にげまどうし みんなみんな、にげたがり

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・にげまどうし みんなみんな、にげたがり
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この作家は、連載打ち切りになってしまった前作『必要とされなかった話』がつぼみだったとすれば、本作でついに花開いたと思う。世界観はよかったのに尻切れトンボに終わった前回と比べて、本作はテーマを語りきっており、文句なく面白い。

「世の中には、居場所を増やし続ける旅人と居場所を失い続ける旅人の二種類の旅人がいます。」。異界から現れる「にげまどうし」が案内するのは、居場所をみつける旅ではなく、永遠に居場所をうしない続ける旅だ。

なにをしてもうまくいかない日常から逃げたい青年、暴力的な家庭から逃げたい少女、職場で事故を起こしてそのまま逃げだした男、母親の過剰な期待におしつぶされそうな子供。現代社会で逃げ場がなくなるほど追いつめられた人たちが主人公の4作。

逃げ出したいと思っている人のところに「にげまどうし」は現れて、別の世界に連れていく。すると連れて行かれた人のことを人々は忘れてしまう。そんな人は最初からいなかったことになってしまう。逃げ出した人が後悔してもとの世界に戻りたいと思っても、その条件はとても厳しい。

にげまどうしは、逃げることを肯定する漫画だ。逃げ方を問題にしている。八方ふさがりになった現代において、孤独に逃げれば行き場がなくなる。誰かが一緒に逃げてくれるような発展的な逃げ方をしなさいというメッセージだと受け取った。

・必要とされなかった話
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/06/post-1246.html

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このページは、daiyaが2012年7月16日 23:59に書いたブログ記事です。

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