2006年06月29日

武士道とエロスこのエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加


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・武士道とエロス
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武士道と不可分な主従の「忠」という感情。

男性ばかりの武家社会における、その絆の強さは、衆道(男色)と関係が深いことを、多数の文献を引用しながら明らかにする。「忠」には「恋」の感情が含まれており、そこには肉体関係も当然のように存在する。裏切られれば嫉妬もする。歴史上の有名な決闘のいくつかは男色関係のもつれが原因であった。

江戸時代や明治時代の初期までの日本では、男性同士の関係が現代よりも遥かに容認されていたらしい。武士の心がけを説いた18世紀の書「武士としては」には、武士として度を過ごしてはならない事項として、私欲、えこひいき、女色、酒食と並んで童愛(男色)が挙げられている。恋人の敵討ちは美談であった。武士道の華、尚武の証として讃えられていた時代もあったのだ。

時代が下り、武家社会が官僚社会に変容する。軍隊社会では、教育的意味も強かった主従関係、義兄弟関係がその意味を失う。それに伴い、男色は次第に衰え始める。ひとつには結婚年齢の低年齢化も原因であったそうだ。江戸時代の初期の武士は40歳で結婚するものが少なくなかったが17世紀後半には20歳前後で結婚するようになった。

感情や肉体の絡んだ強い絆を失い、武士道は、倫理道徳の精神論に変容していく。「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり(葉隠)」という有名な言葉があるが、なぜ死ぬのかの理由の一つが、愛する同性のためでもあったことになる。江戸時代の文化史、精神史を考える上で、男色は省くことができない要素で、その研究は面白いだけではないと結論されている。

武士道とエロスの意外な面がわかった。NHKの大河ドラマなどで、こうした事実に忠実に、戦国時代のドラマを作ったら、面白いのではないか。こどもに説明するのが難しそうだが。

・男女交際進化論「情交」か「肉交」か
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004393.html


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Posted by daiya at 2006年06月29日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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