2004年01月25日

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・もっと笑うためのユーモア学入門
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■世界一面白いジョークの可能性

テレビ番組「あいのり」を見ていたら、スリランカを一行は訪問中で、悪魔祓いの祭りのシーンがでてきた。悪魔にツッコミを入れて笑わせることで、厄払いを行うらしい。昔、本でこの風習は読んだことがあった。神様や悪魔にもボケとツッコミ関係はあるのだ。

笑いが神事に登場する例は古今東西に多々ある。日本神話にも、アマテラスが天岩戸に隠れたとき、アメノウズメら八百万の神々が宴を開いた。岩戸の前で、ストリップショーや、どんちゃん騒ぎを行い、笑いでアマテラスを外へ誘い出した。笑いは秩序を取り戻す役割を果たしている。

これほど世界に共通で重要な社会的役割も果たしている笑いであるが、国や文化、時代が違うと同じユーモアを笑うことは難しい。映画でも小説でも、海外の悲劇作品には泣けるが、喜劇は笑えないことが多い。大衆演劇に始まった歌舞伎や、格調高く感じられるシェークスピアの古典喜劇も、恐らく当時の聴衆は心から笑ったに違いないが、今はそれほどでもない。

関東と関西のお笑い文化もやはり違う。年齢によっても違う。こどもをあやす口調で「いないいないバア」とやっても、笑う大人はいない。同じ社会人でも、職場の笑いというのもある。「部長の口癖のモノマネ」など、部署が違えばまるで笑えない。

それほどまでに、笑いは高度化、細分化されている。世界中が涙を流す悲劇はできても、世界中を大笑いさせる喜劇を作ることの方が難しそうだ。英国の心理学者が、オンライン投票で世界一面白いジョークを決定したというニュースがある。

・LaughLab was a huge scientific experiment to discover the world's funniest joke.
http://www.laughlab.co.uk/winner.html

・「世界で最もおもしろいジョーク」のオンライン調査結果発表
http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20021004207.html

ここに邦訳がある。

「米ニュージャージー州のハンター2人が狩りに出た。1人が木から落ちてしまった。仰天した連れのハンターが携帯電話で『息がない』と緊急通報した。救急隊のオペレーターが『落ち着いて。大丈夫。まず死んでるのか確かめなさい』と声をかける。一瞬の静寂後、オペレーターの耳に1発の銃声。続いて、『死んでる。これからどうしたらいいの?』というハンターの声が響いた」

面白いかもしれないが、「世界一」とは誰も納得しないのではあるまいか。

■ユーモアの効用と分類

この本では、プラトン、アリストテレス、ニーチェ、ベルグソン、フロイトといった哲学者、心理学者のユーモア論が次々に紹介される。ちなみにユーモアは18世紀に始まる言葉で、語源は「体液」だそうだ。当時、医学の世界に体液学説という概念が重要視されており、血液、粘液、胆汁、黒胆汁の4つの体液バランスによって人間の気質が変化すると考えられていた。だから、体液(ユーモア)に変化を与えて人を笑わすという意味から、「ユーモア」という言葉が発生したらしい。

ユーモア、笑いにはいろいろな効用があると著者は分類している。

1 笑いの生理的効用
  ユーモア療法のはじまり・笑いは百薬の長
2 笑いの心理的効用
  気分がよくなる・緊張の緩和・カタルシス・抑圧された欲望の解放・自己防衛機能
3 笑いの社会的効用
  笑いとコミュニケーション・集団凝集性と排除作用・社会化と社会統制・攻撃性と笑い・風刺と社会批判

人はくすぐられて笑うし、エレベータで見知らぬ人と目が合っても笑う。悲しくても笑う。赤ちゃんの新生児微笑という本能的な笑いまである。この本では、主に愉快な笑いを分析しており、「感覚」、「感情」、「知性」の3つの次元と、単純に愉快で笑う「満足の笑い」と撹乱や、パニック、ズレによる苦笑系の「カオス的笑い」の2系統があると分けている。

次元|系統 満足の笑い カオス的笑い
知性 知的満足の笑い ユーモラスな笑い
感情 感情的満足の笑い 苦笑
感覚 感覚的満足の笑い イリンクス笑い

笑いは、心身の病気を治し、社会的対立を緩和する。著者はユーモアを理解する「カオス型」人間が増えることが、世界の平和や発展に寄与するのだと強く信じてユーモア研究とその成果の啓蒙に取り組んでいるらしい。真面目に笑いを研究する本。

