Books-Internetの最近のブログ記事

・グーグル時代の情報整理術
41xE9M-e2QL__SL500_AA300_.jpg

グーグルの中の人が情報に対してどんなことを考えているのか知ることができる。

著者のダグラス・C・メリルは子供の頃からの失読症を克服してプリンストン大で認知科学の博士号を取得した後、グーグルのCIO(情報最高責任者)に就任した人物。情報処理に人一倍の認知コストを必要とする病だったからこそ、脳に負担をかけない効率化を徹底するようになったという。本書の情報整理術は人間に余分な整理の努力を求めない。

「本書でご紹介するのは"万人共通"の整理術ではない。受信トレイを常にからにせよとか、コンピューターのファイルをフォルダー階層別に分類せよとか、明細書をデジタルで受け取るようにせよとか、そんな方法を押し付けるつもりはない。そんな方法に従って生活しなくちゃならないとしたら、私自身が「整理できない人間」のレッテルを貼られてしまうに違いない。」

なんでもデジタル化して検索できるようにすれば、デジタル情報の保存、整理、検索を行うためのデジタルツールで問題は軽々と解決する、というのが著者の持論だ。だから大切なのは検索することを前提に足場(デジタル情報整理の環境)を組むことが一番で、やはり決め手はグーグルやGメールだということになる。

「整理術の原則」20カ条がまとめられているが、たとえば私が共感した項目を抜粋すると、

1 脳の負担がなるべく少なくなるように、生活を組み立てよう
2 なるべく早く、頭の中から情報を追い出そう
3 "ながら作業"は一般的に効率を低下させる
6 知識は力ならず、知識の共有こそ力なり
20仕事とプライベートのバランスを取るのではなく、融合させよう

といった感じ。とにかく無理をせず、ルールさえ意識していれば自然にうまくいく、ノーストレスの情報整理術のヒューリスティック集だ。グーグルに限らず、便利なデジタルツールも大量に紹介されている。情報整理について今一度、考えてみたい人は必読。

効率性を説いているわけではあるが、かなり著者の人生観や私生活に触れるウェットな記述も多くて、人柄がでている人間を感じさせる本である。こうやって顔が見えるとグーグルという会社が一層面白く思えてきた。

マイコンとファミコンにどっぷりつかった8ビット世代なら楽しめる漫画を2冊。

・8bit年代記
61jUBSBkGrL__SL500_AA240_.jpg

ゾルゲ市蔵氏による80年代年代記の形をとった自伝マンガ。日本のデジタルコンテンツ第一世代が、薄暗いゲーセンと低解像度な画面で過ごした青春回想。30代から40代でパソコンをやっていた人は懐かしさに浸れるはず。

インベーダー、ゼビウス、MZ-700、X1、スペースハリアー、そういえば80年代は画面背景は常に黒だったなあ。日本のネット黎明期、人気のISPベッコアメの背景が黒だったため、どことなくWebにも、アングラ、サブカルなイメージがあったなあと、今振り返ると思う。"黎明"っていうけれども、ゲーセンにせよ、8Bitパソコンにせよ、ビデオゲームにせよ、薄暗がりの中から、次世代のコンテンツが立ち上がってくる法則ってないだろうか。ないですか?。

・ピコピコ少年
picopicoshounen.jpg

「●ファミコン中毒のきっかけとなった少女との淡い出会い「初恋少年」/●ユートピアだったあの駄菓子屋は今?「駄菓子屋少年」/●FFV発売を待つ列の先頭での恐怖の一夜「行列少年」/●俺のBrand New Heartはどこに?「センチメンタルハート少年」/●雨の日に最高に贅沢にプレイする方法「秘密の城少年」......みんな実話です!!」

こちらもダメ人間感漂う80年代期。日本の"ビーイング・デジタル"の実像ってこんな風だと思う。ニコポンがいうような高尚なものじゃなかったはず。こうした原体験を共有する世代が、いまコンテンツ産業の中核になろうとしている。日本のアニメには弱者への優しさや強すぎない正義感が織り込まれている気がするのだけれど、それは制作者たちがこういうマイノリティ文化の出身だからというのは大いにあるんじゃないだろうか。

ところで、この本には登場しないが、80年代にはレンタルソフト屋という業態が存在していた。レンタルビデオと同じように、市販のパソコン用ソフト(多くはゲーム)を2泊3日500円くらいで貸し出すという商売だ。5000円とか1万円以上もするゲームソフトやビジネスソフトが、そんなに安く手に入るのだから、当時のマイコンオタクたちはレンタルソフトを愛用していた。今なら「それって違法じゃ?」と思うわけだが、当時はソフトウェアをめぐる法律がはっきりしておらず、レンタルソフト屋さんはレンタルビデオと同じように、表の舞台で営業していた。ああいうのの内幕を描いた作品誰か描かないかな。最後どうなったんだろ?

・クリック!「指先」が引き寄せるメガ・チャンス
51WG2WwYP1L__SL500_AA240_.jpg

Webマーケッターは一読の価値あり。

著者のビル・ダンサーが所属するHitwise社はISPのアクセスログなど1000万人のWebアクセスデータを収集して、インターネットユーザーのクリック動向を解析している。このデータを使うと、どんなプロフィールのユーザーが、どのようなサイトに、どれくらいの頻度でアクセスしているかが把握できる。またどのページからどのページへと移動しているのかも丸見えになる。

・HItwise
http://www.hitwise.com/us

海外中心のデータだが、現在のWebのトラフィック動向がよくわかる。たとえばCGMサイトに書き込みをする人と閲覧をする人の比率について、こんなデータが明かされている。

