2006年05月31日

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・「個」を見つめるダイアローグ
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個をみつめるダイアローグ

この二人は凄いな。先見の明。

終始、対話が煮詰まらず外へ未来へと向かう。

作家・村上龍とITの伝道師・伊藤穣一の対談本。

目次:

第1章 「個」がつながる世界で 
■「個」のネットワークという「思想」
お金と権力の外へ/蜘蛛の巣のような信頼関係/コミュニケーションは喜びそのもの/「オープン」というキーワード/正確なコミュニケーション
■メディアと「個」 
メディアの「パラダイム」は古い /アマチュアが参加するジャーナリズム/「無難な思考」では何も見えてこない/一丸となることはもはや不可能

第2章 国と「個」
■適応が遅れる日本社会 
プライバシーと民度/リスクの先延ばしという非合理性/決定権と責任がセットになっていない/閉ざされた社会と開かれた社会/洗練を拒否するという態度/「外国人」の視点を意識する
■歴史と思考の軋轢
言葉の定義がないままの議論/歴史の転換点には経済問題がある/立ち止まって考える合理性/わたしたちはリスペクトされたいのか/偉くなるのはいいことか

第3章 再生は必要なのか、可能なのか
■旧弊というパラダイム
分散型のネットワークとテロ組織/リスクを直視すること/敵の文脈を理解する/「コモンセンス」という考え方
■合理性という言葉の機能
複雑なシステムと個人/最適最小化ということ/子どもと外部性

第4章 表現・発信すること
■「個」としてハッピーであるために
ヒューマニズムより、経済合理性/How to be happy?/事実を伝える能力/参加という文化/教えるのではなく示す/自らの目を信じること/表現しなければ何も始まらない/一人旅が象徴するもの~


対話のテーマは幅広いが、インターネットで世界がつながった今、改めて、グローバリズムとは何かを真剣に語った本だと思う。国際性ということばはもう古い。国同士ではなく、個人が主体となって世界とどんな関係を取り結び、どんな新しい価値を世の中に生み出せるか。そんなテーマをコスモポリタンな二人が熱く語る。

「リスペクト」ということばがキーワードとしてよく使われる。

最初に使ったのは村上龍の発言。


「リスペクト」って日本語では、「尊敬する」と訳されているけれど、原語のニュアンスはちょっと違うんだよね。互いのいいところを探すという感じでもないし、ピタッとあてはまる日本語がない。アメリカ人って、このリスペクトを、どんなに意見や立場が違う人にも、ある程度はもっているんじゃないかと思う。でも、日本人にはこのリスペクトがないんだよ。

インターネットのコミュニケーションとコラボレーションに虚の部分と実の部分があるとすれば、実の部分はリスペクトが成り立たせているのじゃないかと私も考えていた。リスペクトとは、自分と同じように、相手もまた、これまでも存在してきたし、これからも存在していくもの、と認める認識姿勢のことなのではないかと思う。

日本社会の未来を語る長い対話の中で、二人とも「私たち」「我々」のような言葉を使わないのが印象的だった。一度も使っていないのではないか。単位は終始、個なのである。友達にこんな面白い個がいるんだよと二人とも、ユニークな個について嬉しそうに紹介する。

組織や国家が単位の事柄は、関係性が複雑で、何がよいのか悪いのかはっきりしないことが多い。これに対して、アイツは嫌いだとか、それはいけないことだ、それってサイコーとか、個同士の関係の事柄ならば、はっきり判断ができる。だからこそリスペクトが成立するのだと思う。

村上龍の発言。外交についての文脈。


でも、もしリスペクトがあれば、何か事件が起きたり、関係が悪化しても、そのリスペクトをテコに、どこからか話を始めることができるはずなんだよ。

この本、個であることを認め合う二人による、個についての対話が抜群に面白い。必ずしも意見が一致していないテーマでも、遠慮なく自論を語るし、妥協もしない。折り合わなくても、相互のリスペクトという対話の基盤の上で、話を外へ未来へと進める意思があるから、創発が起きている。

話の内容は先見の明に満ちていて啓発される内容だった。それと同時に、個の時代のコミュニケーションスタイルはこういうのがかっこいいんだよと、二人の未来エバンジェリストが身をもって示したカタチだと思う。おすすめ。


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Posted by daiya at 2006年05月31日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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