2008年度 年間オススメ書籍ランキング フィクション部門

| | トラックバック(0)

2008年にこのブログで紹介した小説・創作作品の中から、これは本当によかったと思う本をランキングで10冊+2冊並べてみました。私が2008年中に読んだというのが基準なので、昔に発表された作品もかなり含まれています。

・2007年度 年間オススメ書籍ランキング フィクション部門
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/01/2007-5.html
・2006年度 年間オススメ書籍ランキング フィクション部門
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004849.html
ちなみに一昨年、昨年度はこうでした。


■1位 宿屋めぐり
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-828.html

・宿屋めぐり

51MElGIgO0L__SL500_AA240_.jpg


私のこの本の感想は「なんだかよくわからないがすごくよくわかった。」というものだ。極上の小説にしか達成できないことだと思う。宿屋めぐりとはがんじがらめの魂のクオリアを強烈に解き放ったアート。大傑作、まず読みましょう。

■2位 双生児
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-850.html

・双生児

413tdBUOWWL__SL500_AA240_.jpg


複雑、緻密な構成にうならされること間違いなしの大傑作。私などは読み終わって1時間くらい紙に物語の構造を図式化しながら考え込んでしまった。それがまた最高に楽しい時間だった。英国SF協会賞とアーサー・C・クラーク賞を受賞。

■3位 われらが歌う時
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/12/post-898.html

・われらが歌う時 上

51um-cEGuxL__SL500_AA240_.jpg

バロック音楽、オペラ、ゴスペル、ブルース、ジャズ、ヒップホップなどあらゆる音楽がそれぞれの時代や登場人物の人生を彩る。音はジャンルの垣根を越えて次第に混ざり合って、新たな時代の音楽を生み出していく。現実世界でも混血の大統領が誕生しようとしているアメリカの姿を、音楽をモチーフに描いているのだとも言える。

■4位 エア
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-842.html

・エア

51GGbZ-P0IL__SL500_AA240_.jpg

これは衝撃作。21世紀の世界に究極的な情報技術が登場したらどんな変化を及ぼすかを、寓話的に予言している。といっても、未来のハイテクそのものがテーマではない。原題はAir(or,Have Not Have)"。情報や金を持つ者、持たざる者の関係性がネットワークによってどう変わりうるのかこそ最大のテーマだ。

■5位 ゴサインタン―神の座
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/02/post-705.html

・ゴサインタン―神の座

5163VQKW9GL__AA240_.jpg

地方の名士として代々続いてきた農家の後継ぎ結木輝和は40を過ぎて独身であった。農家に嫁いでくれる嫁を探して見合いを続けたが失敗続き。そこでアジアの花嫁仲介業者の世話になって、ネパールから若い妻を迎えることになる。彼女の名前はカルバナ・タミ。輝和は耳慣れない名前を嫌って自分のかつての意中の女の名前「淑子」と呼んだ。淑子は日本語も満足に話せぬまま結木家に入った。旧家の一族は彼女を日本の生活に馴染ませようとするのだが、やがてそのプレッシャーが淑子の秘めていた「生き神」としての能力を発動する。

■6位 八甲田山死の彷徨
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/12/post-888.html

・八甲田山死の彷徨

51SBPS7T29L__SL500_AA240_.jpg

真冬の八甲田山も怖ろしいが、200人の大部分を殺したのは明らかに人間の組織であったように思える。そして、こうした組織的な判断による破滅は、現代の企業組織にもよく見られるように思う。リーダーが読むべき失敗学の参考書として経営者にもおすすめ。

■7位 ガダラの豚
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/06/post-762.html

・ガダラの豚 1

51HDYXRVKQL__SL500_AA240_.jpg

ガダラの豚は冷静に物語の全体構造を設計する表のらもと、人間の心の闇を知り尽くした裏のらもが、総力をあげて作り上げた大作だ。娯楽作品であると同時に深い闇がある。

■8位 ロード
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-831.html

・ザ・ロード

51yvG3uLfRL__SL500_AA240_.jpg

ここは極限的な性悪説の世界だ。万人が原初的な闘争状態にある。他者を見たら、奪われる、殺されると思わないと、生きてはいけない。温情は禁物である。他人に何かを与えればそれだけ自分の生きるリソースが目に見えて減るのだ。誰も人を信じることが出来ない。世界の破滅以降に生まれた息子にとって、父だけが唯一の信じられる人間だ。父は苦難の旅のなかで、かつて存在した世界の様子を教え、息子の心に希望の火を点そうと努力する。

■9位 朗読者
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/08/post-818.html

・朗読者

51C20D5SZ7L__SL500_AA240_.jpg

アメリカでは200万部以上が売れて、映画化が決定している。「タイタニック」のケイト・ウィンスレットがハンナを演じるそうで相当の大作になりそうだ。現在撮影中で2010年に公開予定。今頃読んでおくと、映画の頃には程よく忘却していてちょうどよいかもしれない?。

■10位 ストーカー
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/08/post-805.html

・ストーカー

e30bd0b28fa0f558087d6110__AA240__L.jpg

あるとき異星人の「来訪」があった。彼らは人類にまったく接触することなく、痕跡「ゾーン」のみを残して地球を去っていった。「ストーカー」とは危険な「ゾーン」に不法侵入して、異星人たちが残した正体不明の物体の数々を持ち出してくるアウトローな職業の呼び名だ。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 2008年度 年間オススメ書籍ランキング フィクション部門

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/2362

このブログ記事について

このページは、daiyaが2009年1月 7日 22:59に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「心の起源―生物学からの挑戦」です。

次のブログ記事は「封印作品の憂鬱」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.1