エロの敵 今、アダルトメディアに起こりつつあること

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・エロの敵 今、アダルトメディアに起こりつつあること
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ビデオテープ、CDROM・DVD、インターネットなど新しいメディアテクノロジーの普及の陰にアダルトコンテンツの存在があったとはよくいわれる。”エロ雑誌”上での執筆経験も豊富な二人のサブカル系ライターが、知られざるアダルト業界の歴史を総括する。業界裏事情がよくわかって好奇心を満たしてくれる。

目次:
PART1 消え行くエロ本文化
PART2 「進化」するアダルトビデオ
PART3 インターネットの影響と次世代アダルトメディア

かつてアダルトビデオの出現で、エロ雑誌は大打撃を受けたが、いまインターネットの普及によりビデオ業界が斜陽化しているそうである。現代の少年たちはエロ雑誌やビデオなどは飛ばして最初からネットでエロと出会うものらしい。17歳から23歳の若者への「最近エロ雑誌を買ったか」アンケート結果では、80人中50人が「いいえ」。いいえと答えた人たちのズリネタはパソコン30人、AV15人だそうだ。

ハード化やDVDを付録につけるなどして生き残りをはかるエロ雑誌業界では読者の高齢化が進み(50代、60代)、「読者がどんどん死んでいっちゃう」状況だと編集者が嘆いている。書店の大型化で街の小さな本屋さんが壊滅し、エロ雑誌の売り場そのものがなくなってきていることも、衰退に拍車をかけている。

アダルトビデオ業界では一時の黄金時代があってメーカーが乱立した。ジャンルの細分化、内容の過激化を競い、女優の使い捨てをする焼き畑農業化が進んだ。デジタルモザイクなど技術の進化はあるものの内容の進化は行き詰まり感があるようだ。そこへインターネットによるモザイクなしの画像や動画が現れた。パッケージとしてのアダルトビデオはそろそろ次のメディアへアダルトメディアの王座を譲り渡す時期らしい。

この本のタイトルである「エロの敵」とは規制のことではない。ネットによってエロが世の中にありふれてしまい、わざわざお金を払ってみることをしなくなった状況こそエロを殺す敵だという意味である。ハダカに希少性がなくなったのだ。いい商品を作れば売れるという商売の基本も、エロ業界では必ずしもあてはまらない。「エロの場合、よほど思い入れがあるようなマニアでない限り、他の女の子の作品、他の監督の作品で代替が効いてしまう」からだ。

男性であればアダルトビデオのメーカー名やポルノ女優の2,3人はなんとなく知っていて挙げられるだろう。しかし、メーカーの市場シェアだとか業界地図について知っている人はとても少ないのではないだろうか。たとえば高橋がなり社長がテレビで有名なソフトオンデマンドって何だろうか?彼は成功しているのか?だとしたらどういうビジネスモデルで成功したのか?。メーカー各社の興亡史や雑誌・ビデオの流通構造など、業界の実態が詳しく書かれていた。

アダルトコンテンツはいつの時代も日陰者だけれども、過去にはにっかつロマンポルノが後に有名になる一般映画の監督をたくさん育成した経緯もあった。エロは表現の実験の場でもあり、サブカルチャーからカルチャーが生まれてくる可能性もある。低予算で人不足気味の制作現場での大量生産ノウハウはクリエイティブな発想もあって、なかなか面白かった。

ところでこの分野で、昔からひとつ疑問に思っているのが、局部のモザイクは何でかけているのか?ということ。あれは規制する意味があるのだろうか。見えたからといって、社会道徳が乱れたり、性犯罪が増えたりするものだろうか?。すでに見てしまっている少年少女に悪影響があるだろうか?むしろ、見えないからストレスがたまって悪い方向へいく人が増える気がするのだが。

コメント(3)

そうですか。
ネットでは無修正のものが出回っているんですか。
知らなかった。

版元のものです。書評で取り上げていただきありがとうございます。
一般の読者の方には「敵」云々よりも橋本さんが書かれたように業界裏事情的な部分のほうがより楽しめるでしょう。
ひとりでも多くの方に目をとおしていただけると幸いです。

>ネットで無修正
それについても本書の「日本は既にポルノが解禁されている」で書かれています。
機会がありましたらぜひよろしくおねがいします。

見えてたら制作サイドは売春禁止法違反で捕まりますよね。女優はお金もらってセックスしているのだから。暗黙の了解ってヤツですよ。

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このページは、daiyaが2006年12月 4日 23:59に書いたブログ記事です。

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