天地明察

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・天地明察
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江戸時代。日本初の暦をつくることに情熱を燃やした初代幕府天文方で囲碁棋士 渋川春海の生涯を描いた大傑作。天文学、数学、囲碁。計算と証明で「明察」をとることが好きな理論家が、いくつもの挫折を乗り越えながら、正確な暦法の確立という現実世界の難問に挑む。栄光と挫折、友情、ライバルとの戦い、恋、政治的駆け引き、経営やマーケティングの話など、読みどころが無数にあるが、実話ベースの時代小説とは思えないほど完ぺきに構成されている。ノリは軽めの文体で読みやすい。この作品自体が小説として奇跡的「明察」。面白すぎて眠れなかった。

主人公だけでなく、保科正之、水戸光国、関孝和などの歴史上の有名人たちの人物の解釈もなるほどなあと思わせる。ある程度、この時代に予備知識をつけてから読んだ方が深く楽しめるかもしれない。受験生にもおすすめ、といえるか。

著者の冲方丁(うぶかた・とう)はライトノベル作家でゲーム・漫画原作者でもある。

ゲームでは、

カルドセプト サーガのシナリオ
セガガガのシナリオ
シェンムーのシナリオ

を担当している。ゲームを知る人ならわかると思うが、ちょっと伝説的なゲームばかりだ。小説家としての成功の勢いで、ゲームの方面でも歴史に残るような大作を期待したい。
次回作として、本作でも重要な役割を担った水戸黄門こと水戸光圀を主役にした時代小説『光圀』を書くそうだ。発表が待ちきれない。2010年吉川英治文学新人賞、本屋大賞受賞作。

・tow_ubukataのコピー - 公式ウェブサイト
http://www.kh.rim.or.jp/~tow/index.html

・ぶらりずむ黙契録 - 公式ブログ
http://towubukata.blogspot.com/index.html

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このページは、daiyaが2010年6月21日 23:59に書いたブログ記事です。

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