Books-Management: 2008年3月アーカイブ

・つい口に出る「微妙」な日本語 その言い方は他人にどう聞こえているか
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著者は、ビジネスパースンや学生を対象に200件の聞き取り取材を行って「耳障りな言葉」と「自分でも言うことがある語句」の両面で「微妙な日本語」を選び出した。たとえば第一章で紹介されているのは、「微妙」、「とりあえず」、「かもしれない」、「一応」、「ちょっと」、「できれば」、「思われます」、「〜なはずですけど」、「〜という可能性も否定できない」。出現度と不快度を5つ星でそれぞれの言葉が評価されている。

後半にでてきた「ある意味」、「逆に言うと」、「要は」。これも私が一日のうちに何度も使ってしまう微妙語である。微妙語のほとんどはそれがなくても意味が通じるばかりか、ないほうが明確になるものが多い。

自分の言葉づかいを振り返って、諸問題の一因となっている言葉が、この本にでていた「難しいですねえ」である。何らかの仕事を「お願いできますか?」と聞かれると「できません」「不可能です」と言わずに、ついつい「難しいですね」と言ってしまうのだ。相手の困った顔をするのを見たくないと思うあまり、完全否定の言葉を出すことができず、とりあえず「難しい」と一応いうのだが...。

「お願いする側は必死ですから「難しい」と言われれば一縷の望みを捨て切れずに食い下がってきます。<中略>それでも、できないことははっきり言って差し上げる必要はあると思います。そうでないと、相手だって代替案の検討など、先に進めなくなってしまいます。また、足元を見て高い条件を吹っかけようとしていると勘繰るかもしれません。」

口に出す言葉というのは短くするとぶっきらぼうな印象を与えがちである。それを回避するために、意味的には不要な言葉を挟んでみるわけだが、NOをYESにすることはできないのだから、それは使い手の優しさとはいえないわけである。はっきり言ってあげた方が仕事では適切なのだ。

逆に長いほどよさそうなのが、ほめ言葉である。この本と同時にこれを読んでいた。

・「ほめ言葉」最強の一発変換!
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「「マメだね」を「リスク管理、きっちりできてるね」に、「ダンドリがいいね」を「仕事の全体像をイメージできてるね」に…。「ほめる」ことに慣れていない人がつい言ってしまいがちな言葉を、効果的なフレーズに変換して紹介。 」

実用予定なので、あまり中身を紹介したくないのだが(笑)、ほめ上手になるための、褒め言葉長文化テクニックが多数紹介されている。

・伝説のプラモ屋―田宮模型をつくった人々
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世界最大のプラモデルメーカー田宮模型を育てた伝説の2代目社長が語る田宮模型の歴史。この社長自身が模型が好き好きでしょうがない、こだわりを持った人である。だから製品開発で「数字にしたら0.7〜0.8ミリの誤差。私が感じた「何となく厭だ」を是正するのに要する費用は数千万円。時間は丸一年以上だった。」なんてこともよく起きる。

・1/48 フェアリーソードフィッシュMk.II
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数あるモデルの中でも、社長が「世界に誇れる名プラモデル」というのがこのフェアリーソードフィッシュ。

あの小さな兵士のフィギュアにも物凄いこだわりがあった。「もっとも、35分の1という小さな人形のモデルの表情にこんなにこだわったところで、何人の人が価値をみいだしてくれるか、はなはだ疑問だ。が、たとえ一万人にひとりであれ、違いに気づいてニンマリと笑みをうかべてくれる人がいれば、本望である」。

田宮模型の社史をたどって興味深く感じるのは、これだけ本業のプラモデルに思い入れをもっているにも関わらず、会社の危機を救ったり、急成長の原動力になった製品はプラモデルではないということだ。

昭和30年代に玩具用金型を流用してつくった小さなレースカーが最初の大当たりをだして大赤字の会社を再生させた。そしてラジコンカー、ミニ四駆(1億数千万台も売れた)など、プラモデルを追求していく過程で技術を応用してつくった製品が大ヒットとなっている。そうして儲けたお金をプラモデルの完成度を高めるのに回す。製造現場のクラフツマンシップと経営者のマーケティング発想が、理想的な相互作用をしてきた会社といえるのではないだろうか。クラフツマンシップだけだったら今の田宮模型はなかっただろう。

パッケージの重要性にいち早く気がついたのも田宮模型であった。当時すでに大物の作家だった小松崎茂に頼み込んで箱の絵を描いてもらうことで差別化をはかっている。私も子供時代にいくつか田宮の戦車を作った記憶がある。(その後ガンプラにいってしまうのだが。)。パッケージが本格派っぽくて惹かれた。

・小松崎茂―プラモデル・パッケージの世界
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この本は決して成功者の昔話に終わっていない。社長は70歳を超えたが21世紀以降も、世界を舞台に不断の挑戦をし続けていることが紹介されている。ホームページの充実ぶりを見ても、いつまたミニ四駆クラスの大ヒットがでてもおかしくないくらい雰囲気を感じる。

・★★TAMIYA INC. 株式会社タミヤ
http://www.tamiya.com/japan/j-home.htm

日本が誇れる会社の中身を知ることができて経営の勉強になった。

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