夜は短し歩けよ乙女

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・夜は短し歩けよ乙女
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独特の文体が可笑しい恋愛コメディ小説。


「それで、あの子とは何か進展あったの?」
「着実に外堀は埋めている」
「外堀埋めすぎだろ?いつまで埋める気だ。林檎の木を植えて、小屋でも建てて住むつもりか?」
「石橋を叩きすぎて打ち壊すぐらいの慎重さが必要だからな」
「違うね、君は、埋め立てた外堀で暢気に暮らしてるのが好きなのさ。本丸へ突入して、撃退されるのが怖いからね」
「本質を突くのはよせ」

一途な先輩が、テクテクと先を歩いていく後輩の乙女を追いかける。先輩は「ナカメ作戦(なるべく彼女の目にとまる作戦)」と称して、毎日のように彼女と「奇遇ですねえ」な出会いを演出するのだが、天然の乙女には一向に真意を気がついてもらえない。恋路を邪魔するアクシデントの連続に、奥手な先輩はますます「永久外堀埋め立て機関」と化す。先輩の視点と彼女の視点が交互に展開され、二人のすれちがいぶりが強調される。まったくの片思いというわけでもないのだけれど。

著者の森見 登美彦の出身、京都と京都大学が物語の舞台。「きつねのはなし」の民俗ファンタジーな世界観も適用されていて、半分妖怪みたいな登場人物達がドタバタを繰り広げる。それに、理系の二次元美少女指向が加わって独特の雰囲気を醸し出す。彼女の「おともだちパンチ」に萌える読者多数?。

世界観の完成度は非常に高い。山本周五郎賞受賞作。

・きつねのはなし
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/01/aie.html

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このページは、daiyaが2009年3月24日 23:59に書いたブログ記事です。

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