ビジネス書大賞 Biz-Tai 2010

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・ビジネス書大賞 Biz-Tai 2010
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<70名の選考委員+500名以上の読者投票で選ばれたビジネス書ランキングの決定版>

私も選考委員の一人として参加させていただいビジネス書大賞の結果が本になった。

「ビジネスパースンにとって学びや気づきがある本」ならなんでもノミネートできるので経営やスキルアップ本以外からも、おもしろい本がリストアップされた。そのすべてと約350本の推薦文とともにこの本に収録されている。(私の著書『情報力』も二人に推薦していただいたようで、感謝感激です。)。

・ビジネス書大賞 Biz-Tai 2010
http://biztai.jp/

ランキングだけならウェブで確認できるが、本書は収録されたインタビューが楽しい。1位の『ブラック・スワン』の翻訳者のインタビューが、インタビュアーに対してかなり斜めに応えていて、受賞インタヴューと思えぬ毒舌ぶりでかなり笑える。読者賞を受賞した勝間和代の「... 5歳、10歳年上の同じ職場の先輩のことだけを聴いていると、かえって間違うことが多い」から自分で考えるための材料としてビジネス書は重要という推薦も独特だなあ。

で、本書にも掲載されているが、私の推薦作品は以下の5冊。選考委員の数が多いので、他の委員とかぶらない本を挙げたつもりだったが、結構かぶっていた。さすが本好き集団。実は私、5冊の推薦文全部に"歌謡曲"を入れるという工夫をしていたのだが、紙ではバラバラに掲載されたため気がついた人はいないだろう...。

なので、ここに再掲載させてもらう。

■デジタルネイティブが世界を変える
ドン・タプスコット (著), 栗原 潔 (翻訳) 出版社: 翔泳社 (2009/5/14)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/12/post-1138.html

ボブ・ディランの名曲に「The Times They Are A-Changin'(時代は変わる)」という歌があった。子供の世代が古い価値観の親の世代に交代を迫る社会派の歌詞は時代は変われど普遍的なものだ。21世紀初頭の社会のChangin'とは、PCやネットを自在に使いこなす"デジタルネイティブ"と、旧世代の"デジタルイミグラント"の交代劇である。ネイティブ層1万人へのインタビューをもとに、8つのキーワードが浮かび上がる。次世代の行動原理を知らずに未来を考えることはできない。

■脱「でぶスモーカー」の仕事術
デービッド メイスター (著), 紺野 登 (監修), 加賀山 卓朗 (翻訳) 出版社: 日本経済新聞出版社 (2009/9/11)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/09/post-1079.html

肥満も喫煙も"わかっちゃいるけどやめられない"からずるずる続く。会社組織だって「スーダラ節」なのは一緒で、短期的誘惑や満足感に負けてためになるとわかっていることをしないから、利益が出ないのだ。プロフェッショナル組織のリーダーシップ論の世界的権威である著者が、プロ意識を持つ集団において互いに意欲や決意を引き出す方法論を語る。「人に弱みを認めさせ、改善させるのに最悪の方法は、その人を批判することである。」北風でなく太陽のアプローチ。著者は組織の空気を創造的に入れ替える天才である。

■人を幸せにする話し方―仕事と人生を感動に変える言葉の魔法
出版社: 実業之日本社 (2009/4/10) 平野 秀典
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/09/post-1070.html

講演や授業が生業の一部になっている人は、話術の最低限のテクニックは身につけているものだ。だが、聴衆と、どのような関係性をつくるべきかという点で根本を誤っているケースは結構多いなと思う。壇上のスピーチや日常の会話で、聴く人を幸せにする話術とはなにか?。それは美空ひばりの「愛燦々」の歌詞の如く「人生て
うれしいものですね」としみじみさせるような言葉だ。共感を抱かせ、心の琴線を震わせるための心構え。情報の伝達と心理操作を主としたMBA的な話術とは対極にあるものだ。

■グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略
出版社: 翔泳社 (2008/11/18) シャーリーン・リー (著), ジョシュ・バーノフ (著), 伊東 奈美子 (翻訳)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/post-875.html

インターネットコミュニティの大きなうねり(グランズウェル)を、どう企業戦略に活かすことができるのか。フォレスターリサーチの二人のアナリストが大規模な企業実態調査の結果から抽出した戦略論は、現代の経営者、新規事業関係者、必読である。著者はコミュニティに対するコミット度合によって、人々を創造者、批評者、収集者、加入者、観察者、不参加者と7段階に分類している。そのレベルを引き上げることに成功したグローバル企業の発想の転換ケースがどれも見事だ。現代は"Power
To The People"な時代だが、さらに"to the company"を続ける企業が勝ちなのだ。

■落語論
出版社: 講談社 (2009/7/17)
堀井憲一郎 (著)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/08/post-1050.html

落語家の自己の面子にかけて、今この場をとにかくどうにかするんだという気迫。紅白の大トリで北の漁場を歌う北島三郎の如く。ビジネスの会議やプレゼンの場でも、そういう姿勢は本当に重要だと思う。ポジション、能力にかかわらず、一緒に仕事をしたいと思う人はそういう人だ。往々にしてその手の人はポジションも能力も既に高いし、それは才能でもあるのだが...。これは落語分析の本なのだが、著者の深い洞察によって明らかにされる場の演出、ライヴの極意は、ビジネスシーンでも活用できそうだ。

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このページは、daiyaが2010年2月28日 23:59に書いたブログ記事です。

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