2003年12月14日

100本と1000本、達人に聞くブログを3年続ける秘訣このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加


スポンサード リンク

今日は内輪ネタです、と最初にお断り。

9月からこのブログを開始して毎日更新で、記事が100本を越えた。だんだんと毎日のルーチンワークに収まりがよくなってきて負担も減っている。習慣化されたので、気負いが消えた。だが、100本というのは、この世界ではまだまだ赤ん坊同然である。

データセクション社の経営パートナーに小橋昭彦氏がいる。彼は前職ではコピーライティング分野の登竜門みたいな業界賞「宣伝会議賞」2年連続受賞、個人サイトは、ニフティホームページグランプリ受賞、各種講演、5万部のメールマガジンの内容は講談社の文庫本になり韓国語にも翻訳されるなど、Web上での表現者として、いろいろと実績を積み上げている。

ところで、最近Weblog、ブログが流行している。彼が2001年1月に開始したサイト「ざつがくどっとこむ」は、ブログのはずなのだが、開始時期が早すぎたせいか、メディアやコミュニティの扱いでは、いわゆるブログに含められていないみたいだ。

私は雑学ドットコムは日本で最も古い部類のブログだと思っている。というのは、このシステムは私が構築したのだが、元となったのは独自に日本語化作業を施したオープンソースのPHPWeblogというシステムだからである。技術的にも開始時期から、XMLメタデータのRSSも公開していたので、ブログであると言えると思う。

小橋氏のネットでの表現活動は以下のサイトがメインである。内輪ではあるし、商業的側面もあるのだが、編集執筆が1人であることに変わりはない。1人の能力でどこまでオンラインで豊かに表現できるかという挑戦のようにも見える。

・今日の雑学+メールマガジン配信申し込み
http://www.kobashi.ne.jp/mm/

・雑学ドットコム
http://www.zatsugaku.com/

・4im
http://4im.net/

・田舎.TV
http://www.inaka.tv/

彼の表現活動の中心のメールマガジンが先日1000号を突破した。とりあえずの私の目標は自分も1000回を達成し、この同僚を抜くこと。「打倒小橋昭彦」と心に決めている(もうひとつの目標に4年以上継続しているブログの打倒百式管理人もあるが(笑))。




そこで今日は、ブログやオンライン表現を継続する秘訣をインタビューしてみた。


> Q 毎日の編集作業の手順や内容について次の4つの段階で教えてください
>
> a 情報収集(オンライン、オフライン、日常からの情報入手)

オンラインでは100誌程度のメール情報誌と、500サイト程度の更新チェックが主要な手段です。オフラインでは、まずは新聞4紙(うち地域新聞2紙含みます)、それから雑誌を5誌弱ですね。書籍は年間150冊程度。日常で大きいのは、子どもとの毎日に教えられる
視点でしょうか。

以上はいわばルーチンとしての収集ですが、一方で、情報を編集すると決めてから収集する情報がありますよね。探索型の情報というか。百科事典や検索エンジンや辞書などを利用して探します。

> b 情報整理(集めた情報をどう貯めたり分類しておくか)

オンラインで得た情報は、URLをメールソフトで貯めこんでいます。なくなりそうなリンク先の場合は、クリッピングソフトにクリップ。オフライン情報は、新聞や雑誌は気になるものだけ、切り抜いています。書籍は、ページの片隅を折る、いわゆる「犬の耳」ですね。日常のことについては、最近B7版のメモ帳に書き留めることを愛用するようになりました。

ただ、あまり整理しておくという感覚はなく、あとの編集や作業のための準備という気持ちです。

> c 情報編集(アウトライン発送や文章化)

どの情報とどの情報をつなげようかというとき、まず「視点」を決めます。どんな視点で情報を切り取り、つなぐか、ですね。それを軸に、情報の配置を考えます。そこまでは頭の中で。

この段階で、最初に述べた情報の追加収集が入ります。

で、いきなり書き始めます。そして書き終えます。書き終えた後、推敲します。この段階で、新しい情報を追加することもあるし、がさっと削ることもあります。前半と後半を入れ換えることもあります。ここがもっとも大きな作業かな。

ちなみに文章量としては、最初に書いた文章は、だいたい目標文字数より1割程度多い感じで書きます。そこからシェイプアップ。いつものコラムなら800字で書いているので、まずは900字弱で書く感じです。

> d 情報発信(メールマガジン発行、Web更新)

メール発行は、メールソフトを利用して編集作業しています。Webについては、橋本さんが作ってくれた「ざつがく・どっと・こむ」のコンテンツ管理システムを便利に使っています。あれはいい。


> Q 情報収集や編集に何かツール(ソフトウェア含む)を使っていますか?