「ウェブ2.0的なサイトへの全アクセス数の1パーセント未満が、ユーチューブに自ら作成した動画を投稿するなど積極的に参加している人たち、9パーセント(この数字はそのサイトのオペレーションの「複雑さ」)によって、3パーセントから9パーセントの幅で変動する)が、項目を編集するかコメントを書き込みながら、消費者の生み出したコンテンツと相互に関わり合っている人たち、そして90パーセントが潜伏者であり、反応はせずに黙ってコンテンツをながめているだけ」

90%のマジョリティの気持ちはわかっても、1%や9%のの常連投稿者たちとコメント投稿者の気持ちが分かる人は少ないと思う。多くの企業によるCGMサイトが投稿者の不足で苦しむのは、広告経由で来訪するようなマジョリティ向けに作りこんでしまう結果なのではないか。個人やベンチャー発のCGMサイト(ミクシイもグリーも)は開発者がコア層の人間だったから成功したように思える。

もちろんマジョリティもいつまでもネット初心者ではなく、検索エンジンにおいて3語以上での検索が2003年では全検索数の14%にだったが2007年には23%にまで増加したという底上げ現象も起きているそうではあるが。

層と層のインタラクションという分析も興味深い。たとえばウィキペディアにアクセスする人は18歳から24歳の層が大きな割合を占めているが、書き込みをする人は45歳以上が41%を占めていて18歳から24歳は17%に過ぎない。年長者が若年層に教えているという図式になっているという。

そして大変面白かったのが、知られざるアダルトサイトの現状である。アダルトサイトへのアクセス数は72.6%が男性だが、テキスト主体の「エロ文学」サイトでは女性が65.5%を占める。( たとえば http://www.adultfanfiction.net/ だそうだが、英語力が相当ないと興奮できない(笑)。)

2007年頃から若年層でアダルトサイトの視聴時間が減って、SNSの視聴時間が上がった。異性の裸より友達との会話に時間を費やすようになったという。Twitterブームはその延長線上にあるのだろう。「フェイスブックで生身の人と接触できるチャンスが得られるのに、どうしてポルノが必要なのか」という利用者の声まで紹介されているが、実に健全なリテラシーの向上と言えそう。

本書はこうしたデータとその分析の話がひたすら続く。米国での出版は2008年度であるため、2009年の状況は入っていないのだが、Web2.0、3.0世界のトラフィックサマリーとしてはだまだ有効であろう。

日本のトラフィックに特化した本を誰か書いてくれないかなあ。Internet Survey MLの萩原代表が適任者だと思うのですが。

・Internet Survey Reference Room
http://masashi.typepad.jp/surveyml/

・デジタルネイティブが世界を変える
51veSZ26toL__AA240_.jpg

ボブ・ディランの名曲に「The Times They Are A-Changin'(時代は変わる)」という歌があった。子供の世代が古い価値観の親の世代に交代を迫る社会派の歌詞は時代は変われど普遍的なものだ。21世紀初頭の社会のChangin'とは、PCやネットを自在に使いこなす"デジタルネイティブ"と、旧世代の"デジタルイミグラント"の交代劇である。ネイティブ層1万人へのインタビューをもとに、8つのキーワードが浮かび上がる。

ネット世代は何をする場合でも自由を好む。選択の自由や表現の自由だ。
ネット世代はカスタマイズ、パーソナライズを好む。
ネット世代は情報の操作に長けている。
ネット世代は商品を購入したり、就職先を決めたりする際に、企業の誠実性とオープン性を求める。
ネット世代は、職場、学校、そして、社会生活において、娯楽を求める。
ネット世代はコラボレーションとリレーションの世代である。
ネット世代はスピードを求めている。
ネット世代はイノベーターである。

「テクノロジーは発明される前に生まれた人にとってのみテクノロジーとして意識される。」とアラン・ケイは言った。デジタルイミグラントの私の世代はテクノロジーそのものが好きだが、ネイティブにとってはテクノロジーは無意識のうちに使っているものであって、評価する対象でない。無理して使うことはしない。必要最小限のテクノロジーを、最大の効果で自然に使える世代が誕生しようとしているようだ。

日本では平成元年(1989年)生まれくらいが、デジタルネイティブ層に当たる。本書は米国の話が多いので、イメージを持ちやすくするために、1989年生まれの人生を、IT業界史とともに振り返ってみた。

95 小学校1年でウィンドウズ95が発売
96 小学校2年でヤフー株式会社設立
97 小学校3年まぐまぐメルマガブーム
98 小学校4年でウィンドウズ98が発売
99 小学校5年で携帯i-Modeが登場
00 小学校6年でビットバレーが話題に
01 中学校1年でYahoo! BB開始
02 中学校2年でWinnyが誕生 P2P全盛に
03 中学校3年でGoogleがBlogger.com買収
04 高校1年でミクシィがスタート
05 高校2年でライブドアがフジテレビ株式取得
06 高校3年でライブドアショック
07 大学1年でウィンドウズ Vistaが発売
08 大学2年でサブプライム崩壊大不況へ
09 大学3年でiPhone新型発売
10 大学4年で就職活動

いままさにデジタルネイティブが社会に出てくる元年なのである。この本は豊富なデータと深い洞察で、この新世代のイメージを明確に浮かび上がる。名著だと思う。

・iPhone情報整理術
513Bau8Dq1L__SL500_AA240_.jpg

デジタルツールを使った仕事術は私も一応専門家なので、一般向けの本で満足することは滅多にないのだが、この本は例外で大満足。iPhoneを仕事にフル活用したいという人はいますぐ読むべき。よくあるiPhoneムック本とは格が違う。iPhoneを徹底活用したデジタルノマドのノウハウの要点と、何万本もあるアプリから精選された本当に役立つものだけを知ることができる。

