2006年12月27日

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・日本古代文学入門
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浦島太郎の歌には「タイやヒラメの舞踊り」というフレーズがでてくる。このヒラメはもともとは魚のヒラメではなかったそうである。オリジナルの浦島太郎=浦島子の物語では蓬莱山で仙女を夢心地で抱いた。濃厚なベッドシーンがあった。その段で「続浦島子伝記」には「魚比目興」と書かれていて、これを後世の作詞家がヒラメと勘違いしたらしいのだ。

本当は比目魚は古代中国の性医学書にでているセックスの体位なのである。いろいろな体位で二人は愛し合ったという話だったのだ。浦島子の物語は、奈良時代から平安時代にかけての漢文の素養のある貴族や知識人が好んだポルノ小説だったというから驚く。

二人が夢の時間を過ごしたのも海底の竜宮上ではなくて、東方海上三千里の彼方にあるとされた蓬莱山であった。当時の人々は、海の向こうに異界があると考えていたからだ。

「古代の人々が考える異界としては、地上世界に対して天空には神々の住まう高天の原があり、一方に地下世界としての黄泉の国があるという垂直的な三層の世界観があります。それに対して、もう一方に水平的な世界があり、水平線の彼方には常世の国がありました。常世の国は、古事記や日本書紀のほか、万葉集や常陸国風土記などに出てきます。トコヨという言葉は、永久に変わることのない世界を意味しており、ユートピア的な性格を濃厚にもっています。」

しかし、常世や神々の世界を皆が信じていたというのは違うのではないかと著者は書いている。浦島伝説は当時も男性が楽しむ軽い読み物程度の存在だったという。

「古代の人たちは素朴で単純だから、異界をすべて信じていたとか、神をいつも信じていたとか、そんなふうに考える人がいるとしたら、それはあなたのほうが単純すぎます。私たちの生活する現代でも神を信じている人や、死後の世界を信じている人はたくさんいますが、信じていない人はもっと多いでしょう。古代だって、だれもがいつも、神を信じ異界を信じて生きていたなどと考えるのは、あまりに古代を見下しています。」

古代文学というと、専門家の学者が難しい顔をして難しい解釈を捻り出すという印象が強い。この本は古事記の現代語訳で知られる著者が、古事記、日本書紀、日本霊異記、万葉集などの有名な古典文学を俎上にのせて、博学な知識を道具に、エロ・グロ、ナンセンス、スキャンダルな読み物に料理していく。

そうやって食べやすい味付けにしたところで、それは古代婚姻に見られる普遍的なパターンなのだとか、バナナタイプという世界の神話に共通するパターンの亜種であるとか、古典文学の基本知識へ読者を導く。楽しみながら古典文学の世界を旅することができる面白い一冊である。


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Posted by daiya at 2006年12月27日 23:59 このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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