情報楽園会社 TSUTAYAの創業とディレクTVの失敗から学んだこと

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『情報楽園会社 TSUTAYAの創業とディレクTVの起業』(徳間書店刊・1996年)に加筆して復刊。カルチュア・コンビニエンス・クラブ社長の増田宗昭氏が語るCCC成功の原点。14年前の本であるが、現代のネットビジネス文脈でも活かせる知恵が書かれている。

前半のTSUTAYA創業の回想録では、増田社長がドキドキしながら、一店舗目を開業した思い出を語る。当時の小さな店舗の写真や、手書きの企画書が、千里の道も一歩からだったのだなあと思わせる。

当時、自分が何を考えていたかが語られる。増田流はとにかくわかりやすい。たとえばコア事業のレンタルビジネスの説明。

「レンタル業とは、一言でいってしまえば金融業である。八百円で仕入れたCDが、レンタル料金百五十円を生む。このレンタル料金百五十円の実態は、金利に他ならない。なぜならお客さんに貸し出されたCDそのものは、翌日に返却され、また次の人に貸し出されて、店の手元に一日分の利子としての百五十円が残る仕組みだからである。お客さんが払う百五十円は、利率になおすと二十%弱になる。しかもこれは一日である。銀行はおよそ年間四パーセントの金利だから、レンタル業のコストと収入の関係は一日で銀行の五倍、年間にして銀行の千八百倍くらいになる。」

だから、CCCは急成長したのか、と納得。そしてビジネスモデルもさることながら、増田社長の企画力重視の姿勢が印象的だ。マルチメディア時代に生き残れるのは、もはや企画会社だけであるとして、その組織の条件を3つ挙げている。

1 情報の共有化
2 個人のプログラムの強化
3 インセンティブシステムの導入

優秀な企画は個人の発想からしか生まれない、と断言する。もちろん自身がその筆頭なのだろう。組織よりも個人を重視して、社員一人一人を独立した経営者としてみなし、それをサポートするのが会社なのだという。

復刊にあたって、「2010年、新しい「楽園」づくり」という章が追加されている。おもにディレクTVの失敗で学んだことの総括である。天才経営者は一度の失敗から、より多くを学ぶのだなあ。

CCC、TSUTAYAに興味がある人は読むとよさそう。

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このページは、daiyaが2010年8月 3日 23:59に書いたブログ記事です。

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