いわゆるPCから利用しているものとしては、次のようなものです。メールソフト。エディタ。電子百科事典。Google(Sleipnirの窓から直接使ってるけど)。Amazon.co.jp。更新チェックソフト。あと頻度は低いけれど、クリッピング及びダウンロードツール(NetAntsWeber)。

> Q ネタを作り出すための意識的な習慣はありますか?

情報に接しながら、どう使えるかと問うているくらいでしょうか。あえて加えるなら、得た情報をそのまま信じず、背景を探る、利用法を考えるなど、批判的に眺めてはいます。

> Q 書けない日はありますか?そういうときにはどう乗り越えますか?

あります。でも締切があるので、とりあえず書きます。下手な文になりますが、推敲しているうちに原型をとどめないほど書き直したりもして、なんとか形になるものです。書くことでしか乗り越えられません。

ん? いやまあ、気分転換に子どもと遊んだりもしますね。あれも乗り越える方法のひとつかな。あと、ほんとうに頭が疲れているときはDVDを観たり。

> Q 紹介しているマーケティングリンク集のページの内容はどの程度詳しく読ん
> でいますか?

英語なら極端なときは見出しだけ、おおむね第一段落の要旨まわりまで、よくて「key findings」までという感じ。日本語でも似たようなものです。

まあ、だいたい全体をぱっと眼に入れておけば、なんとなくわかりますよね、情報の質って。きっと橋本さんもそうだと思うけど。

> Q 1000号続けられた最大の秘密は本人としては結局なんだったと考えています
> か?

ひとつは自分を高めるための修行だと考えていたこと、ひとつはそれにつきあっていただける読者がいらっしゃったこと。この二つの相乗効果かと思います。

> Q モチベーションややる気といったことについて役立つ本やサイトはご存知で
> すか?

過去形になっちゃいますが、高橋源一郎氏による書評を読んだり、安藤忠雄氏の『連戦連敗』を読んだり、蜷川幸雄氏の『演出術』を読んだり、内田善美氏の『草迷宮・草空間』を読んだり、池澤夏樹氏の『スティルライフ』を読んだり、マリオ・バルガス・リョサの作品を読んだりしたときは、がぜんやる気がわいてきました。あ、なんか本読んだときばかり? それ以外ではブルーマンを観たり、MOPを観たり、そとばこまちを観たり、歌舞伎を観たりといった劇場体験でしょうか。

要するに、ほかの人が新しいジャンルを切り拓こうとか、既成概念を乗り越えようとしている姿に接すると、自分もやらなきゃと励まされるってことですね。

連戦連敗演出術スティルライフ世界終末戦争
4130638041.09.MZZZZZZZ.jpg4314009020.09.MZZZZZZZ.jpgthumb-no-image.gifthumb-no-image.gif
インタビューではどの本か言及されなかったが、私が好きなのはマリオバルガスリョサではこれである。



企業でもナレッジマネジメントや情報発信の重要性に関心は集まっている。だが、実際問題、ベースとなる情報を作ったり、発信したりするのは人間であるはずなのだ。そこではツールやシステムもあるけれど、モチベーション、自己効力感、習慣化など、維持し拡大していくための個人レベルのノウハウも同時に研究しなければ、続かない、大きな効果はないと思っている。

忘年会議でもう1人のパートナーであり、私が一方的に打倒執念を燃やしているライバル、百式管理人にも秘訣を聞いてみたいと思っているのでみなさん、ぜひご参加ください。(なお、本来定員70人だったんですが、いま120人超えました。会場はデジハリさんがなんとかしてくれました。感謝)。


スポンサード リンク

Posted by daiya at 2003年12月14日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
Daiya Hashimoto. Get yours at bighugelabs.com/flickr
Comments