デジタルノマドというのはこの本によると「簡単にいえば、最先端のITツールを駆使して、物理的制約にとらわれずに仕事をする、新しいワークスタイルのことです。手元の超小型コンピューターやオンライン上に、バーチャルオフィスをそのまま持ち出し、それを使ってもっとも都合のよい時間帯に、一番便利なところで仕事をこなす」というもの。特にワークスタイルが比較的自由なフリーランスやベンチャーのビジネスマンに最適な内容になっている。

iPhoneアプリの世界は日々進化している。だからこの本も今が旬だと思う。思えば私自身のiPhone利用も2週間くらいで変化している。今最も利用頻度が高い仕事系アプリベスト3は、

1位 Read It Later
PCのWebブラウザーでページを「後で読む」指定しておくと、iPhoneでダウンロードして読むことができる。

2位 ByLine
GoogleReaderの専用クライアント。Googleリーダーに登録したブログやニュースサイトを一括ダウンロードして読むことができる。

3位 Evernote
PCで便利な多機能メモ帳と連動するiPhoneクライアント。iPhoneからメモを取る時には必ずこれを利用して、PC版のメモと統合管理している。書類読み取りアプリのDocScannerとの連携もスムーズ。

といった感じ。より詳しい話は、このイベントでプレゼンしようと準備中。

エバンジェリストとiPhoneについて語ろう!
http://www.feedpath.co.jp/topics/seminar/000543.html

・Learning to love you more
515fXcPmK2BL__SL500_AA240_.jpg

『Learning to love you more』という洋書を買いました。膨大な量の投稿写真とテキストからなるこの本は、同名の人気Webサイトのログを書籍化したものです。

・Learning to love you more
http://www.learningtoloveyoumore.com/index.php

このサイトには70の実行命令があります。読者はこれを実際に行った結果を報告します。命令と報告によってコンテンツがジェネレートされていくわけです。「あなたの両親がキスをしている写真を撮影しなさい」(書籍の表紙になりました)「幼い子供のドキュメンタリ映像を投稿しなさい」「直近の論争を書き起こしなさい」など、ちょっと気力や手間がかかるものが多いです。この結果が、なかなか味わい深い内容になっていまして、人気コンテンツになりました。(残念ながら7年半でこのサイトは命令と報告の受付を終了したようです。)。

CGMでコンテンツをプロデュースしていく事例をいくつかまとめてみました。
#これはあるイベント用に用意したメモの再構成です。

・43Things
http://www.43things.com/

同志と励まし合うブロガーたちのコミュニティがコンテンツを増殖させるサイトです。まずユーザーは「10キロ痩せたい」「本を書きたい」「恋人を作りたい」「可愛くなりたい」などの目標センテンスを宣言します。そして、そのテーマでブログを書きます。すると同じ目標を持つ他のブロガーたちの更新が、自分のブログの横に表示されます。それを何日続けている、だとか、応援を送る、とか、コメントを寄せ合うことができます。同志が励まし合うことで、行動意欲が増進され、ブログコンテンツが増殖するのです。

コンテンツを生み出す関係性は、協調だけではありません。競争が共同創造に結びつくこともあります。iBeatyouは名前からして挑発的です。「俺凄いだろ」と見せびらかす映像を誰かが投稿すると、世界は広いので、それを上回る凄い映像を投稿してくる者が現れるという、ムキになる気持ちを逆手に取ったプロダクションシステムです。どっちが凄いかは視聴者投票で民主的に決定されます。

・iBeatYou
http://www.ibeatyou.com/

・10秒間に何度ウィンクできるか?勝負映像
http://www.ibeatyou.com/competition/434848/most-winks-in-10-seconds

こういうくだらない勝負も加熱するわけです。

協調と競争、そして残るは闘争。闘争もまたコンテンツを生み出すことがあります。SideTrackerはケンカをする二人が、自分の言い分を投稿します。視聴者に投票してもらって、どちらの言い分が正しいかを決めてもらうサイトです。

・SideTracker
http://www.sidetaker.com/

たとえば夫婦問題。この夫は28歳Bカップの妻が8000ドルもする豊胸手術をしたいと言っておりけしからんと思う、と言い、妻は私はおっぱいをもっと大きくしたいのよ、だって二人の子供を産んでからBカップがAカップになってがっかりしたんだもの、何が悪いの?と怒っております。さあ、どっちに投票しましょうか。

・Breast Implants Are Not A Family Priority
http://www.sidetaker.com/story/1149/breast-implants-are-not-a-family-priority

CGMはコンテンツを生み出す原理で

1 協調生成
2 競争生成
3 闘争生成
4 投票生成
5 ....
6 ....

のように分類することもできそうだなあ。

目立つ力

| | トラックバック(0)

・目立つ力
51kLIXZbbNL__SL500_AA240_.jpg

はじめて勝間和代さんの本を読んだ。とにかくわかりやすい言葉で話す。何にでも、とっかかりを示して、読者のモチベーションを高める。そして時代の寵児の勢いを存分に感じられるエネルギッシュな新書。

この本は主にブログを使った自己実現の指南書だ。パソコン通信時代からの20年に及ぶネットコミュニティでの努力が、2007年くらいからの彼女の人気大ブレイクに実を結んだ。その歴史が「勝間和代ができるまで」として自伝的に語られている。

なぜブログなのか?。

「どのように自分自身をスキルアップし、ほかの人の役立つようになっていくかという、自分の人生戦略を策定していく際に、ブログを日常的に作っていくこと以上に役立つことはありません。なぜなら、ブログはいわば市場での自由競争にさらされているわけですから、そこの中で自分というキャラクターを立て、ほかの人に認知され、かつ交流を持つためには、戦略が必要だからです。」

