2004年04月28日

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人の心を動かす文章術
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ああ、これは、大絶賛です。

20年間で6万通の小論文を添削した人気講師が書いた文章術の本。最近、文章術についての本を立て続けに書評しているが、実践的という点ではこれがベストである。

「小論文指導の第一人者が明かす 面白い文章を書くテクニック 作文 エッセイ メールがちょっとした工夫で見違えるように上手く書ける」

と帯にある。ノウハウ本は多くが過大キャッチコピーに負けてしまうものだが、この本に1限っては、看板に偽りはないと思った。

大学の先生や作家が書いた文章術本と決定的に違うのは、実際に何十本も添削のビフォア&アフターを提示して見せたこと。生徒が書いた下手な文章に、著者が赤ペンで、少し文章を挿入したり、順番を入れ替えるだけで、読みやすく、いきいきとした文章に生まれ変わる。指導のプロのワザが見事である。ホンモノだと思った。

私は小学生の頃、美大生の家庭教師に数ヶ月だけ、絵画を習ったことがある。私の描いた絵に、先生が輪郭に、薄い絵の具で光や影をスーっと書き添えるだけで、風景や建造物が立体的に浮かび上がるのに、感動したのを覚えている。この著者の添削もそれに似ている。ちょっとしたお化粧が作品に命を吹き込む。

著者は学校教育の作文授業がテクニックを小手先のワザだとして軽視していることを嘆いている。逆に、大切なのは、まず、いくつかのテクニックをみにつけることだと主張し、その「いくつか」を本当に教えてくれる本だ。

テクニックとしては、

・リアリティを演出するテクニック
・効果的な書き出し
・修飾語の使い方
・感情を移入させるテクニック
・リズム、メリハリを与える工夫
・主題の打ち出し方

などが紹介される。

向田邦子らの名文に技術を学ぶ章もあったりして、小論文の授業の枠をはるかに超えている。下手とはいえ、原文の持つ味を尊重する指導のやり方もこの先生は、立派だなと思った。原文を完全には壊さず、良いところを残しながら、本当に言いたいことや、持ち味を引き出す添削指導ができる著者は偉大な師だと思う。

後半の推敲論だけでも大変な勉強になった。アマチュアがしばしばやってしまう、文章のつまづきポイントを著者はよく知っている。「私が思うに...と思う」「理由は...だからである」「よく〜している人をよくみかける」「もっとも多いのは〜、〜が多い」など。私もこのブログで年中、そういった作文ミスをやってしまうのだが、陥りがちな罠を最初に知っていれば、推敲効率が上がるはずだ。

・白藍塾公式ウェブサイト
http://www.hakuranjuku.co.jp/著者の主宰する作文セミナー。今度、時間のあるときに受講してみたいと思っている。


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Posted by daiya at 2004年04月28日 23:59 このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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