2004年03月31日

”使える”パーソナライズ技術登場の気配このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加


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■Webパーソナライズはまだまだこれから

昨年の秋に気になるニュースがあった。ユーザに関心のあるテーマやキーワードを登録させて、その趣味嗜好を反映した情報を表示するWebパーソナライズサービスに対する懸念について書かれた分析記事である。

・Webパーソナライズに付けられた大きな疑問符
http://www.itmedia.co.jp/news/0310/15/ne00_personal.html

ここで紹介されている大手ベンダー(Broadvision、Epiphany、Teradata、IBM、ATG)のパーソナライズソフトウェアはライセンスやインストールコストが高いので、短期的な費用対効果を期待しても無理があると思うのだが、だからといって、


「融通が利いて使い勝手がいいナビゲーションや検索機能が提供されていれば、Webサイト訪問者の満足度が上がり、訪問者がサイトの運営側が期待するような、収益につながる利用行動を取りやすくなる」と報告書には記されている。「事実、ほとんどの場合、優れたナビゲーションはパーソナライゼーションに取って代わることができる」

 パーソナライゼーションは効果が低いばかりか、驚くほどコストがかさむと報告書は指摘する。

と断ずるのもまだ早計な気がしていた。効果がないというのは現状のパーソナライズ技術の質の問題であって、パーソナライゼーションというコンセプト自体が悪いわけではないはずだ。出てきた結果がユーザにとって「パッとしない」のが問題なのである。パッとしない表示結果の効果やコストを測れば低い結果に終わる。当たり前である。

■期待できるサービス登場の予兆か

Google Labsが、パーソナライズ検索のベータ版をリリースした。予め関心のあるカテゴリを指定しておくと、その選択に応じてGoogle検索結果が変化するというもの。

Google Personalized Beta
http://labs.google.com/personalized
googlep01.JPG

スライドバーがついており、パーソナライズ度がゼロなら通常のGoogle検索結果が出る。パーソナライズ度を強くすればするほど、関心テーマに関連するページが上位に出てくる。汎用的にも個人的にも使うことができる。このアイデアは素晴らしい。

私は、Business/IndustriesやComputersやScienceジャンルの幾つかのテーマにチェックを入れた。ハッカー仕様。パーソナライズ度ゼロの状態で「news」というキーワードで検索すると、CNNやBBC、FOXといった一般ニュースサイトが上位に出てくる。ここでパーソナライズ度を最大にすると、今度は技術系ニュースサイトのSlashdot、CNET、Internet.comといった顔ぶれが上位陣になる。私にとっての言葉の持つ意味を検索エンジンが理解してくれている気がしてくる。Google Personalizedは、まだ英語のみだが、これは日常的に使う検索サービスとなりそうだ。

もうひとつパーソナライズで使えるものとしてTopix.netもいい。こちらは世界中のWebサイトからロボットが自動収集し、新聞型サイトを作るサービスである。同種のコンセプトではGoogle Newsが有名であるが、違いはジャンルの数である。

・Topix.net
http://www.topix.net/

3000サイトから毎日データが取得され、15万件のテーマ別ページが自動生成されていく。
例えば企業であれば、

・YAHOO!に関するニュース
http://www.topix.net/com/yhoo

・ブックストアAmazon.comに関するニュース
http://www.topix.net/com/amzn

技術であれば、

・Weblogに関するニュース
http://www.topix.net/news/blogs

・P2Pに関するニュース
http://www.topix.net/tech/p2p

人であれば、

・ブリトニースピアーに関するニュース
http://www.topix.net/who/britney-spears

・ロックバンド OASISに関するニュース
http://www.topix.net/who/oasis

といった具合でテーマが15万種類のニュースサイトが日々生成されている。選ばれた情報源とニッチに分けられたテーマによるパーソナライズは便利だ。ソーシャルネットワーキングとも連携したらさらに自分にとって必要な情報を素早く見つけることができるかもしれない。

このふたつのサービスには、本当に使えるパーソナライズ技術の実用化の予兆を感じる。この技術分野、次はどんな手を使ったサイトが登場するのか、楽しみ。


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Posted by daiya at 2004年03月31日 23:59 このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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