集客力のある情報とは「とてもディティールに踏み込んだマニアックな情報か、あるいは最先端の情報」として、

私も、いわゆるアルファブロガーという分類をされる一人なのだけれども、大人気の勝間氏の考え方に共感するところが多かった。しかし、この国では出る杭は打たれる面もある。目立つ力と同時に必要なのが「めげない力」だと思う。この人は常人の何倍も打たれ強いというか、負のエネルギーさえ取り込んで成長していくパワーを持つ人のように感じた。

「そして、実はこの「自己承認欲求を満たす」ことは、私たちが幸せに生きる際に欠かせないことなのです。ふだん、人に批判的な人と、そうでない人を比べたときに、私が強烈に感じるのは、自分が満たされている人は、人の批判をする気持ちもないし、また暇もないということです。」

とか、リアルでも陰口はあるが本人に聞こえにくいのに対して、インターネットでは「陰口が可視化できてしまった」だけだから気にするなという。こういう境地こそ、勝間氏の強さの秘密なのだと思う。アテンション・エコノミーという自由市場では、勝間氏のように勝てる人と、負けてしまう人が明確になる。負のオーラとどうつきあうか、目立つ人の重要な心得であると思う。それで潰れてしまう人もいるのだから。

いまブログ界隈で起きていることを把握できるWeb2.0 Now的な本でもあった。現在進行中か、少し前に起きたドキュメンタリ的な記述が多くてライブ感に満ちている。聖幸さんたつをさんSmoothさん、そして小飼弾さんら、書評系ブロガーがネット上で勝間和代ブームを作りだしていった過程だとか、つい先日のTwitterのヒウィッヒヒー事件などが当事者視点で振り返られている。2009年の今、旬の本だな。

・iPhone3GS・3Gスーパーユーザーガイド
41M191NacpL__SL500_AA240_.jpg

ITの仕事をしているのでしばしば取引先の人々から「橋本さんはiPhone使ってないんですか?」とよく聞かれた。

その度に「まだ普通のユーザーはiPhoneなんか使っていませんよ」「公式携帯サイトを見るとか、リッチコンテンツは見られないとか、普通のユーザーの気持ちを大切にしたいので、敢えてiPhoneにはしないんです。」といいながら「本当ですか」と訝しがられながら、iPod Touchでアプリを試してごまかしていた、わけですが...。

とうとうiPhone 3GSを買ってしまいました。

あの言い訳は何だったんだというと、何だったのでしょう。さようならクリノッペ。こんにちはセカイカメラ。

iPhoneと一緒に購入したのがこのムック。iPhoneの操作ガイドとおすすめアプリが全ページカラーで解説されている。そんな本は巷にいっぱいあるが、この本の魅力は、おまけに特製のシリコンジャケットが付属していて1575円であること。とりあえずiPhoneを買って、カバーをつけておきたいという需要にぴったりであった。

iphonescover02.jpg

柔らかいゴム状なので、ポケットや鞄の中でのスリ傷予防には十分。対衝撃という点ではちょっと心許ない、かな。市販のごついジャケットと比べると、薄くて嵩張らないのがいい。液晶フィルムは別途購入して貼った。

iphonescover01.jpg

液晶保護は必要なのだが、外装を守るジャケットって買ってすぐつけるべきなのだろうか?とふと思う。だってこれだとiPhoneの元々の姿が見えないではないか。傷がついてからジャケットを着せればいいという考え方もある。どうせジャケットを着せたら地のデザインは見えないのだから。どっちがいいのだか判断がつかないので、とりあえず着せておくことにした。

・ホリエモン×ひろゆき 語りつくした本音の12時間 「なんかヘンだよね・・・」
61m7aNz2Be2BL__SL500_AA240_.jpg

元ライブドア社長ホリエモンと元2ちゃんねる管理人ひろゆきの12時間に及ぶ対談ログ。格差社会、政治、裁判、メディア、お金、ゴルフ、食事、恋愛、IT、教育、AV、風俗から子飼弾まで、大仕事の役割を終えた二人なだけに、もはや気張らず、何事にもあっさり、しかし、ばっさりと片付けていく。

Web進化論の象徴グーグルだって、こんな風に淡泊に料理されてしまう。

「西村 えぇ。サーバー利用コストが安いから強いっていうだけ。

堀江 それで、オバケサーバーでグレップ(テキストファイルから文字列を検索するプログラムの名称)みたいなことやっているだけ。

西村 まぁ、グーグルは、プロモーションが巧いですけどね。ほら、非営利企業っぽく見せるのが得意ですからね。」

かつて時代を席巻した梅田望夫氏のWeb進化論では、グーグルは超絶テクノロジー企業のように語られていたが、元プログラマの二人からするとグーグルの成功要因は「サーバーを置く土地代が安かったから」「サーバーのオバケを確保できたから」と簡潔に核心を突く。

ひろゆき氏はやる気がない様を装うのが好きであるが、随所で斬新な物の見方を披露するため、過激派であることがときどきバレしてしまう。そういうところが好きだな。

「西村 僕も変わった人は残した方がいいと思っている派なんですよ。極端な話、麻原彰晃って人には何千人という兵隊を作る能力があったわけですよね。あれ戦国武将だったら結構有名になっていたと思うんですよ。今の時代、そこまでカリスマ性を持っていて、人をコントロールできる人物って少ないじゃないですか。やったことは絶対に肯定できないですけど、見方によっては、学べる部分もあると思うんですよ。」

メディア慣れしている二人だけに、長丁場の対談でも基本的にボロは出ないのだが(編集もかかっているだろうし)、恋愛とか人生観みたいなところでは、根底にあるルサンチマンやコンプレクスが見え隠れするのが読み所。

