彼に、この事件の顛末を中央に伝えるための正しい報告書を書けと脅す。もともと余所者で立場の弱い"僕"は依頼を断ることが出来ずに、不穏な監視下、自室に閉じこもって黙々とタイプライターを打つ。

村人達は主人公に踏み絵としての事件記録を書かせた。彼の村への忠誠を試しているのだ。しかし、彼が書き綴っていたのは事件の報告書だけではなかった。それは彼自身が記憶の奥に封印していた戦時中の陰惨な体験の記録であった。その過去の記録がやがてブロデックの今の立場を映し出す鏡になる。

人間の集団があるところには必ず疎外がある。集団の論理は個人の自由を制約し、ルールに従えない者を排除する。よそ者や罪人を排除することによって村の平和と連帯が成り立つ。ブロデックに求められているのは事件を説明しながらも、自身の信念をまげて、村人に不利な事実を書かないことであった。

ブロデックの立場は国の正史を書く歴史家の立場と同じでもある。正史の書き手は現状の権力関係の正統性を肯定するように、過去を物語化することが求められる。ブロデックは屈辱的な服従の経験を振り返りながら、村の歴史をどう書くべきかを苦悩する。虚偽を書いて村の一員になるか、真実を書いて制裁を受けるか。

ミステリー仕立ての作風だが、テーマは重たい。圧倒的な疎外の物語である。

・「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/02/post-529.html
アゴタ・クリストフの3部作が好きな人に特におすすめである。

・となりの車線はなぜスイスイ進むのか?――交通の科学
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車を中心にした交通の科学研究。

興味深いデータが満載。

「交通については、おもしろい法則がある。世界中で移動に費やす時間は、ほぼ同じであることだ。アフリカの村でもアメリカの都市でも、一日あたりの往復通勤時間は1.1時間程度である。」

「カーネギーメロン大学の調査によると、走行距離1億マイルあたり、男性は1.3億人死ぬが、女性は0.73人である。男性は1億回走行あたり14.51人死ぬが、女性の場合は6.55人である。そして男性は1億分あたり0.7人死ぬが、女性の場合は0.36人である。」

「通勤時間が延びている地域は最も所得格差が広がっている地域である」(アスペン効果)

「おもしろいのは、『慎重ぐるぐる派』は時間をかけて駐車スペースを探したあげく、距離の点でも歩く時間の点でも『無頓着派』より店に近いところに停めているわけではないことだ」

「統計的に離婚歴のある人の運転は危険」


交通はしばしば水の流れに例えられるが、隘路の交通のモデルは水ではなく米だという話がある。じょうごに大量の米粒を通す場合、いっぺんに入れるより少しずつの方が同じ時間に多くの米粒を通すことができる。「注ぎ入れる米の量を減らせば、よりスペースの余裕ができて、粒同士の干渉も減る。流れが速くなるのだ。このことは直感的にわかりやすいが、しかし路上のドライバーにとっては、必ずしも受け容れやすいものではない。」

しかし、こうした物理的なロジックだけは交通の謎は解明できない。性別、階級、運転経験などが交通に強く影響しているからだ。たとえばクラクションの使われ方は

・女性運転や初心者マークの車は後続車からクラクションを鳴らされやすい。
・メルセデスのような高級車は鳴らされにくい。
・男性より女性の方がクラクションを鳴らしやすい
・大都市に住む人の方が田舎に住む人よりも鳴らしやすい

という特徴があるという。水や米粒の動きには還元できない、極めて人間的で曖昧な要素がそこには含まれている。社会学も関係がある。現代の渋滞の原因は女性だ。アメリカで女性が労働力に占める割合は28%だったが、現在は48%である。移動距離自体は男性の方が長いが、女性は送り迎えのような短距離で頻繁な移動が多いため、女性は渋滞の原因と考えられるのだ。

