中年童貞 ―少子化時代の恋愛格差―

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・中年童貞 ―少子化時代の恋愛格差―
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著者は「全国童貞連合」会長。連合のサイトで顔出ししている、おそらく日本一有名な童貞男、渡部伸、執筆時34歳。「少子化問題は童貞問題である」という問題意識の本。童貞についての人口統計、切実な自身の体験談、連合会員の童貞たちの様々な考え方、フェルディナント・ヤマグチ、室井佑月らとの座談会など、もりだくさんの内容。

・全国童貞連合
http://www.cherrybb.jp/

日本家族計画協会の調べによると、25〜29歳の17.1%、30〜34歳の6.3%、35〜39歳の5.1%、40〜44歳の7.9%は「セックス経験がない」そうである。”無回答”も経験がないと考えると、40〜44歳の1割強が童貞だと予測できると著者は分析している。

こんな調査も紹介されていた。

・国立社会保障・人口問題研究所 結婚と出産に関する全国調査
http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou13_s/Nfs13doukou_s.pdf
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処女を見てみると、18歳〜19歳の、「性体験のない女性」は1987年の81.0%から、2005年には62.5%に減少しており、「高校を卒業するころには、10人に4人はセックスをしている」そうである。処女率はこの15年で、20〜24歳で64.4%→36.3%、25〜29歳で53.6%→25.1%に急激に下がっているらしい。(20代後半で4分の1が処女というこの数字は妙に高い気がするが。)

著者は、さらに各種調査データを引用して、モテる男とモテない男の二極化が進み、モテる男が女性を独占しているという現実があるのだと結論している。この恋愛格差の拡大によって、モテないものは一層モテなくなる。そうした弱者が40代で1割もいる状況はマズいのじゃないか、改善しよう、声をあげようというのが著者の意見である。

童貞連合会員の、他の中年童貞たちの意見は、必ずしも著者と同じではなく、中には恋愛は無理と諦めている保守派や、性欲をなくそうと女性ホルモンを使った解脱派もいる。生々しい意見が飛び交い、現代の中年童貞の実態が浮かび上がってくる。

うーん。

童貞連合を企画し書籍に意見をまとめられる著者は十分に魅力的で、モテておかしくないと私は思うし、好きで童貞を続けている面があるように感じた。だからこの本の主張は、どう受け止めるべきなのか、よくわからない。これって本当に一般的で深刻な社会問題なのだろうか?。ネタなのだろうか。なんにせよ、やっぱり個人の問題でしかない気がするのだが。

文章は読みやすく、面白くて本としてかなり面白い新書である。最近はこういう映画も話題になったが、中年童貞って世界的に流行なのだろうか。歴史的にみると童貞=硬派=カコイイ時代もあったわけで、童貞や処女というのはいつの時代も注目される稀少性なのだよなあ。

・40歳の童貞男
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このページは、daiyaが2007年7月 4日 23:59に書いたブログ記事です。

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