困ってるひと

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元気でビルマの難民研究に取り組んでいた女子大学院生が、突然に自己免疫疾患の難病を発病し、生き地獄のような闘病生活へ突入する。絶望のあまり死にたいとさえ考えるが、医者や看護師にも支えらて、なんとか前へ一歩ずつ進んだ日々を振り返った本。難病であるから、簡単に治るわけもなく、今も彼女は闘病中だ。

生きる勇気をもらえる本だ。陰々滅々とした闘病記ではない。気合一発で乗り切る根性本でもない。著者は冷静に自分の苦境を分析して、生きるための戦術を立てる。常時高熱で薬漬けだから、ただ暮らすだけでも重労働なのに、病院外へ決死の外出を試みる。難病同士で恋までしているのは驚きだ。

次々に彼女を襲う悲惨な症状。だがユーモア感覚たっぷりに地獄の日々を語ってみせる。おしりの肉が腐って流れてしまっても「おしり大虐事件」発生だ、我ながらすごい話だな~、とネタ化してみせる。文章も抜群にうまい。ある意味これはエンタテイメントである。読者を勇気づける真のエンタテイナーであると思う。

そして病気のどん底を価値創造の場にしている。どんな崖っぷちでも、後世に残るような仕事を成すことができる例としても、とても参考になった。

実は私、ブログでは黙っておりましたが、4月初めに左足首を骨折して3週間、ギプスと両松葉杖の日々だった。はじめての松葉杖の生活は本当に大変で、気力体力の消耗戦でした。最初の数日は、フィジカルなダメージには弱い自分に愕然とすると同時に、あとどのくらいこの厳しい状況が続くのだろうかと絶望的になった。そんなときに、友人がこの本を読んでみたらとすすめてくれたのだった。

おかげで絶望からはすぐに回復して、この期間にできることをやってやろうと思い、生活を立て直すことができた。仕事も休んだのは1日で済んだ。すべてはこの本"困ってる人"のおかげさまさまである。

今年のベスト本に選ぶかもしれないくらい素晴らしい。感動を通りこして人生に影響を受けた一冊となった。これから困っている人がいたらこれを紹介しようと思う。

#この本を骨折して松葉杖になって落ち込んでいる私に直後に薦めてくれたクォンタムアイディ代表の前田さんに感謝。

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このページは、daiyaが2012年5月17日 23:59に書いたブログ記事です。

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