二千日回峰行 新装改訂版―大阿闍梨酒井雄哉の世界

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・二千日回峰行 新装改訂版―大阿闍梨酒井雄哉の世界
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迫力のある写真集。

比叡山の千日回峰行は、比叡の山を毎日30キロから40キロ巡って礼拝する行である。期間は延べ1000日(7年間)に渡る。回峰700日目では9日間の断食、断眠、不臥で祈り続ける「堂入り」という医学的には生存が危うい難行もある。晴れて千日回峰を達成した行者は「大阿闍梨」と呼ばれ、生き仏として崇められる。

千日回峰行には厳しい掟がある。もしも途中で修行が続けられなくなったら死なねばならない。そのために行者は短刀を持ち歩いている。7年間の間に怪我や病気で歩けなくなったらそれを使って自害する覚悟なのである。

酒井雄哉大阿闍梨は、驚くべきことに昭和の終わりに連続2回もこの千日回峰行を達成している。千日回峰はこの400年間で46人が満行しているが、二千日満行はたったの3人しかいないのである。

この本は千日回峰中の大阿闍梨を数年間に渡って撮影した写真集。

「昔流の言葉で言えば、行はわしの人生の最後の砦だからね。勉強してもだめ。仕事やってもだめ。何をやっても人間失格で、最後にたどりついたのが、お山での行だから。その砦を守れるかどうかは、自分が捨て身になって、全力投球しなくちゃならんということやね。」

大阿闍梨の言葉や千日回峰行の解説もあるが、いくら読んでも言葉だけでは理解できない部分がある。なぜ死を覚悟で厳しい修行に臨むのか。日々何を思いながら続けていたのか。独り山を歩き、仏に祈る大阿闍梨の写真は、それを理屈でなくわかったような気にさせてくれる迫力がある。

・酒井雄哉のホームページ
http://www.sakai-yusai.com/

そして公式ホームページがあるというのもすごい。

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このページは、daiyaが2007年11月19日 23:59に書いたブログ記事です。

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