スピーチの天才100人 達人に学ぶ人を動かす話し方

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・スピーチの天才100人 達人に学ぶ人を動かす話し方
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"ナポレオン・ボナパルト(フランス皇帝)
さらば、友たちよ。諸君の一人ひとりをこの胸に抱き締められれば、どんなにいいだろう。 ─── 古参近衛兵たちへの惜別の言葉。1814年4月20日、パリ郊外のフォンテンブロー宮殿の中庭で"

ソクラテス、チャーチル、リンカーン、マンデラ、孫文、鄧小平、ワシントン、フランクリン、ガリレオ、ガンジー、ケネディ、ナポレオン、ジャック・ウェルチ、ビル・ゲイツ、オバマ...。社会に大きな影響を残した名演説家たちのスピーチに学ぶ、聴衆に感動を与える秘訣。

"出発の時間になりました。これから私たちはそれぞれの道を行くことになります。私は死に、みなさんは生き続けます。どちらがよい道なのかは、神にしかわかりません ─── 「ソクラテスの弁明」紀元前399年、ギリシアのアテネで(プラトン著「ソクラテスの弁明」より)"

偉人たちの伝説的なスピーチのさわり部分と、それが話されたシチュエーション、人々を感動させたポイントが一人あたり数ページで語られていく。100人の100の伝説スピーチの概要を知るだけでも教養書として面白い。

ビジネスのプレゼンを効果的に行うための小手先の技を知りたいのであればこの本は適当ではない。そうではなくて、世界を変えるため使命感を持って話す機会に備えるという目的ならば、この本は大いに参考になるだろう。100人のスピーチの背景には共通して大志がある。それがないと人の心を揺さぶることはできないということがわかる。

テクニックを詳細に語る本ではないが、大きなパターンは見えてくる。たとえば名演説家が多用するテクニックとして「三の法則」や「繰り返し」がある。「三の法則」とはリンカーンのゲティスバーグ演説の「人民の、人民による、人民のための政治」のように、三回事例や同じ言葉を三つ並列させる方法だ。100のスピーチの中に幾つもみつかる。

"ウィンストン・チャーチル
我々は、海岸で戦う。敵の上陸地点で戦う。野原や市街で戦う。丘陵で戦う。我々は、断じて降伏しない。 ─── 下院演説「我々は、断じて降伏しない」1940年6月4日、ロンドンで"

"ヘンリー・ウォード・ビーチャー
探しましょう、真の博愛を。探しましょう、信仰の真の果実を。探しましょう、いずれかの宗派の集団の中ではなく、それぞれの宗派に集う一人ひとりの心の中にある崇高で力強い愛の中に。探しましょう、書物の中だけではない場所に。 ─── 1869年11月18日、ニューヨークのプリマス境界で行った説教"

キング牧師の「私には夢があります」のようにスピーチの中で同じフレーズの繰り返しも、似たような効果をもたらす。前述のリンカーンは演説の切り出しで87年前と言うところで「80と7年前(Four score and seven years ago)、私たちの父祖は、この大陸に新しい国家を築きました」と言ったそうだが、リズムを大切にしていたということがよくわかる。

情熱的に大志を燃やしている人が、メッセージを明確にしたうえで、文字ではなく音の流れとして効果的に構成することが名演説の最大の秘訣かなあと、この100人のスピーチを読んで思った、私の結論。

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/08/-18.html

人を幸せにする話し方―仕事と人生を感動に変える言葉の魔法
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/09/post-1070.html

ブライアン・トレーシーの 話し方入門 ー人生を劇的に変える言葉の魔力
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-838.html

・たった2分で人の心をつかむ話し方(CD付)
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・「感じがいい」と言われる人の話し方
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・話し方の技術が面白いほど身につく本
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・人生を変える黄金のスピーチ〈上〉準備編―自信と勇気、魅力を引き出す「話し方」の極意
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・人生を変える黄金のスピーチ〈下〉実践編―自信と勇気、魅力を引き出す「話し方」の極意
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・人を10分ひきつける話す力
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このページは、daiyaが2011年4月30日 23:59に書いたブログ記事です。

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