仏教が好き!

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仏教が好き!
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私は無宗教ですが、仏教はかなり好きで、時間があったら、これを勉強してみたいと思っている。この本は、仏教は宗教学者、中沢新一と河合隼雄の仏教についての対談集。チベット密教に入門した経験を持つ異彩の宗教学者と、ユング心理学を研究後、文化庁長官にも就任した大学者が、仏教の本質に迫るスリリングなダイアログ。


・ある時、ひとりの出家修行者がある女性に恋をし、彼女が死んだ後、その墓に納められた骨を集めてヴァギナをつくり、それにペニスを入れた。釈尊は彼を教団追放とした。

・ある時、ラジャーグリハで出家したスンダラという修行僧が道を歩いていると一女性が「大徳、ちょっと立ち止まって敬礼をさせてください」といって彼に礼を捧げつつ、衣をめくって彼のペニスを咥えた。釈尊は彼が楽しみを覚えなかったことを確認し、罪を犯さずとした。

・ある時、バールカッチャに在った出家修行者がもとの妻と性交する夢を見てしまった。その夢で目覚めた修行者は「私は修行者失格だ、教団より去らなくては」と考え、ウパーリ長老に告白した。ウパーリ長老は言った。「聖なる修行者よ、夢の中のことでは、罪をおかしたことにならない」と。

この本の中盤に、釈尊と弟子のセックス問答集として、何をすると教団追放なのか、延々と事例が続く仏教の、パーリ語聖典「律蔵」の引用がある。死姦、獣姦、高度な自慰行為の連発で、それに対する釈尊や高僧の判断が真面目に書かれている。

仏教の戒律というのは実践的なチャートなのだということ。キリスト教のように「淫らなことをするな」として上位概念で過剰なセックスを禁じたら、そこから派生するものもダメという風にはなっていない、ということ。仏教はひたすらに具体的に、どう淫らなことをしちゃいけないのかを規定する。

あるがままの細部を大切にする宗教なのである。キリスト教、ユダヤ教のような原理主義的な思想と対極に位置し、あらゆる思想を飲み込んでいく度量のあるメタ宗教が仏教の本質である、というのが、二人の共通了解みたいだ。

仏教は、メタ宗教であると同時に、科学であり哲学でもある。


中沢---総体として変化していくものを「マトリックス」として理解したことで、量子論は生まれましたが、仏教は同じことを曼荼羅というかたちで表現しています。曼荼羅でも、一つ一つの細部には神様が配置されていて、それぞれが自由な動きをしていますが、その動きは全体に及んでいき、また自分も全体のほうから影響を受けつつ、変化していきます。ですから、曼荼羅には中心に立って、全体に号令を出して動かしていくものはいません。

このくだりなどを読むと、「創発」「複雑系」「ゲシュタルト」などという概念が、連想される。関係性を大切にする仏教らしいコンセプトである。

そういう最先端でも通用するコンセプトを、仏教者は2500年以上前から考え続けてきた。2500年間、仏教圏の知的エリートたちが仏教に関わってきた。長い間、それは世界を理解するための先端的な知恵であり、今の科学の役割を果たしたものである。またこれだけ長く極められた哲学(現代思想)も他にないはずである。仏教は、2500年分の知恵が濃縮された、人類史最大級のナレッジベースといえる。

○○教と具体名のついた現実の仏教宗派は、私はあまり興味がない。どちらかというと思想的に面白いのは、大衆的な大乗仏教ではなくて、厳しい修行者による小乗仏教(上座部)や密教の方が面白そうだ。言ってることが過激だからである。

現代の仏教は落ち着いたお坊さんイメージがあって、おとなしい宗教の印象が一般には強い。だが、もともとは根本的なことを考える思想なのだから、過激でないわけがない。危うさを秘めたその仏教の核心部分を、現代的なテーマと絡めて、この本では、宗教ではない思想哲学としての仏教って過激でユニークで超オモシロイよ、とマニアの二人が語り合っている。その対話もまた面白い。

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コメント(1)

仏教、面白いですよね。お話としての、仏教は、私も実は昔から興味津々だったりします。
ですんで、みうらじゅんの仏像ネタはだいすきだったり...。

仏教ネタで言うと、「一休」が、以前からどうしても、気になってます。いつ、ゆっくり読むか、ずっと思案中でして...。

松岡氏の千夜一夜でも、紹介内容がよくって、本が面白そうで、読みたいんですよね。
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0927.html

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このページは、daiyaが2004年6月13日 23:59に書いたブログ記事です。

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