交通の研究は心理学、社会学、物理学など実に異なる側面、奥行きを持つことがよくわかる本だ。

全体を見渡すことができない交通の中の人間は、これで十分という限界合理性で行動している。ネットワーク技術による交通情報の共有は、皆がそれを知ってしまえば、新たな渋滞を招く。結局、個別の経路誘導システムやインテリジェントに変動する有料課金のシステムが有効なのではないかと思った。

ところで私は車は運転しないので、次は歩行者の「徒歩」戦略の本が読みたいなあ。

・渋滞学
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/11/post-480.html

・Eye-Fi Share SD型ワイヤレスメモリカード 日本版(正規品)
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日本版の発売日にゲットして以来ずっと愛用している。

デジタルカメラで撮影した写真が、SDカードに内蔵された無線LAN機能を通じて、自動的にFlickrやフォト蔵などのWebアルバムにアップロードされる。自分のパソコンに無線経由でコピーすることもできる。この便利さに慣れてしまうと、普通のSDカードに戻れない。
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Eye-Fiの特徴は最初の設定以外は、使っていることを意識しなくてもよいということ。写真を撮影した後、無線LAN(事前登録の必要あり)のある場所で、デジカメの電源をオンにしたり、SDカードをPCに挿していれば、自動的にアップロードされる仕組み。これが便利なのだが、Weebアルバム側の設定を、原則「非公開」にしておかないと、未公開にしておきたい画像も公開されてしまうので、注意が必要である。

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撮影した画像をネットにアップするという限定された目的に特化しているが、結構多機能だ。多くのWebアルバムサイトに対応しているし、アップ状況をメールやRSSで通知することができる。

Eye-Fiカードは使い方次第で用途が広がりそうである。SDカードに画像を保存するタイプのスキャナーに挿しておけば、スキャナーを無線化したのと同じになる。もうすぐ動画対応のEye-Fiも発売されるらしいが、他のファイル形式に対応すれば、カメラ以外のデバイスを無線化する汎用的なモジュールとして、普及する可能性もありそうに思う。

・SBMカウンター
http://miniturbo.org/product/extension/sbmcounter/
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このページに書いてあることはどの程度の信憑性があるのだろう?と思ったとき、私ははてなブックマークなどのソーシャルブックマーク情報を参照することにしている。たくさんブックマークがあれば、人気度、信頼度が測れる。間違いがあれば読者が指摘している場合もある。

SBMカウンターは現在見ているページに対しての各ソーシャルブックマーク件数を表示するFirefoxのアドオンである。ステータスバーに情報表示されるので常用しても邪魔に感じない。

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さらにワンクリックで各ブックマークのコメント内容も参照することができる。各サービスへ飛ばなくてもよいのが便利だ。

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プライバシーやセキュリティ上、閲覧中のページに関する問い合わせを行わないように、特定のURLを除外する設定も可能である。ブラウザアドオンとして機能しているが、将来的にはサーチエンジンがこんな機能を提供してくれてもよいのではないか。

愛する人達

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・愛する人達
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しみじみといい小説を読んだなあという感慨に浸れる川端康成の短編集。

「母の死語、母の初恋の人、佐山に引きとられた雪子は佐山を密かに慕いながら若杉のもとへ嫁いでいく───。雪子の実らない恋を潔く描く『母の初恋』。さいころを振る浅草の踊り子の姿を下町の叙情に托して写した『夜のさいころ』。他に『女の夢』『燕の童女』『ほくろの手紙』『夫唱婦和』」など円熟期の著者が人生に対し限りない愛情をもって筆をとった名編9編を収録する」

昭和15年に雑誌『婦人公論』に連載した9つの作品。太平洋戦争が始まる翌16年に単行本が発売された。緊迫していく社会情勢だったはずだが、川端康成は敢えて平和な日常の中の男女の愛情を静かに描いている。この力の抜き具合が素晴らしい。解説で高見順はその良さは婦人雑誌ならではと言い、次のように語っている。

