おまけより割引してほしい―値ごろ感の経済心理学

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・おまけより割引してほしい―値ごろ感の経済心理学
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経済学の教授が書いた値ごろ感、経済心理学入門。

値ごろ感の方程式が前半のテーマである。

それは、

値ごろ感= 価値 ÷ 費用

というもの。

価値がわかりやすい商品であれば、おまけと割引では基本的に割引の方が効用が高い。

おまけ付値ごろ感= 価値(500円+100円) ÷ 費用(500円) = 1.2
割引の値ごろ感 = 価値(500円) ÷ 費用(500円-100円)  = 1.25

「つまり、同じ財源を使うとすれば、値ごろ感という視点からは、おまけよりも割引に使った方が有効であることが分かる。しかし、この簡単な値ごろ感の分数式からいくつかの重要な視点も導き出される。それは割引と同等の値ごろ感1.25を作り出すには、分子には500円×1.25=525の価値を作り出さねばならない。つまり、100円の割引に対して、125円のおまけでやっと釣り合うわけである。
 この単純な事実から、おまけをつける場合は相当なものでなければ有効でないことが分かる。そもそも割引には価格という最も明確な費用を差し引いてくれるという実感もあるし、お金が戻ってくるようなものだから、ただでさえ好ましい側面がある。

無論、効用関数の計算だけではないと思う。手数料無料の戦略や、衝動買い、ついで買いのポイントなども解説されている。値決めについて考えたい人、売り手の思惑を見抜く賢い消費者になりたい人に基本的な知識を与えてくれる本である。

値ごろ感について最近考えることがあった。

先日、地元のデパートで物産展をやっていた。ミニたい焼きという実演ブースがあった。いろいろな餡子を入れたとても小さなたい焼きである。おいしそうなので買うことにしたのだが、閉店間際だったこともあり、値引きをしてくれた。定価は1個50円である。それを10個で500円のところが350円になった。3割引である。

お金を支払い商品を受け取ると店主が「ちょっとまって、おまけもあるよー」といって、いま買ったのと同じ分量10個をおまけで追加してくれた。本来20個1000円のところを350円で買ったことになる。65%オフである。

だが、私は90%オフ以上の物凄い値ごろ感を感じた。店主の値引き+予想外のおまけの二段階サービスが、65%オフをそれ以上の効果へ増大させたのである。投売りにしても、やり方はあるものなのだなと感心した。

正月にも値ごろ感事件はあった。家族で近所のミスタードナッツへ行ったのだが店頭で福袋を売っている。キャラクターの弁当箱や手帳などのグッズがいくつか入っているそうである。お客は満員なのに、この福袋はあまり売れていなかったし、グッズだけでは買う気がしなかったのだが、売り子がぼそっと大変な事実を述べた。「ドーナツ10個の引換券も入っています。すぐでも使えます」。

福袋コーナーにはドーナツ10個の引換券について表示が無かった。ドーナッツの平均単価は100円を超える。家族で10個は簡単に消費する。どう考えてもお得なのである。3人以上で来ている場合、事実上、タダでグッズ類が手に入るようなものなのである。満員のお客たちはこの事実を知ったら、ほとんどのテーブル席の客が買っただろう。10個くらい食べているんだから。

売り子はダメ押しに「この1000円にはポイントもつきますよ」。妻はミスタードーナッツのポイントカード利用者、貯めてグッズと引き換えるのを楽しみにしていたのである。買わないわけがない。

そしてドーナッツ10個を引換券で注文してグッズを楽しめた。たいへんな値ごろ感であった。わたしたちだけが知っていて得をしているという気分が効用関数をさらに引き上げていた。帰りにもう一袋買おうか?という案まで出ていた。

現代の流通システムには販売奨励金や補助金などのさまざまなインセンティブ制度が働いているから、あの手この手の割引やおまけが店頭で展開されているから、そういうものに対して消費者は麻痺しがちである。ミニたい焼きのように割引の後におまけを提示する戦術や、ドーナツのように、一見割高だけどよく聞いてみるとお得というサプライズ感の演出が有効なのではないだろうか。

コメント(2)

通りすがり :

そういう投売りに出会うと、お前らそんな値段で売れるようなもんを普段どんだけふっかけて売ってんだよ、って思うけどな。

seso :

100円割り引くより125円のおまけをつけたほうが企業側のコストは安くなると思います。

125円のおまけの仕入れ価格は100円を下回ると思うので・・・。

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このページは、daiyaが2007年1月17日 23:59に書いたブログ記事です。

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