Books-Sociology: 2012年12月アーカイブ

・「意識高い系」という病~ソーシャル時代にはびこるバカヤロー
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イマドキの若者の風潮を絶妙にとらえていて面白かった。

「意識高い系」というのは、著者によるとこんな特徴を持っている。

1 やたらと学生団体を立ち上げようとする
2 やたらとプロフィールを「盛る」
3 すべては自己アピール 質問が長い
4 ソーシャルメディアで意識の高い発言を連発
5 人脈をやたらと自慢、そして利用する
6 やたらと前のめりの学生生活を送る
7 人を見下す

この本、読んでみて思ったことは、いやー、この意識高い系って学生時代の私じゃないか、いや完全に昔話じゃなくて、その延長線上に今の私がいるじゃないかということ。実は著者もかつては同じだったらしくて「そう、今では、ビジネス書にハマる人たちについて「そんなもの読む前に仕事しろ!」「自己啓発難民になるな!」とドヤ顔で説教をするアラフォー親父になったのだが、それは自分の経験があったから言えることなのだ。私にもそんな痛い時代があった。」なんて素直に吐露している。ですよね。

私は著者と違って意識高い系の若者が大好き。そういう学生を見ると応援したくなる。今は浅い気がしても、やり続けているうちにいろいろ経験して、やがてその浅さを自覚して乗り越えるだろうとポジティブに考えて。ただ少し気になる部分もある。

バブル時代の「意識高い系」学生も十分に軽かったのだけれど、今の「意識高い系」の学生の方がよりフワフワに軽くなったなと感じる。会社立ち上げました、とか、学生団体の代表で、とか軽く報告してくるが、実力、実践力が、昔の意識高い系の方が高かった気がしてならない。

20年前と比べていろんなハードルが下がっているのだ。学生団体や会社を起業する、広く自己アピールをするのが簡単になった。昔は会社を作るには資本金1千万円必要だったが今では1円でも起業できる。ソーシャルメディアがあるから、シャイな性格でコミュニケーション能力が弱くても、学生団体をつくりやすい。自己アピールの場はいくらでもある。そんな環境変化が、意識高い系のフワフワ度を増すことにつながったのではないだろうか。

ハードルをあげて、起業してすでに売上1億以上あります、NPOだったら認定NPO化達成してますくらい言ってくれれば、結構、君やるじゃんと思えるのだが。

著者の分析では、「意識高い人たち」と「意識高い人たち(笑)」がいて主に後者を中心に批判する本なのだが、特にフワフワしたセルフブランディングが批判の対象になっている。底の浅さが見えるプロフィールなんて無意味を超えて有害だろうと。

「いわゆるこの「セルフブランディング」に対する私の最大の疑問は、その行為がそもそも「ブランディング」になっていないのではないかということである。むしろ、自分のブランドを壊すことになっているのではないかとさえ思ってしまう。」

若者へのダメ出しが多いが著者が好きな若者ってどんなのだろうと気になった。次はそういうのも書いてほしい人だなあ。

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