「婦人雑誌を私は何も小説の発表舞台として低いもののようにおとしめるのではなく、アラ探しに血眼に成っている世の評家のその眼の外に一応置かれている安全地帯だという意味であり、そういう場所の霊としての婦人雑誌を挙げたのであるが、そういう場所に書かれたものに、良い小説があるというのは、或は、作者が気持ちを楽にして書いたからではないかという風に考えるのである。」

経済的に自立した女性はまだ登場しない。女は男に人生の舵取りを委ねなければならない時代が舞台である。女性はそれ故に恋愛や夫婦生活において、まっすぐに男に思いを向ける。愛情生活が破綻しても別れることは難しいから、おりあいをつけていかねばならない。そういう閉塞感の中の愛憎を静かに描いている。どこか小津安二郎の映画に共通するものがある気がする。

・眠れる美女
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-847.html

 この記事はエイプリルフールのネタでした。このアプリはクリップボード履歴の活用ツールとして動作するのですが、音声認識機能なんてございません。おつきあい反応してくださった皆様、どうもありがとうございました。あ、でも微妙過ぎてネタとしてご理解いただけなかったマジョリティの皆様、すみませんでした。来年以降はもっとわかりやすくを心掛けます。

今日は自作アプリの紹介。

久々にプログラマに戻ってこんなWindowsアプリを開発してみた。

・クリップ・オン(音)
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クリップ・オンはクリップボードのデータベース化ソフト。起動するとタスクトレイに常駐しクリップボードを監視する。ユーザーが"コピー"や"切り取り"を行ったテキストをすべて専用データベースに記録する。普段はウィンドウの背面で動作するが、タスクトレイのアイコンをクリックするといつでも一覧画面を呼び出せる。

たとえばWebでニュースを見ている時に、気になった記事を"コピー"する。それだけで内容がデータベースに登録される。メールやWordなどのどんなドキュメントでも、テキストとしてコピーができれば、どんどんスクラップしておけるのだ。もちろん、このクリップボード履歴は全文検索が可能である。

さらにカレンダー・インタフェースから、過去にさかのぼって特定の1日のクリップボードの履歴を表示させることができる。

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メールのアイコンをクリックすると標準メールソフトが起動して、本分にクリップ内容が挿入された状態になる。誰かにメールで情報を簡単に伝達できる。さらに、このソフトは情報共有用の専用Webサーバ機能を内蔵している。

Webアイコンをクリックするとブラウザが起動して現在のクリップ一覧が表示される。社内LAN環境であれば、IPアドレスのURLを指定することで、他のPCのWebブラウザから、クリップ一覧を見ることができる。(http://192.168.0.30:8864/ のようなURLになる。)。

社内で情報を調べまくっているオタクがいるなら、そのユーザーの一覧を他のみんながチェックすると、ナレッジマネジメントのソリューションになる。(うっかりおかしなものをコピーして人格を疑われないように。)。

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さて、このソフトの目玉機能は音声記録、オン(音)サーバ機能である。

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メニューからサーバ機能をオンにすると、パソコン周辺の音声を拾う。そしてその内容をテキスト化して、クリップボードに逐次登録していく。会議に持ち込んだノートPCで、このソフトを使うと、すべての発言がデータベース化されるので、"言った言わない"で揉めなくて済む。全部コピーされて残されてしまうのだから。

男性は黒、女声は赤で記録される。話者の年代推定機能もあるので、マーケティング座談会の記録分析にも活用できる。なお、音声認識は精度を高めるため最初に話者の音響モデル学習が必要である。設定パネルを開いて10分程度の発声練習が必要だ。

ダウンロードはこちら。
cliponbeta1.zip

趣味で作ったソフトだが、実は販売代理やソリューション提案できるパートナー及び投資家を募集している。詳細を希望する人ははやめに clipon@ringolab.com まで ご連絡をください。

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