ポトスライムの舟

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・ポトスライムの舟
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・退職理由のホンネランキング
http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/01/honne/honne1.html

リクナビが退職理由のホンネをアンケート調査したところ第1位は上司との人間関係。

労働の内容が嫌で悩む人よりも、職場の人間関係が嫌で悩む人の方がずっと多いと思う。仕事はある程度選べるけれども、上司や同僚は選べないからだ。職場の関係が楽しければ、自然と仕事を覚えるし、周囲に支えられて才能だって開花させやすくなる。

特定の職業にこだわって絶対俺は大工になるんだとか、私はアナウンサーになるのよというプロ志向の人間は、多少は厳しい人間関係でも耐えられる。だが、それが漠然とした多くの新入社員にとっては、最初の上司や同僚との関係性は"すべて"といっていいくらい大きい。

そう考えると「職業教育」が取り組むべきは、

1 コミュニケーション能力や処世術を身につけること
2 特定の職業へのこだわりをインストールすること

の2点に重点を置くのが就職率、定着率を高める上で効果的ということになるだろうか。それで今の大学では「社会人基礎力」と称して1を強化する教育が増やされているわけだが、本当に必要なのは2の方なのではないかと観察していて思うのだ。

彼らは空気を読む世代だからコミュニケーション能力はもともとある程度備えている。空気を読めるグループ内では、お互いの要求レベルが高くなる。空気が読めない集団の中で空気が読めれば、「よく気の利く人」「優しいいい人」にもなれようが、優しい人間関係指向の集団で、そうした有利なポジションをとれるのは、高度に洗練された資質を持つ一部の人ということになってしまう。一部のメンバーを排斥することでコア集団は安定を保つというのも真理だと思うし、人間関係の悩みは悩みだしたらきりがない。

一般的に古い職種には憧れのロールモデルがあり、試練とそれを乗り越えた栄光への長期のキャリアパスが見えやすく、職業への特別なこだわりが形成されやすい。だが古いだけあって、そろそろ斜陽が多い。一方で勃興している新しい職種では、こだわりがなかなか芽生えにくい。10年前、20年前にはなかったわけだから。何が何でもWebマーケッターになるぞとか、石にかじりついてもiPhoneプログラマになるんだというマインドはまだ育つ土壌が用意されていない。

現代の若者の働き方がテーマで芥川賞受賞作のこの本の主人公には、やっぱり職業へのこだわりがない。1より2だと思うんだよなあ。

ちなみにポトスライムというのはこれ。地味な観葉植物。

・ポトスライム6寸吊
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このページは、daiyaが2011年6月12日 23:59に書いたブログ記事です。

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