ないもの、あります

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・ないもの、あります
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堪忍袋の緒、舌鼓、左うちわ、相槌、思う壺、助け舟など、現実には存在しないけれど、日本語のことばのやりとりには頻繁に登場する「ないもの」のカタログ。架空の商店クラフト・エヴィング商会の店主がすべて書いていることになっている。各商品についてのウィットに富んだ説明文と、いかにもそれっぽいかんじのイラストの組み合わせが愉快。

たとえば「自分を上げる棚」のページにはこんな解説がある。

「ある程度の大人になりましたら、御自分の棚の規模を把握しておきませんと、調子に乗って、どんどん自分を上げてしまい、収拾つかなくなることがあるのです。なにより、棚は、貴方が想像しているほど大きくありません。のみならず、そんなにも次から次へと自分を棚に上げてしまったら、棚に上げている自分が、どんどん減少していき、最後には、自分のすべてが棚に上がってしまって、棚の下には何も残らなくなってしまいます。」

この本に出てくるモノを片っ端から画像検索したり楽天で商品検索にかけてみるという楽しみ方も発見した。売っているものも見つかる。たとえば左うちわは1500円だ。

巻末には赤瀬川源平が書き下ろしエッセイを寄せている。いいナンセンス本をつくるには相当のセンスが要ると思うのだが、この本はハイセンスで面白かった。

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このページは、daiyaが2008年3月19日 23:59に書いたブログ記事です。

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