「堀江 俺は自分の経験があるから、そういう隔離するルートを絶対作って欲しいと思うわけ。なんで、つまらない勉強をする田舎の小学校に行かなきゃいけなかったんだ、って思うからさ。」や「西村 教育のそもそもの目的って、上の人たちが命令したことを速やかに実行する部隊を作ることじゃないですか。」。日本の教育や社会の中で規格外の生き辛さを感じているようだ。

本書は全体的に、能力と自信があったが故に獣道を歩いてきた二人が、大衆が通る一般道の在り方を語っているズレも感じる。だが獣道もたくさんの獣が通れば太くなって一般道になるわけで、二人とも政治家になって政策としてやってみたら面白いんじゃないかと思う。政治の風向きも少しずつ変わってきているわけであるし。

・徹底抗戦(堀江貴文著)、本人 vol.09(西村博之特集)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/-vol09.html

・サイバービア ~電脳郊外が"あなた"を変える
51ll6sSejL__SL500_AA240_.jpg

「人間とは終わりのない情報ループを進むメッセンジャーである」というサイバネティクスの視点で、現代のデジタルコミュニケーションの生態系を眺める内容。サイバービア(電脳郊外)という言葉ははじめて聞いた。人々がネットワーク上で長時間を過ごす"巨大な電子情報ループ"を著者はサイバービアと名づけた。ソーシャルネットワークやブログや動画投稿サイト、あるいはセカンドライフのような電脳コミュニケーション空間のことだ。

「サイバービアでは電子的な弱いつながりによって、かつての直接的な関係という強いつながりよりもはるかに素早く情報を世界中に伝えられる。だがどのような情報が伝わるのだろうか?。より強い関係ではもみ消されていたはずの悪い噂も、弱いつながりのネットワークでは簡単に流される。サイバービアでは人々同士の関係が確かに弱く、後述するように、さまざまなつながりが生まれたことによってそれが強くなるわけでもない。むしろその反対だ。より強大になるのはサイバービアそのものである。」

こうした情報ループの囚人して鎖でつながれてしまう危険性も指摘されている。イギリスのユーザーの3人に2人がネットを閲覧しながら「自分は何を探しているのだろう?」と疑問に思っているだとか、4人に1人がネット利用の30%を電子的な空想に耽って過ごすという興味深いデータが挙げられている。インターネットはもはや人間関係ネットワークなので、みんなが何をしているか覗きたくなったり、自分のしていることを見せたくなったり、あるいは仲間の圧力によって一緒に行動をすることになったり、する。

本書の探究の軸には、ノーバート・ウィーナー、スチュアート・ブランド、マーシャル・マクルーハンという3人のサイバネティクス系の思想がある。コミュニケーションによるフィードバック機構が系を制御するのだから、問題はテクノロジーではなく、人間がそれをどう利用するかであるという考え方だ。サイバービアを有益な共創空間にするのも、過激な暴走システムにするのも、そこで行われるコミュニケーションの質にかかっている。
マクルーハンは、人間が道具を作るのではなく、道具が人間を作るという逆転の発想をした。デジタルコミュニケーションのツールは、人間が作ったものだが、それを使った情報ループに慣れ親しむうちに、人間の考え方の方が変わっていく。郵便と電子メール、電話とチャットでは用途も作法も内容も変わっていく。

本書で取り上げられたような

「多重性=複数の出来気が常に同時進行する」
「非線形=物語の進行もなければ最終的な目的もない」
「フィードバック=一部のコンテンツが過剰に注目される」
「ネットワーク効果=ネットワークの力が個人を凌駕する」

といった"非人間的"な性質も、当初はオールドタイプに批判されるが、やがては万人にとって当たり前のものとして常態化する。本書副題の「電脳郊外が"あなた"を変える」が表しているように、住み処はそこに棲む住人の意識を自然に変えてしまうからだ。

・クラウドソーシング―みんなのパワーが世界を動かす
41FvZKvhYSL__SL500_AA240_.jpg

個人的にはクラウドコンピューティングよりクラウドソーシングのほうがずっと凄いと思う。コンピュータネットワークの上に実現されるヒューマンネットワークにこそ、インターネットの可能性があるのだ。世界中で使われていない才能や知識を、ネット上で集約し、活用する。オープンソースやウィキペディアは、そうした社会的生産の先鞭を付けた。世界最大のソフト開発と世界最大の辞典編集はオンラインのコミュニティが行っている。さらに世界には1日に20~60億時間もの潜在的な労働力が眠っているそうだ。あらゆる不可能を可能にできそうなパワーである。

近年のアマチュアのルネサンスは唐突に起きたのではなくて、高等教育を受ける人々が急増したこと、知識分配メカニズムとしてのインターネットの登場、複数の能力を身につけた労働力が専門性の高い労働市場で能力や教養を生かし切れず充実感を得られないでいること、などの現代社会の複合要因の必然的な結果であると著者は分析している。

この本では、群衆の持つ能力や適性を成功例をベースに検討している。ビジネス化という点では、コミュニティとコマースという一見対立するものを、いかに融合させて経済的価値を生み出す仕組みにしていくか、が最大の課題であろう。

そもそもコミュニティに何を任せたらよいのか。クラウドソーシングと単純労働の積み上げである従来の「人海戦術」はまったく異なるものだ。単純作業の割り当てでは、群衆のボランタリな参加を望めない。

「簡潔に答えれば、コミュニティは能力のある人々を見分け、彼らの作ったものを評価することに長けているのである。コミュニティのもつこの作用は、いまや情報経済の核心になりつつある。情報経済での原材料は鉄や鋼などではなく。ベンクラーの言によれば、「人間の創造的な労働」である。」

