ミドルの対話型勉強法―組織を育て、自分を伸ばす

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・ミドルの対話型勉強法―組織を育て、自分を伸ばす
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日産で人事を長年担当し、外資系大手PR会社の役員となり、経営大学院教授として場のマネジメント論を教える徳岡晃一郎氏の最新刊。冒頭で"サラリーマン・マトリクス"が示される。自律か他律かというビジョナリー軸と、外界探求か自己限定かのドメイン軸で、組織内の人間を「共創リーダー」「タスクファイター」「待ち受けくん」「博士くん」の4つのタイプに分類する。核となるのは自律×外界探求の共創リーダーだが、重要なのはすべてのタイプが力を合わせてそれぞれの持ち味を発揮することで組織の成果を高めること。

タイプは違えど仕事ができるミドルには対話が必要なのだ。

本書は部長・課長向けに、ミドル間や部下との対話を通じて

1 個人の力を計画的に高める「自分のマネジメント」
2 多様なメンバーをつなげる「場のマネジメント」

という二つの目的を達成する方法を示す。

実践的に自分自身と職場を同時に活性化するSECI対話セッション・プログラム(SDS)を提案している。SECIとは一橋大学名誉教授の野中郁次郎教授が提唱した暗黙知と形式知の相互作用を核とした創造プロセスのこと。多忙なミドル同士が腹を割って、自分たちの役割ややるべきことを、徹底的に話し合うことで、豊かな経験を深いレベルで共有させる全10回のプログラムだ。

各回90分は4つのフェーズ(リフレクション、ダイアローグ、ディープダイブ、ラップアップ)で勧められる。各回のテーマ、実践例、対話例が多数紹介されている。実践的なので、ミドルの研修を企画する立場の人に特におすすめだ。

自分スタイルを磨く具体的勉強法「書評ライティング」という面白い方法論も提唱されている。本を読んだら、「自分の問題意識」、「著者の主張の特徴・学べる点」、「自分の問題を考えるヒントとしてどう活かせるか」、といった要素を1000字程度の書評にまとめる。自分自身の知識の定着につながるだけでなく、ミドル同士の対話のコミュニケーションに書評を使うことで知識の共有や深化にもつなげられる。

・MBB:「思い」のマネジメント ―知識創造経営の実践フレームワーク
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/07/post-1250.html

・世界の知で創る―日産のグローバル共創戦略
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/06/post-1003.html

・人事異動
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/post-947.html
徳岡 晃一郎氏の著書。


ところで、著者の徳岡先生と私は多摩大学知識リーダーシップ綜合研究所を一緒に運営しています。知識創造型の企業を、「人材マネジメント」と「リーダーシップ開発」に焦点を当てて研究する機関です。セミナーや研修も請け負っています。お問い合わせ下さい。
・多摩大学知識リーダーシップ綜合研究所
http://www.ikls.org/

そして現在、本書の内容とも関連して、

・現役マネジャー
・次世代リーダー候補
・人事・教育担当者

向けのスペシャル研修プログラム

・MBBスキルプログラム
http://www.ikls.org/archives/239

を2011年2月26日に企画して、現在参加者を募集しております。

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このページは、daiyaが2010年12月19日 23:59に書いたブログ記事です。

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