2006年11月29日

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・孔子伝
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先日96歳で他界された漢学研究の白川静著。

孔子とキリストには共通点がある。幼少時代が不明であること。中年になってから大成したこと。活躍した時間は短かったこと。弟子を率いて諸国を流浪したこと。世俗的な意味での成功とは無縁であったこと。本人の書いたものはほとんどなく、その教えは、弟子たちが後世に教典にまとめたもののみであること(「論語」と「聖書」)、など。

しかし、一般には、キリストが宗教者という印象が強いのに対して、孔子は思想家・哲学者の印象がある。著者は、孔子はシャーマンの出自を持ち、政治改革への参画をもくろみながら、ときには任侠者も巻き込んで、移動しながら好機を求めた反体制教団の長だったのではないかという仮説をこの本で打ち出している。

孔子の死後に編纂された論語は、教義としての側面が強いから、孔子の姿は徹底的に美化されている。だが、よく読むと孔子の行動には人間臭い部分もある。愛弟子の顔回への贔屓が目立つし、資金調達が得意な子貢には、経済的に支えられているはずなのに、性格的にそりがあわないのか、随分と冷たい態度をとっている。

孔子は遥か古代の伝説の王である周公を信奉して復古を説いているが、その割に古代の王国について正しい知識があったか怪しい。孔子は、仕えている主人が亡くなったら3年の喪に服せと説いたが、昔からそうしてきたものだからという。しかし、古代を調べてみると3年の服喪の規定は根拠が乏しい。孔子の古代知識は誤っていたのではないかと著者は検証してみせる。

そして、孔子のさまざまな言動の細部と矛盾を分析していくと、当時の巫術を司る集団に出自があるのではないかと指摘する。シャーマン出身で、ライバル陽虎の策略に抗いながら、現実的な力を持ったカルト教団を率い、諸国を移動する宗教改革者。隠棲の賢者というイメージが崩されていく。

・孔子
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002572.html


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Posted by daiya at 2006年11月29日 23:59 このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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