人間の創造性を生み出すにはモチベーションが必要だ。たとえばあるテーマでサイトに記事を書くことを頼んでもなかなか引き受けてもらえないが、尊敬する誰かと話をする"インタビューウィーク"を仕掛けると、人々は参加して記事が投稿されるようになったなどという事例が紹介されている。

本書では「クラウドソーシングのルール」が10個挙げられている。

1 正しい方式を選ぶ
  1 集団的知性 2 群衆の創造 3 群衆の投票 4 群衆の投資
2 正しい群衆を選ぶ
3 正しい動機を与える
4 早まってリストラしてはいけない
5 ものいわぬ群衆、あるいは慈悲深い独裁者の原則
6 ことを単純にし、小さく分ける
7 スタージョンの法則(90%はカスである)を忘れない
8 スタージョンの法則を逆手にとって、10%の存在を忘れない
9 コミュニティはつねに正しい
10 自分のために群衆に何ができるかではなく、群衆のために自分に何ができるかを問う
見ず知らずの人たちから参加や協力を引き出す方法を熟知したヒューマンネットーク専門のシステムエンジニアが求められているといえる。それはもはや従来のネットワーク技術者の範疇を超える。社会的技術、政治的技術が機械的技術と融合してこそヒューマンネットワークが花開くのだと思う。

この本はハヤカワ新書juice創刊の最初のラインナップ(2冊)のうちの1冊。「知的な渇きを癒す「新鮮で濃厚な」作品をお届けする」がコンセプトだそうだが、新書としてボリュームも内容もよくて大満足。

・パターン、Wiki、XP 時を超えた創造の原則
51eQJgpCXLL__SL500_AA240_.jpg

一緒に集合知プロジェクトの仕事をした江渡さんの新刊『パターン、Wiki、XP 時を超えた創造の原則』を読んだ。名著『ゲーデル、エッシャー、バッハ』の如く、シンプルな着眼点で異な物を結びつけ、普遍の道理に導く手際に感動した。

建築家のクリストファー・アレグザンダーが1960年代に考え出した思想が、形を変えて現代のソフトウェア開発手法や、Wikipediaで花開いたWiki型の共創コミュニティに受け継がれてきていることを解明した本である。

アレグザンダーは都市計画によって作られた「人工都市」と、長い時間をかけて生成された「自然都市」を区別した。人工都市はどこかよそよそしく、自然都市は落ち着いた感じがある。ひと言で言い表すことができないけれど、自然都市にはある種の美しさ、「無名の質」とでも呼べるような価値が備わっていることに注目したのだ。

そしてアレグザンダーは、住みやすい自然都市に無名の質を生み出しているのは、繰り返し現れる構造=パターンであることを指摘する。たとえば建物の入り口に何らかの場面転換部を置く「入り口での転換」、建物外縁部のひさし付きの道「アーケード」、大きな共用部屋の周囲にぽこっと奥まった小さな落ち着く部屋「アルコーブ」など。うまくいくパターンを集めると、住みやすい建築や町ができあがることに気がついた。最終的にアレグザンダーは232個のパターンを集めて解説書「パタン・ランゲージ」を発表している。

パターンは、一つまたはいくつかの機能要求に対応した部品とは異なる。機能部品を積み上げて作るのはゼネコン流の計画都市のやり方だ。要求に単純に対応する部品には、同時にいくつもの住民の要求を満たすパターンの柔軟さがない。だから「都市はツリーではない」のです。木構造に還元できないのだ。

「アレクサンダーは、人工都市がツリー構造になってしまう原因は、人間の認識能力の限界にあるとしました。人工都市は少数の建築家が全体を設計するため、複雑に絡み合った条件を必然的に少数の要素に還元して考えます。つまり要素間の関係性は半ば必然的にツリー構造に還元されてしまいます。それに対して長い年月を経てできあがる自然都市は、そのようなツリー構造を持ちません。1つの場所が複数の役割を同時に担うセミラティス構造を持っています。」

そしてアレグザンダーは、利用者と建築家の共通言語として「パタン・ランゲージ」を作った。少数の建築家による壮大な設計図から作るのではなく、住民とのインタラクションによって常にパターンを組み替えていく、生きた建築の原理を提唱した。

アレグザンダーの「時を超えた創造の原則」の原型は次の6つの原理である。


1 有機的秩序の原理
計画や施工は全体を個別的な行為から徐々に生み出していくようなプロセスによって導かれること

2 参加の原理
建設内容や建設方法に関するすべての決定は利用者の手に委ねること

3 漸進的成長の原理
各予算年度に企画される建設は、小規模なプロジェクトに特に重点を置くこと。

4 パターンの原理
すべての設計と建設は、正式に採択されたパターンと呼ばれる計画原理の集合によって指導されること。

5 診断の原理
コミュニティ全体の健康状態は、コミュニティの変遷のどの時点でも、どのスペースが生かされ、どのスペースが生かされていないか、を詳しく説明する定期的な診断に基づいて保護されること。

6 調整の原理
最後に、全体における有機的秩序の緩やかな生成は、利用者の推進する個々のプロジェクトの流れに制御を施す財政的処置によって確実なものとされること。

第二部では現代のソフトウェアの開発プロセスXP(エクストリームプログラミング)とパタン・ランゲージの共通点が指摘されている。ハードの建築でもソフトの開発でも普遍的な秘訣がみつかる。

XPとは、瞬時のフィードバック、シンプルの採用、インクリメンタルな変更、変化を取り入れる、質の高い作業を重視する行動指針だ。うまくいくパターン集なわけである。
XPと似た手法のアジャイルマニフェストは(説明としてわかりやすいので例として)

・プロセスやツールよりも、人と人との交流を
・包括的なドキュメントよりも、動作するソフトウェアを
・契約上の交渉よりも、顧客との協議を
・計画に従うことよりも、変化に適応することを