・国際ユーモア学会
http://www.edu.kutc.kansai-u.ac.jp/ISHS2000/
2000年の時点で世界30カ国、1000人以上の研究者が所属しているれっきとした学会。この本の著者も所属する。

■オンラインで伝播する笑い

数年前に流行した、いわゆるチェーンメールで、かなり可笑しかったものを受け取った記憶があった。どこかに全文がないかなと、Webを検索していたら見つかった。長いけれど引用させてもらうと(面白くても他人にメールしてはいけません)。

・連鎖メール情報流通拡散防止プロジェクト実験推進協議会(C3M)
http://www.kurata.to/cgi-bin/chain_amigodb/database.cgi?cmd=s&sc=allindex
より。


この文章は、東芝、NEC、富士通、松下、日立造船、NTT、IDC等を回って来たメールだそうです。だれしも、このメールを仕事中に読んで、大笑いをして、周りの人に変に思われたとのことです。
 このメールを受け取った女性は、このメールを知人に出して、回り回って、また、自分の所に戻ってくると、めでたくお嫁にいけるという事で、幸福のメールと呼ばれているそうです。(ほんまかいな。)

 では、始まり、始まり...。

先日、ぼくが友達とファミコンをしていると 通りかかった母が、「おまえたちはいいねぇ、毎日がエブリデイで」と言った。母はいったい何がいいたかったのだろぅ・・・・

家族揃って夕食をとっているとき、何かの拍子に怒った父が、「誰のおかげでメシが食えると思ってるんだ」と言おうとして、「誰のためにメシ食ってんだ!」と怒鳴った。私と姉は「自分のためだよ」と答えた。

夫婦ゲンカのとき、父が母に「バカモノ!」と言うのを、間違って、「バケモノ!」と怒鳴ってしまった。ケンカはさらにひどくなった。

うちの母は、頭が痛くなると氷でおでこを冷やします。先日も夜中にかなり痛みがひどくなり、暗闇の中をフラフラしながら台所へ。冷凍庫から、あらかじめビニール袋に入れてある氷を取り出して、おでこにのせて眠りました・・・。翌朝、目が覚めてみると、母の枕元には解凍されたイカが転がっていました。

甘味屋さんで、母は田舎汁粉を、私は御膳汁粉を頼みました。店員さんが、「田舎はどちらですか?」と聞いたら、母はとっさに、「はい、新潟です」と答えてしまいました。

先日、父は、男にフラれて落ち込んでいた姉をなぐさめようとして、「おまえ、人間は顔じゃないぞ」と言うところを、「おまえの顔は人間じゃないぞ」と言ってしまった。

妹が夕食にスパゲティを作ってくれることになりました。妹は、「今日はカルボナーラを作るね」と母に言っていました。夕方、私が外から帰ると母が、「もうすぐボラギノールができるってよ」と言いました。ソレって痔の薬じゃ‥‥‥?

エアロビクスを習いに外出していた私に、友達から電話がありました。横文字に弱い母は何を思ったのか、「娘はアクロバットに行っています」と答えたそうだ。

弟は、誰に似たのかとても勉強ができる。それで、高校1年生のとき、アメリカに留学することになった。そのとき、母は親戚や近所の人に、「うちの息子をアメリカにホームレスにやるんですよ」と言って、自慢して歩いていた。ホームステイとホームレスを間違えていたのである。

先日、プロ野球ニュースを見ていたときのこと。「ヤクルトのルーキー、伊東」と聞いて、母は、「日本人ぽい人ネ」と言った。

私の母は62歳。記憶力が悪いからと、キャッシュカードの裏に黒のマジックで大きく、その暗証番号を書いている。

先日、父はメガネを作りに行った際、「無色ですか?」と店員にレンズの色を聞かれると、何を勘違いしたのか、「いえ、銀行員です」と、自分の職業を答えていた。

うちの父は、沖縄に向かう飛行機の中でエラソ〜に、「沖縄は島全体が『さんしょううお』なんだぞ!」と言った。それを言うなら、サンゴ礁だろ!!


これは結構、面白いのではないか?特に真面目にパソコンで仕事をしているときに開封すると、ふきだしてしまう人が多いのではないだろうか。この面白さのせいでチェーンメールも爆発してしまったようだ。

システムを麻痺させるチェーンメールはいけないが、笑いの効用は著者も述べているように人や世界を救うものである。ユーモアの伝播性を伴ったメッセージなら、たまにはネットに増殖しても許せそうな気もする。


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Posted by daiya at 2004年01月25日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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