希望のつくり方

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・希望のつくり方
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「希望学」の提唱者で東大社会科学研究所教授 玄田有史氏の近刊。

「希望は「気持ち」「何か」「実現」「行動」の四本の柱から成り立っている。希望がみつからないとき、四本の柱のうち、どれが欠けているのかを探す。」

希望学では希望を、
   「行動によって何かを実現しようという気持ち」
   Hope is a Wish for Something to Come True by Action.
と定義している。

幸福は継続を求めるが、希望とは変化を求めるものだ。過去数十年のニュースにおいて「希望」と一緒にでてくる言葉のトップは「水俣」(病)だったそうだ。苦しい現実、過酷な状況を良い方向に変えたいと願う気持ちが、希望には宿っている。

日本の大人の3分の1は希望がない、もしくは諦めているというデータがあるそうだが、逆に考えると多くの人は希望を持っている。その中身を知るべくアンケートをとると、家族・健康・遊びよりも、仕事にまつわる希望(66.3%)が一番多いのだそうだ。希望格差社会という言葉があるが、現代において希望が持てない若者が増えたのも、不況で安定した雇用につけないことに大きな原因があるのは間違いない。

収入と希望は年収三百万円以上では相関しないとか、やりたいことを目指していたけど途中で変化した人の満足度が高いとか、仕事と希望についての真実がいくつも明かされる。「いつも会うわけではないけれど、ゆるやかな信頼でつながった仲間(ウィーク・タイズ)が、自分の知らなかったヒントをもたらす。」というソーシャルグラフの大切さも強調されている。

著者によると希望を構成する3大要素は「可能性」、「関係性」、「物語性」。物語性というのは、自分の人生の物語を意識している人は、紆余曲折も無駄な努力も糧と出来るので強いということ。挫折を乗り越えた人のほうがそうでない人よりも、希望を持っている割合が高いというデータで裏付けされている。失恋経験が乏しい20代男性は恋愛や結婚をあきらめやすいなんて話も。

著者が講演で中学生、高校生たちに話したアドバイスが印象的だった。頑張って壁を乗り越えなさいなんて言わない、壁は乗り越えられないから壁なのだと前置きしたあとで、

「大きな壁にぶつかったときに、大切なことはただ一つ。壁の前でちゃんとウロウロしていること。ちゃんとウロウロしていれば、だいたい大丈夫」

希望とは模索そのもの。努力してみる、やりながら考えること、そのプロセスに希望が宿るのであり、無駄な努力と諦めるところには希望はないという。

ネットエイジの西川社長らが「希望」という名の救援・復興支援プロジェクトを始めた。私もまずは「いいね!」を押して参加することにした。実は西川さんがこの本に影響を受けたというFacebookの書き込みをみて、私はこの本を読んだのだ。

希望学から生まれた希望という名のプロジェクト、みなさんも参加しませんか。

震災地の救援・復興支援「Project KIBOW」を発足。世界との架け橋に
http://www.venturenow.jp/news/2011/03/18/1848_010380.html

・Project Kibow
http://www.facebook.com/kibow.jp
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このページは、daiyaが2011年3月23日 23:59に書いたブログ記事です。

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