というような原理を重視して進めるソフトウェアの先端的な開発技法である。アレグザンダーとどこか似ている。そしてXPもまた新たな社会構造を作るという野心を秘めている。

第三部ではWikipediaのベースになった知のコラボレーションシステムWikiの誕生から現在に至るまでの歴史解説。ウォード・カニンガムによるWikiの設計思想もアレグザンダーの思想の直系子孫なのだ。インターネットの世界に開かれた創造の原理が拓く未来を江渡さんは展望していく。

「Wikiは、誰もが自由に、ほかの人の記述も含めてどこでも書き換えられます。それが非常にラジカルで、すごいことなのですが、その代わりにそのような環境を維持するためには非常に大きな努力が求められます。議論を通じて合意や共通理解に到達することに価値を認め、おのおのが実践していくという文化を作り上げることが、Wikiにとっては非常に重要なのです。」

実際の建築家としてのアレグザンダーは、その優れた創造原理を十分に実践することはできなかった。現実の建築の仕事には多くの制約があったからだ。しかし、インターネット上の人々の住処=仮想コミュニティのソフト設計は、まさに創造原理が究極の形で発現しうる場なのだろうと思う。そこでは、利用者と建築家が常時パタンランゲージのやりとりを行いながら次代の形態を模索していくことが可能だからである。

そうした未来の生成プロセスへの予感で本書は閉じられる。これまでもやもやとしていたネット集合知の原理解明に、視点、突破口ができたぞ、という読後感。

・マーケティングとPRの実践ネット戦略
51ESNYQ6VVL__SL500_AA240_.jpg

インターネットやソーシャルネットワークの発達によって、今、企業と消費者を結ぶメディアリレーションの法則が大きく変化しようとしている。ネットで成功するマーケティングPRの方法論を語る米国ロングセラーの邦訳。ネットPR会社の老舗ニューズ・ツーユー社平田大治氏(元"ブログ神")翻訳、ネットPRの国内第一人者 神原弥奈子社長が監修。

「何百万人もの人がメディアを通さずに直接プレスリリースを読んでいる。もはや人々に直接話しかけなくてはならない。」。

これはネット企業の経営者兼ブロガーとして同感だ。今時はプレスリリースを出す目的はメディア記者の目にリーチすることだけではない。出せば検索に引っかかるから一般読者も読んでくれるのだ。SEO対策にもなる。ブロガーも記事に引用しやすくなる。

だからプレスリリースは記者以外も想定して書くべきである。業界記者のマニアックなツボを突く必要はないし、業界では常識の専門用語で埋め尽くしてもいけないのだ。ニューズ・ツーユー社では、マスコミに向けて発信するのが「プレスリリース」、インターネット上のマスコミも含めたステークホルダーに対して直接発信するのがニュースリリースと区別しているという。

テクノロジーマーケティングでは"ゴブルディグークを使うな"という警句にも感心した。ゴブルディグークとは「次世代」「最先端」「フレキシブル」「堅牢な」「ワールドクラス」「スケーラブル」「使いやすい」「重点計画」「マーケットリーディング」「業界標準」「革新的」「ユーザーフレンドリー」。こういう言葉はなくても通じる、いや、ないほうが通じるものだ。こうしたメディアやブロガーへの有効なアプローチ方法が、海外でのエピソードを交えて紹介されている。

記者との関係性についてはこんな記述があった。

「売り込む前に、相手の書いた物を読もう」
「一人の記者に絞る」
「記者がブログを持っていたら、それを読んで、コメントを残し、トラックバックしよう」

個人的な話になるが、私は先日ある企業から「情報力」というテーマで講演を頼まれた。パソコンやネットを「外部脳」として徹底活用しましょうという内容で、結構ウケた。後日個人ブログに会社で聴いた話がおもしろかったと書いてくれた人もいた。

講演が終わってから、私を呼んでくれた担当者とランチをしたのだが、彼は私のブログをちゃんと読んでくれていた。さすがだ。的確なコメントをされるので私はとても楽しかった。ただ私は楽しかったのだが、担当者氏はなにか物足りない表情をしている。

帰ってから謎が解けることになる。なんと彼は以前より「外部脳」をタイトルにしたブログを書いていたのだ。す、すいませーん。私は事前にそれを把握しておいて講演でもランチでの会話でも、そこをもっと話題にすべきだったのである。大反省だ。

まさに関係者総ブロガー時代の到来である。

もう油断がならない。

取材を受ける人ではなくて、取材をする記者がブログを書いている場合がある。ちゃんと取材してもらうには、お互いがブロガーである可能性を意識し、両者がお互いのブログを読んでおくべきなのだ。インタビューはInterーViewと書く、互いをちゃんとみることだなんていうが、インタビュー成功の秘訣は互いのブログを読んだ状態で始めることだと思う。本当に。

さて話が変わるが...。

この本の出版のきっかけになったのはニューズツーユー社の取締役の石谷さんだそうだ。石谷さんは著名なブロガーであるが、ブロガーにインタビューしてまわる名物企画の「連載いしたにまさきのブロガーウォッチング」を連載している。

このたびめでたく私がインタビューを受けることになった。

・連載いしたにまさきのブロガーウォッチング
ブログは1000記事を超えると何かが変わる/橋本大也さんのブログ論(第11回)
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2009/03/25/5187
bloggerwatching_title.jpg

この取材は互いのブログを熟読した上で臨んだまさにInterーViewセッションになった。出来はどうでしょう。読んでね、みなさん。宣伝オチ。

・Web担当者 現場のノウハウ SEOスペシャル 2009 冬号
51IuSQuKXmL__SL500_AA240_.jpg

今年はインプレスのWeb担当者Forum忘年会に参加してきた。私はこの編集部に雑誌「Web担当者 現場のノウハウ」創刊時から連載ライターとして参加している。会では長年のおつきあいのあるマクニカの鈴木さん(Webマーケティングの専門家)とツーショット。ネット業界の古株勢揃いみたいなイベントだった。久しぶりにこういう場所に行くと自分にとっての古巣な気がして安心する。

