2004年10月31日

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魔球をつくる―究極の変化球を求めて
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昔から不思議でしょうがなかった疑問に答えが見つかった。野球のカーブは本当に曲がるのか?ボールが浮き上がるホップはありえるのか?ということ。物理法則を考えれば物体は直線でしか飛んでいかないし、放物線を描いて落ちるしかありえないはずである。

この疑問は19世紀に初めてカーブを投げる投手が登場して以来、一部の科学者が取り組んできたマイナーな難問であったようだ。曲がることはありえないとされていた時代もあったらしい。しかし、その後の研究でただひとつだけ、ボールの軌道に左右する力があることが分かっている。それがこの本のメインテーマのマグナス力の効果である。

結論としてはカーブは本当に曲がっている。曲がる原因は予想通りボールの縫い目である。回転がかかることで縫い目部分の空気摩擦が左右へ曲げる横力や、上へ向かう揚力を生み出して少しだけボールの進路が曲がるのだ。この力をマグナス効果というらしい。だが、上方へ向かう揚力が重力を上回ることはありえないので、決してボールが浮き上がることはないという。どんなボールも放物線を描いて落ちていることに変わりはない。

Webでも同じ事を書いているページが見つかった。

・三回表:沢村栄治を科学する
http://shin1917.hp.infoseek.co.jp/kagaku3o.htm

面白い事実はフォークボールは変化球ではないということ。フォークは放物線で落ちている。実は直球こそ変化球だそうだ。直球はボールにバックスピンをかけることで自然な放物線に少しだけ上向きに逆らいながら緩やかに落ちる玉である。重力の影響のままに落ちるのがフォークなのだ。

そしてバッターの目の前で上へ上がるホップは、本当は上へは浮き上がっていない。バッターが直球だと思っていたとき、期待したほど落ちなかった場合に、心理的にボールが上へ上がったと感じるだけのようだ。

物理学的には球の投げ方は3種類しかないことなど物理的観点から、ピッチングが科学されている。科学的にありえる魔球「ジャイロボール」も提案される。それにしても、驚いたのはボールがなぜ曲がるのかは、近年まで科学的に解明されていなかったということだ。著者は理研で野球のボールの精密な3次元モデルとスーパーコンピュータを使って、ボールの動きをシミュレーションする研究に取り組み、ボールの軌道を証明して見せた。

最終章では、漫画に出てくるような消える魔球やバットをよける魔球はありえるかなど、一般読者の興味をひく話題にも取り組んでいる。そんなことは誰かが調べているはずだと思っていたが、まったくそうではなかった。ボールの科学はまだまだ奥が深そうだということが分かった。


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Posted by daiya at 2004年10月31日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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Comments

ずーっと読んでいます。ある種のファンです。

さて今回の記事なのですが浮き上がるボールというのが別の種目にあります。ソフトボールの「ライジング」と呼ばれる球種です。ソフトの場合投げる位置は膝元からで捕手が肩口ぐらいで捕っているので一応浮き上がっていると考えて良いのではないでしょうか?あるいは下から上に向かって投げていると言うのでしょうか?ここら辺は確証はありません。
それと「ジャイロボール」は投げている投手が実際にいます。MLBにはいるという話しですが日本では千葉ロッテマリーンズの渡辺投手が下手投げからのジャイロボールを投げます。これは以前テレビ朝日系でハイスピードカメラで捉えた映像を流していました。しっかり垂直回転していました。
以上ご報告でした。毎日更新を楽しみにしております。では

Posted by: 通りすがり at 2004年11月02日 02:12

魔球ではないですが、エアガンの弾も上にむかって曲がったりしますね。
MARUIの可変ホップ機能付きの奴なんか使うと良くわかります。

Posted by: shn at 2004年11月06日 14:53
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