ライフログのすすめ―人生の「すべて」をデジタルに記録する!

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・ライフログのすすめ―人生の「すべて」をデジタルに記録する!
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著者はスパコン界のノーベル賞といわれるゴードン・ベル賞の設立者のゴードン・ベル本人とマイクロソフトの上席研究員のジム・ゲメル。前書きはなんとビル・ゲイツが書いている、「指先に情報を」のコンセプトを一番最初に提唱したのは俺だ、と。

ライフログとは、人間の個人的な活動のあらゆる面を記録し、保存し、検索できるようにするテクノロジーのこと。ライフログはトータルリコール(完全な記憶)を実現する。人生のすべての情報をクリックで呼び出すことができるし、保存したデータ分析によって、傾向を把握できるだけでなく、リスクやチャンスの予兆をとらえることができる。生活も人生も大きく変わる。ケータイにつぐイノベーションになるのかもしれない。

むろん、テクノロジーの負の側面も懸念される。現在マイクロソフトの研究員もしているゴードン・ベルは、

「みんなが目指すのは「リトルブラザー」の世界。ビッグブラザーが独裁主義的な監視社会を統治しているのであれば、リトルブラザーは「民主主義的」な監視社会を統治している。至る所で監視される社会ではあるが、記録装置を監視しているのは独裁的な中央権力ではなく、幾多の人や民間の企業だ。」

と書いているが、グーグルやマイクロソフトのような寡占企業にライフログを集中的に握られてしまう怖さは感じる。情報漏えいで誰かが人生を棒に振るような事件も起きるかもしれない。だが、ライフログの便利さや可能性は無限大だ。危険性はあるけれども、やはり未来に目は向いてしまう。

「脈拍、声の高さや大きさ、脳はといったデータが充実してくれば、ライフログ用ソフトがその人にとっておもしろい瞬間を上手に見つけてくれるようになるだろう。映像と同時に脳からのアルファ波を記録する仕掛けがついた野球帽を使って、東京大学の研究チームがすでにこの実証を開始している。アルファ波を参考にすれば、記録された映像のどの部分に興味を持ったかをかなり高確率に推測できるのだ。」

自分の人生のハイライトの瞬間を走馬灯のように映像で映し出すなんてことも可能になるのだろう。恋愛中の男女はどのレベルまで互いのハイライト映像を見せ合うかでつきあいの深さが決まったりするかもしれない。記録がある、いつでも見えるということは、人間の関係性や社会のあり方を変えてしまうだろう。

ゴードン・ベルは恐るべきアイデアマンだ。この本は未来はこうなっていくのではないかという想像の世界のディティールがいっぱい語られている。大御所なのに、こんなに自由なイマジネーションで本が書けるなんて驚きだ。こんなベンチャーを起こせばきっと成功するよベスト10なんて情報も、惜しげもなく披露される。第10位は「写真が撮れる鏡」だ。

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このページは、daiyaが2010年4月21日 23:59に書いたブログ記事です。

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