・Web担忘年会へのご参加ありがとうございました
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/12/15/4668

この編集部が久々にムックとして発売した最新刊がこの「Web担当者 現場のノウハウ SEOスペシャル 2009 冬号」である。日米のSEOプロ60名以上が評価するYahoo!とGoogleで上位表示するための57個の要因が大変に役立つ。アクセス解析ツールの選び方&19製品徹底比較というのも勉強になる。

なお私はWeb担当者ForumのWebサイトで2年以上「橋本大也の帰ってきた"アクセス向上委員会」という連載をしている。Webマーケティングがテーマで今年は4本書いたのでここで紹介させていただく。

・#012 ~ソーシャルネットワーク第3勢力の逆襲
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/12/26/4528

PCならmixi、携帯ならモバゲータウン、アバターならGREE。ソーシャルネットワークサービス(SNS)の覇権争いは終わっていたかと思いきや、ソーシャルネットワークの世界では第3勢力の逆襲が始まっている。この1年間で急速にユーザー数を伸ばした新手のSNSがいくつもあるのだ。

・#011 ~健全なポップアップツールで行動履歴分析
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/05/22/3103

今回は、ユーザー行動に反応して役立つ情報をオンデマンドに表示するポップアップアプリを紹介する。これらのアプリは、ユーザーからみると単なる便利ツールだが、サイト側からみるとアクセス向上ツールでもある。ブラウザ上でのアテンション獲得競争は熾烈だが、背後のデスクトップは、まだ未開拓の領域だと思う。

・#010 ~昭和30年代を代表に年代セグメントが再燃
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/04/02/2842

年代別にインターネットユーザーをターゲティングする考え方は、近年再び注目されている。インターネットの普及に伴って各年代層の利用者分母がそろってきたことや、ユーザーデータからプロファイルを分析する技術が発達してきたことなどが背景にある。

・#009 ~「診断系」のツボ
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/01/23/2509

「診断系」というのが、今年もいけると思うのである。診断系というのは私の勝手な呼び方だが、2006年に流行した「成分解析」、2007年に流行した「脳内メーカー」のように、自分に関するデータをほんの少し入れると、個別の診断結果が返ってくるようなサービスである。

・SNSの研究 あなたはまだ「マイミク」のことが好き?
51y2BxaTU0HL__AA240_.jpg

ソーシャルネットワークの研究本。

佐々木 俊尚 (著), 原田 和英 (著), 保田 隆明 (著), 齊藤 和生 (著), 田口 和裕 (著), 平山亜佐子 (著), 「シナトラ千代子」管理人 (著), 松永 英明 (著), 園田 道夫 (著), 寺本 秀雄 (著), SE編集部 (編集) とたくさんのライターが参加して執筆している。

一般論として、執筆者多数で書いたIT本というのは、文章の寄せ集めになりがちで、面白くないものが多いのだが、この本は、違った。寄せ集め本ではあるのだが、それによって、妙なインパクトが出ている。

前半と後半でまるっきり違う本だとも言えそうなのだが。

前半の目次はこんな感じで

「Part 1:SNSはどこへ向かうか
・ソーシャルネットワーキングはネットとリアルの関係を変えていく/佐々木俊尚
・Singing new songs「新しい歌」/寺本秀雄
Part 2:ソーシャルメディアの可能性
・世界のSNSは多彩で充実している/原田和英
・意外とクチコミに向かないSNSで上手くマーケティングする方法/保田隆明
・モバゲータウンのDNA リアルとヴァーチャルを揺れ動くケータイSNSの世界/畑村匡章(株式会社ディー・エヌ・エー)
・Twitter・Vox・Tumblr・コトノハ ミクシィに疲れたアナタにおすすめ ユル~いソーシャルメディアたち/齊藤和生
・Singing new songs「ビヨンド・ザ・タイム」/寺本秀雄」

前半は、ジャーナリスティックに、データに基づいて、真面目なSNS研究の内容が多かった。評論家たちがSNSの世界の見取り図を客観的に描いてくれている。普通に役立つ情報である。

ところが、後半でライター達が暴走する。

「Part 3:素晴らしき「マイミク」の世界
極私的mixiクロニクル 僕と誰かとミクシィで/田口和裕
古屋兎丸さんが二十年前の記憶を漫画に昇華させるためにソーシャルネットワーキングがどんな役割を果たしたのか? またはサブカル部部室としてのmixi
・コミュニティ管理人は指四本で殺れる/平山亜佐子
・ミクシィ疲れの傾向とその対策 SNSはルールのない荒野だった/「シナトラ千代子」管理人
・Singing new songs「アイネ・クライネ・ナハトミクシィ」/寺本秀雄

Part 4:本当は危険なSNS
・コミュニティ乗っ取り事件 SNS=性善性な巨大社会における異文化衝突の顛末/松永英明
・ミクシィの危うさ SNSは個人情報の宝の山だ/園田道夫
・Singing new songs「妖怪スパムメエラ」/寺本秀雄

もうタイトルからして大暴走である。日経BPの編集者だったら止めただろうが、止めないのが翔泳社の良いところ。私が高く評価するのは当然、圧倒的に後半である。サブカルチャーとしてのSNSの良い面も悪い面も、高いところにいる評論家としてではなく、どっぷり中の人になったライター達が、現状を語る。

前半は一般人向け、後半はマニア向けで両方を楽しめるお得な一冊になっているなあと思う。